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6人の騎士の竜退治

作者: デッ

初ホラーに続いて初童話です!

ただ俺、童話とファンタジーの境界がいまいち理解できていません!w

一応、子供が読んだら勉強になるかなと思って書きました(漢字は多いですが

子供じゃない皆様にも、お楽しみいただけたら幸いです

昔のお話です。


世界のどこかで王様と沢山の人々が暮らしていました。


その王国の王様は、時々やってきては悪さをする竜に頭を悩ませていました。


ある日王様は王様に仕える8人の騎士に言いました。


「王国のために竜を退治してくれ!褒美は退治した者の望みのままじゃ!」


すると1番目の騎士はこう言いました。


「私にお任せ下さい国王様、この王国騎士団一の騎士の私が…、必ずや竜を退治しましょう!」


すると2番目の騎士はこう言いました。


「国王様、私は今までに竜を軽く100匹は倒してますよ」


王様は驚き、言いました。


「そうかそうか!頼もしいな!」


3番目の騎士は面倒そうにため息を吐きました。


4番目の小太りの騎士はこう言いました。


「お任せ下さい、その代わり褒美には最高級のご料理を」


5番目の騎士はこう言いました。


「フフフ…、国王様、竜は私が退治いたしますのでどうか褒美と祝宴の用意を」


そして、6番目の騎士はこう言いました。


「国王様、ご期待に応えられか否かは定かではありませんが、必ずや最善を尽くしましょう」


こうして、6人の騎士が竜退治の旅に出ました。


竜の住処は城や城下町から北に行ったところにある洞窟です。


しかし竜の住処は遠く、1日目は洞穴で野宿することになりました。


そして洞穴の中に入ると、奥に光るものが沢山見えました。


「宝石…?」


と言うのは5番目の騎士。


5番目の騎士は、光輝く方へと歩いていきました。


そして1つを手に取りました。


「宝石だ!宝石があるぞ!」


5番目の騎士は言いました。


他の騎士達も向かっていきましたが、5番目の騎士が言いました。


「これは私の宝だ!横取りするな!」


5番目の騎士は剣で脅してきます。


他の騎士達は諦め、先に寝ることにしました。


5番目の騎士は、次から次へと宝石を拾い、袋に入れていきます。


すると彼は足を踏み外し、深い水たまりに落ちてしまいました。


泳いで出ることは出来ますが、5番目の騎士は沢山の宝石を詰めた重い袋を持っていて上手く泳げません。


5番目の騎士は、決して袋を手放そうとはせず、そのまま溺れていってしまいました。



次の日起きた騎士達は、5番目の騎士がいないことに気がつきます。


しかし彼らは探すことは諦め、先に進んでいきました。


進んでいくと、平原にたどり着きました。


平原には、王国一の美味と言われる巨鳥が群れで生息していました。


4番目の騎士は、矢で巨鳥を射ると、焼き始めました。


他の騎士達も、同じように狩りをして焼きます。


美味しそうな匂いが漂います。


「いただきます」


6番目の騎士は、犠牲になってくれた鳥に感謝をこめ、食します。


他の騎士達も食事を始めます、…が。


4番目の騎士は足りなかったのか、もう1匹巨鳥を狩りました。


そして焼いて食べます。


「美味しい!美味しい!」


4番目の騎士は、巨鳥を狩っては食べ、狩っては食べ、暴食をくり返しました。


すると、良い匂いを嗅ぎつけたのか、狼の群れがやってきました。


狼は何十匹もいました。


この数は多すぎます。


竜との戦いの為に傷を負いたくなかった騎士達は、走って逃げます。


狼は当然速いですが、騎士達も負けません。


しかし4番目の騎士は、食べ過ぎてしまい走れませんでした。


やがて4番目の騎士は狼の群れに捕まり、食べられてしまいました。


4人になった騎士達は、それでも竜の住処を目指し旅を続けました。


しかし唐突に2番目の騎士と3番目の騎士が言いました。


「さっき2人で話し合って決めたんだけど…」


「僕達は竜退治、諦めます」


2番目の騎士と3番目の騎士は、疲れたから帰ると、そう言うのです。


6番目の騎士は、


「もう少し頑張ろう!」


と反対するのですが1番目の騎士は、


「帰りたいなら帰れ!」


と賛成します。


結局、2番目の騎士と3番目の騎士は帰ってしまいました。


しかし、実は2番目の騎士と3番目の騎士はあることを企んでいました。


それは、竜を退治したと嘘をつくことでした。


2番目の騎士は大きな蛇を捕まえると、鱗を剥ぎ取りました。


そして2人は城へと帰り、王様に竜を退治したと嘘をつきました。


「これがあの竜唯一の弱点だった逆鱗というものです」


と言って見せたのは、先ほど剥ぎ取った大きな蛇の鱗でした。


しかし、当然それに気づく者はいません。


王様は大喜びして、家来達に命じました。


「祝宴の用意をしろ!この2人の英雄を祝うのだ!」


そこで王様は、あることに気がつきました。


「して、他の4人の騎士達は?」


「5番の騎士は溺れて死亡、4番の騎士は狼に襲われて死亡、1番と6番の騎士は竜との戦いで死亡しました」


王様は悲しみました。


特に手塩に育てた1番と6番の騎士が死亡してしまったのです。


しかし2番の騎士が言いました。


「大丈夫ですよ国王様、これからは死んでしまった騎士達の分も、私が頑張りますから」



一方、1番目と6番目の騎士は、竜の住処の洞窟に到着していました。


すると1番目の騎士が言いました。


「おい!竜は向こうにいるぞ!」


1番目の騎士が指さした方向には、確かに竜の形の何かがありました。


6番目の騎士は、


「眠っているみたいだ、行こう!」


と言い走っていきました。


しかしそれは竜ではなかったのです。


「馬鹿な奴だ、あれは竜にそっくりの岩で有名な竜岩ではないか、貧乏な騎士は旅行も出来ないからな」


そして1番目の騎士は洞窟の中に入っていきました。


「手柄は誰にも渡さん、私のものだ…、英雄になるのもこの私だ…」


1番目の騎士が進んでいくと、竜がいました。


しかし竜が襲ってくることはありません。


1番目の騎士は言いました。


「城下町で育てている野菜や巨鳥を奪っている悪竜め!覚悟しろ」


1番目の騎士は、剣で斬りかかります。


竜は、なんと謝りました。


「すまない!どうしても食べ物が必要なんだ!許してくれ!」


しかし1番目の騎士は聞く耳を持たず、竜を斬り続けます。


そして竜が仰け反ると、足元には小さい竜の子がいました。


「この子達を育てるために食べ物が必要なんだ!」


すると1番目の騎士の動きが止まりました。


しかしそれは優しさ等では決してありませんでした。


「竜の子も殺せば、さらに英雄になれる…!」


1番目の騎士は、竜の子に斬りかかろうとしました。


その時、ついに竜の怒りが爆発しました。


竜が火を吹くと、1番目の騎士は大火傷を負いました。


そして竜は言います。


「もう人間なぞ信用しない、皆殺しだ!」


1番目の騎士は謝ります。


「許せ!許してくれ!許して下さい!すいませんでした!」


竜は言います。


「聞かぬ」


1番目の騎士が竜に食べられそうになったその時。


6番目の騎士が1番目の騎士を押し倒しました。


そして6番目の騎士は、右手を竜に噛まれていました。


竜は言いました。


「何故そこの人間を助けた?」


6番目の騎士は言った。


「仲間だから」


1番目の騎士は涙が溢れました。


「私はお前を騙し、手柄を独り占めしようとしたのに…」


しかし竜が黙ってはいませんでした。


竜は6番目の騎士の右腕を噛んだまま言いました。


「その人間の仲間…、つまりお前も敵か!!」


6番目の騎士は、噛まれた腕を引き抜こうとはしません。


「もう王国の食料を盗むのはやめなさい!」


「やめぬ!…食料がなければ、我が子達が…!」


「他にも食料を手に入れる方法はあります!」


「……何?」


竜の動きが止まりました。


「この近くに平原があります!そこには巨鳥の群れと沢山の野菜がありました!」


竜は口を開けました。


6番目の騎士の手はするっと抜けました。


「…私が城に近づかないでほしいと言うのは、貴方の安全も考えています、今度城に近づいたら、もっと大規模な討伐隊が組まれるかもしれないのです……そうしたら、誰がその竜の子達を育てるんですか!?」


「…承知した」


竜は下を向きました。


「だがこちらからもお願いがある、もう城には近寄らぬから、竜を傷つけるのもやめてくれ、とな」


6番目の騎士は頷きました。


1番目の騎士も前に出てきて、謝りました。


「私が悪かった」


すると竜は洞窟を出て、言いました。


「どれ、その平原とやらに向かうとするか、…どうだ?そこまで乗って行かぬか?」


2人は大怪我を負っていたので、乗せてもらうことにしました。



やがて、平原にたどり着きました。


「食べ物になる生き物達だって、命を持って必死に生きている、食べるときには感謝をせねばな」


竜が言うと、2人の騎士は頷き、1番目の騎士は付け足すように言いました。


「また、食べ過ぎも命を落とす原因になりかねないな」


2人は、4番目の騎士のことを思い出していました。


2人は竜に別れを告げ、城に向かいました。



城に帰ると、祝宴が開かれていました。


そこで王様は、目を丸くしました。


「お前達、竜と戦って死んだのでは…!?」


2番目の騎士は、てっきり竜に食べられてしまうと思って計画を考えたので、大慌てです。


3番目の騎士は諦めたのか、ため息を吐きました。


その後、2番目の騎士と3番目の騎士は、鎧に傷一つ無いこと、実は蛇の鱗だったことなどがバレてしまい、嘘をついたとして牢獄へと入れられてしまいました。


虚飾の英雄と、怠惰の英雄の栄華は、たちまち終わってしまいました。


1番目の騎士は自分の手柄などにはしようとせず、起こった真実を全て話しました。


そして6番目の騎士は英雄とされ、城下町の真ん中に像が建てられました。


今も世界のどこかにあるかもしれません。


昔のお話でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 結局卑しく、自分のことしか考えていない愚か者は救われないということですね。 だからこそ本当に王のため、国のためを思って戦った(?)6番目の騎士は英雄になれたのでしょう。
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