葉っぱ
ある地方の一軒家
10年ぶりの大寒波がやってくるこの日
少年「寒いなぁ…お腹空いたなぁ…暗くなってきたしそろそろお母さんが帰ってくるかも」
暖房も明かりもついていない部屋の中で少年は呟いた
《ガチャッ》
玄関の扉が開く音が聞こえた
少年(お母さんだっ!!)
母「あぁ~疲れた~」
ドタドタと荒々しい音を立てながらリビングへと向かう母、少年はリビングの隣の部屋でいつも通り聞き耳を立てている
少年(今日は食べ物貰えるかな?)
普段からまともな食事をしていない少年は淡い希望を抱いている
母「もうこんな時間じゃないの…早く支度しないと彼との約束に遅れちゃう!」
ドタバタと走り回り、散らかった部屋が更に酷くなっていく
少年(今日もお出掛けかな?お腹空いたなぁ…)
母が帰ってきてから一言も声に出さない少年
母「ハルキっ!お母さん出掛けてくるから大人しく待ってなさい!」
ハルキ「うん…」
ドア越しに返事をする
《ピンポーン》
玄関のチャイムが鳴る
母「もう!急いでるのに誰よ!」
《ガチャッ》
中年女性「こんばんは、まぁお洒落してお出掛けかしら」
母「えぇ、今からディナーの約束がありまして…」
中年女性「まぁ羨ましいわ、私もたまにはお洒落して旦那と食事にでも出掛けたいわ…あっごめんなさいね、これ良かったらどうぞ」
母「まぁいつもありがとうございます」
中年女性「また良いのが採れたら持ってくるわね」
母「ふふっ楽しみにしてます」
手を振って帰る中年女性
《ガチャッ》
母「どうせならいい肉でも持って来なさいよ、はぁ…こんな葉っぱどうやって食えってのよ」
ドタバタとハルキの部屋へ向かう
《バンッ》
部屋のドアを勢いよく開ける
母「あんたの好きな葉っぱよ、残すとゴミになるから全部食べるのよ!」
ハルキの前に葉っぱ(?)を投げ捨てた
ハルキ「うん!」
この葉っぱ(?)はハルキにとって実に3日ぶりの食べ物だ
母「あぁ!急がなきゃ!」
小走りで玄関へ向かい出掛けていく母
《ガチャッ》《バンッ》
母が出掛けたのを気にもせず目の前の葉っぱ(?)にかじりつくハルキ
ハルキ「バリバリ…モグモグ」
久しぶりの食べ物に無我夢中になっている、半分ほど食べてハッとする
ハルキ「明日の分も残さなきゃ」
残りはビニール袋に入れて部屋の隅のダンボールに保管しておく
ハルキ「明日も食べれる…」
嬉しくなったハルキはボロボロの絵本を取り出した
文字が読めないハルキだが絵はなんとなく理解できる
ハルキ「この絵本の中の食べ物って本当にあるのかな?いつか食べてみたいな…」
久しぶりにお腹が膨れて眠くなったハルキは眠りに入る
いつも通り寒さを我慢しながら
でも久しぶりの食べ物に満たされながら…
ハルキは夢の中で寒さに凍えていた
寒さのあまり目が覚めたハルキは見知らぬ風景に目を奪われていた
ハルキ「ここは…?お家じゃない?」
家の外に出たことがないハルキはここがどこなのか見当もつかない
ハルキ「絵本の中?」
目線の先に絵本で見た木で出来た建物が建っている
明かりがついていて微かに人の声が聞こえる
ハルキ「行ってみよう」
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