なぜ、イスラエルは戦争をやめられないのか?
またイスラエルである。
性懲りもなく。
1948年の独立・建国以来、盟友の米国を除けば、これほど戦争に明け暮れている国家も、他に類を見ない。
1948–1949 第一次中東戦争(イスラエル独立戦争)
1956 スエズ危機
1967 第三次中東戦争(六日戦争)
1973 第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)
1982 レバノン戦争(第一次)
1985–2000 南レバノン占領
2006 第二次レバノン戦争
2008–2023 ガザ戦争(イスラエル・ハマス衝突)
2011–現在 シリア内戦(ゴラン高原を巡る関与含む)
2021 ガザ紛争(11日間戦争)
2023–現在 イスラエル・パレスチナ戦争(ハマス攻撃)
2025年6月13日 イスラエルによるイラン攻撃
この中で、イスラエル側が全面侵攻を受けたケースは一度もなく、テロによる散発的な被害程度に留まっている。
そして、裏話。
2019年のリクード党の会議で、イスラエルのネタニヤフ首相が ――
「パレスチナ国家の樹立を阻止したい者は、ハマスの強化とハマスへの資金移転を支援しなければならない」
―― と発言したことが、複数の信頼できる海外報道機関によって取り上げられている。
Wikipedia → en.wikipedia.org/wiki/Israeli_support_for_Hamas
(グーグルの翻訳エンジンを使い、目を通してもらいたい)
ハマスによるテロ行為にすら、「マッチポンプ」的な側面が潜んでいるということを、まともに指摘できるマスメディアは、残念ながら、この国には存在しない。なので、ほとんどの日本人が知ることのない背景ともいえる。
◇
―― さて、なぜ、これほどまでに、彼らは戦争に明け暮れるのか?
人口は1000万人未満と、東京よりも少ないイスラエル。だが、世界トップクラスの「武器輸出国」でもある(国外企業も含めるとさらに……)。
最新鋭の無人爆撃機や、サイバー兵器、迎撃システムなどが、飛ぶように売れる。その背景には「実戦によるデモンストレーション」の効果が、大きく関与している。
先月、幕張で行われた、防衛庁が後援する軍事品評会「DSEI Japan 2025」でも、「イスラエル製の最新武器」が大々的に展示されていたという。少人数でも、デモを行った人たちのおかげで、ニュースで知った。
軍需産業、入植者団体、宗教右派、某巨大一族の財団などと蜜月の関係にあるイスラエル政権。政権の基盤がこれだから、戦争は「国家事業」の体すらある。
国家運営システムとしての戦争。
これほど危険な装置も、他に類を見ないわけだが、なぜ、この国のマスメディアは、それをまともに伝えられないのか?
金融方面で強大な力を持つ一族の影。
彼らは「資本主義における戦争」でも、常に勝者の側にいる。資本主義の枠組みの中で生きる者たちにとっては、忖度するほかない「聖域」なのかもしれない。
◇
「欲望は、膨張する」
皮肉にも、これはヒトラーが残した言葉とされる。際限のない欲望が焼き尽くす先には、いったい何が残るのか?
「選民主義者」たちの視界には、焼け野原もユートピアに見えるような、素敵なメガネが常時かけられているらしい。
本文は、ユダヤ人全般への批判を意図するものではない。あくまでも「戦争で稼ぐ」ことを肯定・賛美している連中への拒絶であり、その「共犯者」でもあるマスメディアに対する皮肉でしかない。
ユダヤ人には、優秀な人間も多く、ヒューマニストも少なくはない。なので、彼らとネタニヤフ政権のそれとを結び付けるつもりは、毛頭ない。あくまでも「戦争ビジネス」に積極関与する者たちに対する不快感の表明である。