◆花嫁の叫び!◆(4)
とは思ったもの、よく考えてみたら、親たち関係もご来賓リストにかなりあることだし、ご祝儀……がある。
「これ、けっこう返ってくるものなのよ」と、何かの情報誌で読んだことがある。
もしかしたら、+-《プラマイ》したら、案外、黒字になったりして!
ひとり、ほくそ笑む私がいたけれど、そんなこと、口が裂けても言えるはずもなく。
それでも、こっそり、見込み計算に余念がないワタクシでもありました。
で、次は何かしら?
もう既に優先順位も判らなくなっている私がいた。
あれ程、騒いでいたドレスは何処へやら。
打ち合わせのことで担当の藤田さんから電話があった時に、「お花」という言葉が出た。
何の?
ブーケはドレス関係だし……。
あ!高砂の席とかウェディングケーキのテーブルとか、ご来賓席とかのお花だ。
「いろいろございますが、どのプランになさいます?」
数回目の打ち合わせで、ホテルのブライダルサロンを訪れた時に、披露宴用のお花が載っているパンフレットを開いて見せてくれた藤田さん。
「一番豪華なのでいいよ」
と彼。
出た!その一言!
その時は、珍しく、彼も一緒だったのです。
「パンフ、見ないの~?」と聞いた私に、「一番豪華だったら、間違えないでしょ」だって。
それはお料理と一緒で、間違いはないかもしれなけれど、なんて単純。
お色直しとかや会場の雰囲気に合わせなくちゃ!
ピンクのドレスにピンクのお花なんてヤダ。
「お色直しのドレスが決まってからでいいですか?」
すかさず聞いた。
やっと、私の頭の中に“ドレス”の存在が蘇った瞬間。
「アレンジとかは、希望できます?」
と付け加えた。
アレンジとかを加えたら、またまた料金がかかるのは判ってはいたけれど、聞いても聞かなくても、彼は「いいよ」と言うに決まっているので、ここは私がひとりで主導権を握ってしまった。
お花のパンフレットを見せられ、今まではドレスだけは譲れないと思っていた私の中に、“お花”が加わった。
ドレスとお花は、やっぱり譲れない!
乙女というものです、ここが。
「それは大丈夫ですよ。プランのお花を基準にアレンジをご相談させていただきますね。お式の1ヶ月前までにお決めくだされば大丈夫ですよ」
相変わらず、にっこり藤田さん。
ここも、ひと段落。
彼はというと、途中から外へ出て行ったと思っていたら、ロビーのラウンジで煙草を吸っていたらしい。
「まったく!」と思いながらも、「お花だからね」と、自己完結。
いつもの一抹の淋しさはなかった。
冷たい彼ではないけれど、女心がイマイチ判っていないのが、唯一の欠点。
〝一緒に”に意味があるのですよ、女の子は。
ある日、彼の実家へ呼ばれた。