◆花嫁の叫び!◆(1)
携帯の着メロがなった。
「○○○ホテル・ウェディング担当の藤田ですが……そろそろ、具体的な打合せをさせて戴きたいと思いまして」
やばっ!!!
ドレスに気を取られていて、すっかり忘れてた!
“まだ半年も先”と思っていた私がいた。
ということは、太るかもしれないし、ドレスも気が変わるかもしれない!!!
ここまで来ても、まだドレスのことは頭にあって、ふと、そんなことを考えていたワタクシ。
「つきましては、先日、お渡ししました資料の内容をご検討いただきまして、ご都合の良い日にお越し戴けましたらと」
担当の藤田さんの、それはそれは穏やかな明るい声。
花嫁の焦りとは裏腹に、その余裕の話し方に、ちょっと救われた気分もしていた。
まだ、大丈夫なんだよね!
「わ、わかりました」
電話を切った後、藤田さんが言っていた、ホテルからもらったその資料を確認したのでした。
招待客リスト・招待状・配席・会場装飾花・料理コース・お酒・司会・BGM・贈呈用花束・主賓・乾杯…etc...etc...!
あまりに細かくて、項目が多くて。
会社の仕事だったら、ウンザリといったところだけれど、ここは花嫁さんたる所以。
けっこう楽しそうだったりもするのです。
彼に聞いた。
「ご招待は何人くらい?」
「300人くらい」
平然と答えた彼。
げげっ!!!
ある程度、想像はしていたものの、こちらは親戚が多いのに助けられて、せいぜい100人程度。
まぁ、考えても、それだけは、どうにもなるはずもなく……。
想像しなくても、彼側のご招待の方々は、それなりのステイタスの人ばかりということは判ってはいたので、資料にのっていた様々な〝もの”には、それなりのリキを入れないといけないはずで!
しかも、彼は300人と言っていたけれれど、もっと多いかもしれないご招待の方々の人数を考えると、これは、早急の対処は必要不可欠。
結局、ドレスに気を取られている場合ではないと、改めて気づいた次第なのでした。