◆ 親たちの暴走 !!! ◆(1)
あ~~~~~!!!!
1週間、寝込んでしまった……。
あまりに眠かったせいで、うちの母親。
「ひとりで悩んで苦しむ前に、お母さんに相談しなさい」だって。
何事かと思ったら、どうも“妊娠した”と思い込んでいたらしい。
『出来ちゃった婚!?』
先にも申し上げましたが、それはございません。
うちの母親も気が若いというか、なんというか…。
結局、ただの過労でした。
やっと復活した私に待っていたものは、病床の中で見たカラードレス!……ではなく、引き出物。
ここで、やっと、親たちの出番となった訳です。
情報誌によると、ご来賓がお帰りの際、荷物が少なくてよいということで、最近は“カタログ”が流行っているということ。
「ランク付けされてるんだ~」
ご祝儀に合わせて、1万円・2万円・3万円・5万円・7万円・10万円・10万円以上コースとありました。
内容を見たら、けっこう素晴らしい品々。
10万円コースなんて、有名ブランド品のオンパレード。
和物だったら、何とか塗りとか、数十万はするようなものとか。
ご祝儀の金額も様々なら、それに見合った引き出物の方が割りが良い。
しかも合理的!
最初にこのカタログの企画を立ち上げて現実としてくださった、どこぞの企業様に感謝すら覚えたほど。
しか~し!
親たちは、そう甘くはなかったのでした。
やっぱり、一筋縄ではいかないものです。
なんとも渋い器を強烈に押してきた次第。
骨董品屋さんで、一番上に飾ってあるようなカンジの代物。
決して、悪くはないけれど……素敵は素敵なのだけれど……私たちの年代には、どうだろう!?
私が独身でもらっても嬉しくないかも。
将来の嫁入り道具にもなりそうにないし。
彼はというと、「まかせるよ」だって。
また出た!「まかせるよ」の一言。
もう、この頃になると、その言葉にもいちいち反応しなくなっているワタクシがいたのでした。
引き出物で火がつき、親たちの暴走が始まり……あの試食の時は、ほんの助走にすぎなかったのでした。