◆花嫁の叫び!◆(6)
既に両家の挨拶は済んでおり、仲人さんとの顔合わせは来月で、結納はその次の月の大安吉日。
『今日は大安でも友引でもないんだけどな』
彼の実家では、私は何故かVIP。
どうしてか解らなかったけれど、たぶん、男兄弟だから、女の子が珍しかったのかしら!?
「主賓をお願いする方なのですけれど……」
おしとやかな口調で、お母様が言った。
「参議院の○○さんにお願いしようと思うのだが」
どこか威厳あるお父様がおっしゃった。
ひぇ~~~!!!
出た!政治家さん!
「どうような、お知り合いで……?」
「私の古い友人なんだよ」
高級そうな葉巻を吸いながらお父上。
私の中では“お父様”から、瞬間“お父上”となっていた。
確か情報誌とかには『主賓は上司とかが多い』とあったけれど、やっぱり富豪たる所以なのだなぁ……と、変に感動してしまった。
と同時に!
「この結婚式、もしかして、私が思う世間的なことは通らない!」
と実感した瞬間でもあったのでした。
ひぃ~~~!!!
だったら、私の主賓は?
当然、上司と思っていたけれど、これでは、社長クラス!?
無理だ。
一応、一般的には大手と呼ばれる上場企業のOLではあるけれど、社長までの距離が遠すぎる。
確か、友達に政治家さんの息子がいた!
だめよ!
同い年で主賓はないでしょう。
大学の恩師!
“名誉教授”だったら大丈夫!
けっこうお世話になったし、その教授もリストに入っている!
え?今、イギリス?
しかも、ただでさえ落差あるご招待人数なのに、一人減った……。
完全に凹んだ。
やっぱり事前に上司に情報を教えておくことでOKと、勝手に自己完結していた私。
なんだか、疲れてきたかも~。
それにしても、お色直しのドレスは、いつになったら試着できるのかな。