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一人の尊い人間

掲載日:2023/07/23

 便利な道具が真っ二つに壊れた。

 便利だけど、それ以外に用途はない。

 そんな道具の中から、一人の女が出てきた。

 それは道具である以前に、一人の女だった。


 美しい女が粉々に砕け散った。

 美しいけど、それ以外に価値はない。

 そんな女の亡骸から、一人の人間が出てきた。

 それは一人の女である以前に、一人の人間だった。


 その人間は、便利な道具であり美しい女であったのは確かだ。

 でも、それ以前に一人の人間だ。

 そして、人間というだけではない。

 強くて、弱くて、優しくて、恐くて、尊い。

 そう。その人間は、何をしても、何であっても、何になっても、尊いはずだった。



 それなのに、気づいた時にはもう遅かった……。



おわり

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