プロローグ『光と闇の御使い』
それは、遥か昔の話……。
光と闇……火や水や風や土や雷……あらゆる自然と共に、人々は共存してきた。
いつしか人は……自然を操る術を見つけ出し……コレを『魔法』と呼んだ……
『魔法』は人に夢と希望を与え、人類の……永遠の繁栄を約束してくれる存在となる……はずだった……
『魔法』を得た人間達は、己の欲望に刈られ、大地を……海を……森を……空を……世界までも、穢していった。
人間のあまりにも酷い行いに、神は激怒した……そして、決意したのだった。
………人間を一度滅ぼし、新たなる生命を一から創造しなおすということを……
そしてついに神の裁きは下った。
……青く、どこまでも蒼く澄んでいた空は、まるで巨大なシートに覆われたかのように黒く、暗くなった……
太陽の光も届かぬ黒の世界……その世界に、白と黒の翼を従えし者が地上に舞い降りた……
人々はその者にすがりつき、許しを請い、助けを求めた……
そしてその者たちは、一瞬で灰と化し、この世を去ったのだった……
そう、ついに断罪の時が来たのだ。
アダムとイブが知恵をつけたことによって楽園を追い出された時のように……
『魔法』という知恵を身につけてしまった人間を、この世界から消してしまうのだった。
世界は闇に覆われ、人々は絶望にくれ、己の愚行を恥じた……
人々は天に祈りを捧げ、そして誓ったのだった。
……もうこのような真似はいたしません。ですので、私達に、今一度、生きる機会をお与え下さい。
その祈りが通じたか、天空に二人の少年が舞い降りた。
一人は白き両翼を従え、黄金のように煌く金の髪の少年。
一人は黒き両翼を従え、閃光のように煌く銀の髪の少年。
二人の少年は白と黒の翼をもつ神の道具を、この世界から消滅させていったのだった……
こうして世界から神の道具は消え去った。しかし、世界はまだ闇に包まれたまま……光は戻っては来ていなかった。
二人の少年は天高く舞い上がり、その身を光が包んでいった……
二人の少年から生まれた一つの光……それはどんどんと膨れ上がっていき、一瞬の内に世界を包んでいった。
人々はあまりに強烈なその光に目を開けることもかなわず、しばらく目を閉じることしかできなかった……
少しして、人々は目を開けた……そして、見たのだった……
昔はあって、今は無かったなつかしき……蒼く、広大な空を……
人々は己の罪を身に刻みつけ、そして二人の少年に感謝し、その二人をこう呼んで崇めたのだった。
平和の象徴 『光の御使い』 罪の象徴 『闇の御使い』 と……
生まれて初めて小説を書きました。
正直自分でも未熟な文だとは思うのですが、すこしでも楽しんでいただけたら幸いです。感想を心よりお待ちしています。