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2-1.

 アイドルを目指すという目標ができて一人で盛り上がってしまった。一度冷静にならないと……。

 方針が決まればまずは婚約回避のためにぶさいくになる方法を考えなきゃ。顔を変えるのはやっぱりメイクよね。アイドルだったわたしはもちろんメイクには自信がある。けれど、それは自分を可愛く見せるため。ぶさいくにするためにメイクなんかしたことなんてない。

 この世界でアイドルとして輝くためにはぶさいくになるメイクだけでなく、レティシアだとばれずに可愛くなるメイクも必要よね。侯爵令嬢がそのままアイドルになるのはまずいということはさすがにわかる。普段は地味でぶさいくを装っても侯爵令嬢として恥ずかしくなように過ごしたい。

 親不孝はしたくないからね……。メイク以外にも変装?道具が必要なんだろうけど、まずはメイクの研究よ!

 メイク道具が必要だけど、七歳のわたしはまだメイクをしていない。そもそもする必要あるの? ってくらいの顔だけど……。わたしはまずこの世界で一般的なメイク道具を集めることにした。といっても、買い物にいけるわけではないので誰かに用意してもらわなければいけない。わたしはリネットに協力をお願いすることにした。


「ねぇ、リネット。わたしお化粧をしてみたいのだけど……」


 リネットはわたしの物心がつく前から世話をしてくれているメイドだ。付き合いは長いけれどまだ十五歳で若い。わたしの姉のような存在で、わたしが一ヶ月目を覚まさずにいたときもずっと付き添ってくれて、目覚めた時に泣いていた人物でもある。


「お化粧ですか? 突然どうされたのですか? レティシア様にはまだ必要ないと思いますが……」


 うーん。やっぱりこんな子供が急にお化粧したいなんておかしいよね。今のわたしは外にでる予定も、人に会う予定もないし……。どう言えばわかってもらえるだろうか。


「お化粧って別の顔になれるのでしょう? わたし、今とは別の顔になってみたいの」

「はぁ? レティシア様はかわいらしい顔をなさっているので、奥様のように大人っぽいきれいな顔になりたいということでしょうか? 今年のお城でのお茶会は残念でしたが、まだ機会はありますものね」


 リネットは不思議そうな顔をしていたのに勝手に何か納得しているようだ。お母様の顔は好きだし、憧れるけど、多分、違うと思うよ……。リネット。


「違うわ。わたし、きれいになりたいわけでも、かわいくなりたいわけでもないの」

「???」


 リネットはますます意味がわからないと言った顔だ。まぁ、自分をよく見せるためにメイクをするのが普通なのだからそういった反応になるのは当然かもしれない。

 よし。ここは正直に言おう。リネットはきっと味方になってくれるはずだ。というか味方がいないとアイドルになるなんて夢のまた夢。

 そもそも、リネットに隠し事は難しい。わたしと会話で意思疎通ができない頃からなんとかわたしの気持ちを汲み取ろうとしてくれていた人なのだ。下手にごまかすと嘘に嘘を重ねることになり、収拾がつかなくなってしまう。


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