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3-1.

 殿下の誕生日を祝うお茶会で無事目的を果たすことができた。残念王子からはブスだと言われ、伴侶は美人が絶対条件だと宣言されたのだ。

 これで完璧に婚約回避できただろう。


 わたしは今、穏やかな日々を送っている。思い出すといろいろと腹立たしいこともあるけど……。気にしては駄目だ。かなり腹立たしいけど。


 となれば、次なる目標はアイドルになること! 

 この世界でアイドルは受け入れられるのだろうか。いいえ、受け入れてもらえるように頑張るのよ。

 こんなことならアイドルの歴史をもっと勉強しておくんだった……。


「ねぇ、リネット。殿下との婚約回避も無事できたじゃない? 次はアイドルを目指したいのだけど」

「アイドルですか? たしか、舞台の上で歌って踊る職業なんですよね? オペラ歌手とは違うのでしょうか」

「オペラとは違うわ。お芝居はしないし。いや、別の自分は演じるのだけど……。曲が全く違うの。もっとポップでキャッチーな感じ」

「ぽっぷ? きゃっちー?」

「よくわからないわよね。わかった。実際に歌ってみるわ」


 待って。アカペラで歌うよりも演奏があったほうが良いかしら。

 やっぱり曲があってこそよね。

 わたしは考えなおしてピアノを演奏しながら弾くことにする。

 そういえば歌うのは久しぶりだ。ちゃんと歌えるかしら。でも、歌うの楽しみだわ。


「リネット、ピアノも一緒に演奏するわ。伴奏があった方がわかりやすいと思うから。ちょっと練習してくる! 準備ができたら聞いてね」

「はぁ……」


 リネットはわたしの勢いに少し圧倒されているようだけど気にしない。

 わたしはピアノの元に向かう。

 かなり練習サボっていたから指が動かなくなっているかも……。

 こちらの世界で目が覚めてから軽く指を動かしてはいたけれど、なんとなくピアノから遠ざかっていた。小さくなってしまった体に違和感を覚えていたのだ。

  自分の体だけどそうではない。不思議な感覚だ。


 わたしは前世での持ち歌で特に思い入れのある一曲を弾く。前世でのわたしのデビュー曲だ。

 譜面はしっかり覚えているのに全然指が動かない。

 …………あれ? 手が小さくなったから?

 いくら体が変わったからってこれはまずい。声はちゃんと出る?

 わたしは鍵盤を叩き、音に合わせて声を出していく。


「あー、あー……」


 声は大丈夫そうかな。ちょっとだけ安心だ。

 何曲か童謡を弾いて歌ってみる。

 歌も問題なさそうね。もちろん、ちゃんと練習する必要はあるけど……。

 デビュー曲のサビもアカペラで歌ってみる。ちゃんと高音もでそう。

 けれど、もう少し声は伸びるはず。


 アイドルになるからには曲がないとお話にならない。そして、曲を用意できるのはわたしだけ。

 全部の譜面を完全に覚えているわけではない。いずれ自分で新曲も用意しないといけないだろう。それなのにピアノが弾けないなんて……。


 いや、練習すれば良いのよ。練習しかない。

 わたしは自分に気合いを入れる。


 それからの一週間、わたしはひたすらピアノと歌の練習に励んだ。

 いい加減なものを聴かせるわけにはいかないわ。

 わたしはこの世界でもトップアイドルになるんだから!


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