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2-20.

 シミとそばかすを表現したシートの開発は殿下のお茶会になんとかは間に合った。まだ試作品の段階だが、顔に貼るとなかなか良い感じになる。問題は耐久性。水や摩擦に弱い。

 まぁ、お城でのお茶会には危険なことなんてないだろうから問題ないだろう。……多分。


 今日はこの国の王子様の誕生日を祝うお茶会の日。この日のためにわたしたちは準備を重ねてきた。わたしの顔はしっかりぶさいくに仕上がっている。

 わたしの容姿を印象づけて王子様の婚約者候補から外れる。これが今日のミッションだ。


 わたしはリネットを伴ってお城にやってきた。

 これがお城かぁ。Web小説だけだとわからなかったけれど、かなり立派な建物だ。わたしの知っているお城はテーマパークのお城か観光地にあるお城くらい。観光地のお城はもちろん日本の城。こういった洋風のお城には縁がなかった。

 うん、ファンタジーだわ……。ロールプレイングゲームの世界に迷い込んだみたいだ。

 わたしは内心感動していたが、気になることが一つ。隣にいるリネットはなぜかそこそこの荷物を抱えている。控えめに言っても大荷物では? お茶会に来ただけなんだけど……。


「リネット、かなり大荷物じゃない?」

「はい。何かあってはいけませんから」

「何かって……」

「お化粧が崩れたり、ドレスが汚れたりしたときなどのために準備しております」

「頼もしいわね」

「お任せください」

「では、戦場にいきましょう」


 そういうものなのね……。たしかについてきてもらうだけでは何かあったときに何もできない。準備は必要だ。

 リネットも気合い十分みたいね。

 わたしたちは気合いを入れてお茶会の会場に向かった。


 お茶会の会場ではわたしは一人だ。リネットはわたしが会場に入ったのを見届けた後は別の場所で待機しなければいけない。なんでも、子供たちの自然な様子をみたいからだとか。


 お茶会の会場にはわたしと同じ年頃の女の子がたくさんいた。ものすごく着飾っていて華やかだ。男の子は少ししかいない。王子様のお友達かお友達候補だけが呼ばれているのかもしれない。

 このお茶会は王子様の婚約者探しの場だものね。余計な男は要らないってことかしら。せっかくいい娘を見つけても別の人とくっついても困るし。


 さて、王子様は……。

 わたしは王子様を探した。人だかりがある。きっとあれが王子様ね。

 王子様は可愛いご令嬢に囲まれてご満悦そうだ。本当に面食いなのね。面食いというより女好きなだけな気がするのは気のせい?

 どうやって王子様に近づけば良いかしら。なんとか存在を認知してもらわないといけないんだけど……。

 そう思っていると、王子様が近づいてきた。設定通りのイケメンだ。

 もしかして、わたしに声をかけてくれる? ちょっと周りの視線が痛いけど……。



「銀色の髪に紫の瞳……。おまえがレティシアか?」

「はい、そうでございます。お初にお目にかかります。レティシアと申します」

「おまえ、噂と違ってブスだな」


 周囲の空気が一瞬固まる。ピシッと音が聞こえた気がした。

 返答に困るんですけど……。


「はぁ……」

「すごく美人で可愛いと評判で僕好みの顔だと聞いていたのに全く違うじゃないか。髪の色と瞳の色は噂通りだが」


 なんて失礼な人だろう。いくら王子様とはいえ初対面の女の子を相手にブスだなんて失礼だ。というか人としてどうなの?


「そんなに僕の婚約者になりたかったのか? いくら良い噂を流しても実際に会えばばれてしまうというのに……」

「その噂はわたくしどもで流したものではありませんが……。残念ながらわたくしのピークは七歳だったようです。このように残念な成長をしてしまいました。お目汚しをして申し訳ありません」

「七歳が人生のピークとはかわいそうだな」


 かわいそうなのはあなたの性格では?


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