2-18.
お母様の言う革命は置いておいて、『殿下に好かれないための顔』についての話し合いを続けた。
リネットはほかにもわたしのメイクで時間がかかっているところや、気を遣うところ、大変なところなどを説明してくれた。
化粧に見えないようにすること、自然に顔が変化すること、変化が戻らないようにすることが特に大変だと説明してくれる。
傷を隠すためのシートはずいぶん自然な仕上がりになるそうで、お父様の提案はわたしたちにとってとてもありがたいものだった。傷を隠すためのシートなのだからそうならないと困るのだろうけど。
きっと、わざわざお金をかけてぶさいくにみせるために使おうと考えている人はいないだろう。周囲にはわたしの顔がわからなくなるはずだ。
結果的に今、お父様やお母様にぶさいくになるためのメイクがばれて良かったのかもしれない。
もしかしたら、殿下が八歳になることを祝うお茶会に間に合うかもしれない。
殿下のお茶会以降も殿下がヒロインと知り合って結婚が本決まりになるまではぶさいくになるためのメイクを続ける必要がある。
……いや、アイドルを続ける限りずっとかな。
それからわたしたちはわたしの顔を使って『殿下に好かれないための顔』を研究した。もう皆ノリノリだった。
お父様たちの指示でリネットがメイクをしてくれているが、なんだかおもちゃにされているような気がする。誰でも一度は通る道なのかしら。
「シミはもう少し大きい方が良くないか?」
「あまり大きすぎるのは可哀想です。殿下に好かれないことは大事ですが、レティシアの評判を必要以上に落としてしまいます」
「悪い虫がつかない方が安心なんだがなぁ」
「これで寄ってくる男は外見を気にしない男かもしれませんが、我が家の財産目当ての男の可能性が高いと思いますよ。不美人なのにもらってやると勘違い男が寄ってくるかもしれません」
「それは困るなぁ。そうは言っても殿下に不美人と思ってもらわないといけないし……」
「メガネをかけるのはどうでしょうか?」
リネットが妥協案を出してくれた。このままいけば以前のわたしたちのように収拾がつかなくなってしまう恐れがある。
すでにわたしたちは失敗済みだ。冷静になってみるとあれはひどかったと思う……。
「いいわね。お化粧と相まって野暮ったさがでるかもしれないわ」
「うん。メガネも良いなぁ。普通に化粧をしないでメガネをかけたところも見てみたい」
「きっと、知的な美少女になると思われます。今度かけていただきましょう」
「そうだろう。そうだろう」
お父様はなぜか満足げだ。
いや、今はぶさいくになるための話し合いだから……。
その後もああだこうだしながらなんとか話がまとまった。
シミの箇所、大きさ、そばかすの範囲が決まった。もちろん、鼻を低く見せたり、目をしょぼくみせることはする。
あとはお母様ね……。ものすごく期待に満ちた目をしていたもの。
お母様は夢の中の世界に興味津々のようだ。メイク意外にもお母様の気を引くものがたくさんある気がする。
今日の話し合いの結果を元にお父様が手配してくれるらしい。どうやって作られるのか興味はあるけれど、お父様にお任せしよう。
そろそろアイドルになるための準備も始めないといけないしね。
あれ? そういえばわたし、アイドルだったことは言ったけど、こちらの世界でアイドルになりたいって宣言してない??




