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転生してもアイドルを目指します。悪役令嬢なんて可愛くないのでやりません。  作者: 和泉 凪紗
1.転生したら悪役令嬢? 異世界でもアイドルになりたい
2/38

1-1.  

 私は自分で言うのもあれだけど売れっ子のトップアイドルだ。毎日のように仕事仕事で休む暇もない。当然、今は学校にも殆ど行けていない……。

 けれど、大学への進学は目標だった。アイドルを始める時に絶対に学業との両立をすると決めていた。今は良くてもアイドルの寿命はそんなに長くない。魔法が解けてしまえば私なんてただの人間だ。セカンドキャリアを考えると学業も手を抜かずに大学にいった方が良いだろう。

 もちろん、大学にいったからといって将来が安泰なわけではないし、芸能界以外で簡単に仕事が見つかるというものではないということはわかっている。それでも、将来の選択肢は増やしたい。なので私は学校に行けなくても成績は落とさないように努力している。


 我ながら子供らしくない考えだと思う。もちろんそれには理由がある。私が小さい頃、私の家は裕福だった。家ではよくパーティーやお茶会をしたりしていろんな人が出入りしていた。けれど、家が傾いてからはあっという間に人がいなくなった。お金がなくなれば人なんてあっさり態度を変える。

 そして、アイドルとして売れっ子になれば知らない友人・知人が増えた。この人たちは私が落ち目のアイドルになれば消えるのだと思う。だから私はアイドルじゃなくなった後でも生活の基盤が必要だと思った。


 元々成績は良かった。家が傾いた後も変わらなかった。というかむしろ成績は向上した。それは単純に勉強するのにお金がかからなくて時間が余っていたから。私は小さい頃からたくさんの習い事漬けだったけれど、家が傾いてからは習い事は全部辞めなければいけなくなった。一気に暇になってしまった。けれど、勉強はテキストがあれば一人でもできるので塾を辞めたあとでも勉強に励んだ。


 良い会社に就職したい。そのためには良い大学に行く必要がある。国立大学に入り、奨学金を得るには成績優秀でなければいけない。中学二年生の時にスカウトされて芸能界入りしたあとも勉強は辞めなかった。アイドルとして成功するのは一握り。成功したからといってそれが一生続くわけではない。

 そんな努力の甲斐もあり、私は大学合格を推薦入試でいち早く決めていた。もちろん、一般入試でも合格する自信はあったけれど、さっさと合格して仕事に打ち込みたい。それにチャンスは多い方が良い。


 高校卒業後には念願のドーム公演も控えている。これは私の高校卒業を記念するコンサートだ。進学希望なのに浪人決定なんてこのコンサートに水を差すことにもなりかねない。早く合格を決めて周囲の人たちにも安心してもらえて良かった。

 私は学業と芸能活動を両立できていたと思う。アイドルとしての生活も、大学生として学業を大切にしなければいけない生活も続く。けれど、このコンサートは私の集大成だ。これまでの努力や苦労が報われる……はずだった。

 


 ドーム公演のリハーサル中。大きな物音がし、私の頭の上に照明機材が落ちてきた……。「危ない!」という声や「逃げて!」と言った声、悲鳴が聞こえてくる。危ない。逃げなきゃいけないとわかっているのに体が動かない。


 ……私の意識はそこで途絶えた。


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