2-6.
パッチテストをするための準備……。わたしはリネットに絵の具やクレヨンを水に溶いてもらったものを用意してもらう。
待っている間にとりあえず表を作った方が良いよね。リネットは鉱物由来と植物由来で分けてくれているし、それを紙に書き出して結果を書き込めるようにすれば良さそう。
パッチテストは確か、腕の内側に十円玉くらいの大きさに薄く液を塗って乾かすのよね。それで、三十分後と二十四時間後に観察する。何も反応がでないと良いんだけど……。
わたしは前世でやった金属アレルギーのパッチテストを思い出していた。
そもそもこの世界にアレルギーがあるのかわからないけど。
「レティシア様、準備ができましたよ。それは何なのでしょうか?」
「この表のこと? これから試すものとその結果をまとめるものよ。こうしておくとわかりやすいでしょう? 絵の具やクレヨンには番号を振ったからこの番号の順番に塗っていってほしいの」
「レティシア様は本当にすごいですね。こんなこともご存じだなんて……。これなら間違えずにパッチテストとやらをできそうです」
準備ができたので早速塗っていく。今回試したいのは……って、七歳の体って小さい。十円玉くらいの大きさで塗っていくと全部塗りきれないよ。仕方ない、三回に分けよう。
もしかして、乙女ゲーが舞台のWeb小説の世界なんだから細かいこととか気にしなくても大丈夫なのかな。でも一応ちゃんとやろう。……別にちょっと面倒くさくなったわけじゃないからね。
「リネット、これをに塗って乾かしたあとはしばらく洗っちゃいけないの。四十八時間は濡らさないようにしないといけないから協力して」
「四十八時間もですか? 仕方ありません。善処します」
「ごめんね。一回で終わらないからかなり迷惑かけちゃう」
「いえいえ。レティシア様のためですから。お顔に何かあるかもしれないことを考えればなんてことはありません。それにレティシア様がご自分のやりたいことを仰ってくれるのが嬉しくて……。最近は頑張って大人になろうと努力されていましたものね。まだまだ子供らしくしていて良い歳だというのに」
はぁ……、リネットが素敵過ぎるよ。世界に発信したいくらい。しないけど。
わたしがちょっと自分の世界に浸っているうちにリネットはさっさと塗り終わってしまった。本当に手際が良い。
「もったいないですが、お顔もきれいにしましょうか。誰かに見られると面倒ですし……。本当にもったいないですけど」
「そうね。なるべく面倒なことは避けたいわ。それにこれからお化粧で顔を変えていくんだもの。お化粧で顔を作っているなんてばれたら大変だわ」
リネットはとても残念そうにしている。そんなに良かったかしら。前世でのメイクってこの世界でも受け入れてもらえそう。これはきっと、Web小説によくあるやつでわたしもいろいろと商品開発しちゃう感じよね。
「ねぇ、わたしも商品を企画したり開発したりできるかしら?」
「旦那様にご相談されると良いですよ。きっとお話を聞いてくれると思います。レティシア様は何をお考えなのですか?」
リネットはわたしの腕を濡らさないように粛々とメイクを落として顔をきれいにしてくれる。会話をしながらも手を休めない。
「今日、お化粧品を触ってみてもっといろいろと種類があると良いと思ったの」
「確かにさっきのマスカラはとてもびっくりしました。お店に並べばとても人気商品になると思います」
「やっぱり? マスカラももっと使いやすいようにしたり、色を増やしたりできると思うの。それにまつげを上向きにさせたり、アイシャドウやリップの色ももっと増やしたいわ」
「レティシア様はすっかりお化粧に夢中ですね。それにしても、マスカラやパッチテストとかはどこで覚えてきたんですか?」
その言葉にわたしはギクリとした。やっぱりそうだよね……。




