2-5.
黙っていられると不安になる。わたしはリネットに恐る恐る聞いた。
「わたしのお化粧、おかしい?」
「……いえ、あまりにお可愛らしくて……。同じものを使ったのに全然違うので……。しかもレティシア様は初めてご自身でお化粧をなさったのに……」
驚いていただけだったようだ。心配して損しちゃった。でも、まだ完成じゃない。わたしはマスカラもどきを試してみることにした。アイラッシュカーラーが無いのが残念だけど、仕方ない。そのうちこれも作れるようになると良いな。
「まだ完成じゃないの。リネットに作ってもらったマスカラを塗るわ」
上手く塗れるかしら? 慎重にまつげにマスカラもどきを塗っていく。
やっぱりマスカラもどきなので塗りにくい。まつげも上がっていないし。でも、これでずいぶん印象が変わるはず。
あまりやりすぎてもケバくなっちゃうし程々に……。ダマにならないように……。
「どうかしら?」
「……さらに目がぱっちりしました。こんなものをまつげに塗るなんて……、と思いましたがすごいですね」
レティシアの髪の毛はきれいな銀色。当然、まつげも銀色だ。黒色のマスカラを使えばさらに目が強調されて大きく見える。うん。マスカラは正解っぽい。でももう少し色のバリエーションも研究したい。
「はぁ……。さらに魅力的になってしまって……。これではますます婚約話が殺到してしまいますね。……レティシア様、これ以上きれいになってどうするんですか。これでは殿下との婚約回避ができません!」
リネットはわたしの顔にうっとりとしていたのに、急に慌て始めた。まぁ、ぶさいくになりたいからメイクしたいと言ったのに反対のことしてるもんね……。
「落ち着いて。その話はこれからよ。リネットは美人とそうでない人の違いって何だと思う? それをお化粧で表現したいの」
「そうですねぇ。レティシア様の反対を目指せば良いんですよね……。まずはお肌でしょうか。シミやソバカスがありません」
わたしの顔の反対を目指せば良いとかかなり気恥ずかしいけど、どんどんアイディアを出してもらうおう。
「いいわね。採用よ。痣とかシミはどう?」
「良いですね! 毎日お化粧で表現するのは大変そうですが……」
「どうやって実現するかは置いていて、まずはぶさいくに見えるにはどうすれば良いか考えましょう」
「そうですね。でしたら、なるべく目は小さく見えるように。鼻も低い方が良いと思います」
「そうね。唇はどうしたら良いかしら。ほかのパーツとのバランスもあると思うのだけど……」
「そうですねぇ……。レティシア様のお顔でしたら薄くする方がバランスが悪くなると思います。レティシア様は小顔ですから少し大きく見えるにするのも良いかもしれません」
「目の大きさとか左右非対称にするのも良いと思うの」
「ほおがこけたりしていると可愛くないと思います。あと、レティシア様の髪の色もきれいすぎます」
「あとは……」
わたしたちは可愛くなくなるための条件をどんどん書き出していく。結構、アイディアが出てきたと思う。これをどう実現していくかが問題だ。
ぶさいくになるメイクをするためにはいろんな色が使えた方が良いので、わたしはリネットが持ってきてくれた絵の具やクレヨンのパッチテストを行うことにする。
上手くできるかな。




