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 わたしの目の前にはこの国の王子様。


「銀色の髪に紫の瞳……。おまえがレティシアか?」

「はい、そうでございます。お初にお目にかかります。レティシアと申します」

「おまえ、噂と違ってブスだな」


 周囲の空気が一瞬固まる。ピシッと音が聞こえた気がした。


「はぁ……」

「すごく美人で可愛いと評判で、僕好みの顔だと聞いていたのに違うじゃないか。髪の色と瞳の色は噂通りだが、かなりのぶさいくじゃないか」


 なんて失礼な人。いくら王子様とはいえ初対面の女の子を相手にブスだなんて失礼だ。今日はお城でのお茶会。この国の王子様であるロベルト殿下の誕生日を祝うためのお茶会だ。この会場には着飾った貴族令嬢がたくさんいて、一生懸命殿下の気を引こうと頑張っている。


「そんなに僕の婚約者になりたかったのか? いくら良い噂を流しても実際に会えばばれてしまうというのに……」

「その噂はわたくしどもで流したものではありませんが……。残念ながらわたくしのピークは七歳だったようです。このように残念な成長をしてしまいました。お目汚しをして申し訳ありません」

「七歳が人生のピークとはかわいそうだな」


 目の前の王子様はとても哀れんだ目でわたしを見ている。とてもイケメンなのに中身はとても残念な人みたい。


「わたくしはこの通りの容姿でございます。殿下の婚約者など身の程知らずな願いは持っておりませんのでご安心ください……」


 こんなことを言われて普通は傷ついたり、悲しんだりしそうなものだけど、わたしは全く気にしない。むしろ、作戦通りだ。さすがにちょっとイラッとするけど……。

 そう、わたしはこの日のために自分の容姿をぶさいくに変えてきたのだ。全てはこの人との婚約を回避するために……。


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