ももたろうといぬ
原作:桃太郎 楠山正雄 二次創作作品
桃太郎はずんずん行きますと、あたりがいきなりまっ暗になりました。さっきまでお日様がニコニコとあたりを照らしていたのに、おかしいなあと首をかしげました。
桃太郎があたりを見まわすと、そこはいつの間にかふかい森の中でした。
草や木のにおい、鳥のホウホウというなき声にまざって、
「誰か、誰か…」と声がしました。
そちらにいくと、草むらの中に犬のような耳と尻尾をしたおんなの子がいました。
「やいやい、へんな姿のきみは鬼のお供なのかい」
と、桃太郎はたずねました。
「きゃっ!?だれ!?…え、お、鬼…? 私は見ての通りのただの獣人ですぅ…それより…助けて下さい…!ピンチなんですぅ」
よく見ると、犬のおんなの子のまわりには、大きなナタをもったごろつきがいました。
そこは盗っ人たちの住処でした。
盗っ人というのは、いろんな人からどろぼうをはたらく悪い人のことです。
桃太郎はへらへらと笑うごろつきたちに、いつの間にかおんなの子を背にしてかこまれていたのです。
「ほう…なかなかいい着物じゃねえか。その額の布といい着物といい…ほう、エルフの紋章に似てるなぁ。さては、エルフの従者か?」
「えるふ?」
桃太郎は首をかしげます。
「隠さなくても分かるぜ…品位がにじみ出ていやがる…! ヒヒッ!獣人の女といい、今日はいい獲物が連れたなあ、お前達!」
「「「へっへっへっ…」」」
二十人ばかりのごろつきたちは、それぞれに手にした小刀をほうりなげて遊んだり、なめまわしたりしていました。
「きみたちが鬼か。宝をたくさんの人にかえしてあげなさい」
「はあ?俺達が鬼だってえ?ハッ、俺達は鬼より恐ろしいジギルス盗賊団だぜ!!」
「へえ。鬼よりも怖いなら、鬼退治のうでならしにちょうどいい。さあ来たまえ」
桃太郎は盗っ人のお頭にいいました。
「はあ!?てめえぶっ殺されてえのか!?おいおめえら、やっちまうぞ!!」
盗っ人たちはお頭のジギルスをさいしょに、桃太郎にとびかかりました。
「えい」
桃太郎は刀をぬいてひと息でかぜのように走りぬけると、すぐに盗っ人たちのみんなの小刀やナタが、ぜんぶ地面に落ちていました。
「え…?」
みんなが静かになった中で、犬のおんなの子の声だけが聞こえました。
「て、てめえええええええ!!」
にぎりこぶしを作ったお頭やごろつきたちが桃太郎にまたおそいかかって来ましたが、
「とお。」
またもひと息で風のように走りぬけた桃太郎によって、お頭以外のみんなが首の後ろをみね打ちされて気絶したのでした。
「ヒィッ!?」
お頭はこわくって声を上げました。
そしてすかさず、一人だけのこされたお頭を組みふせた桃太郎は、馬乗りにまたがって、
「どうだ、これで降参するんだな。」
といって、ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう、首をしめました。
「ひ、ヒィッ!ぐるじ、こ、降参する!降参するから命だけは助けてくれ!!そうだ、た、宝を全てやる!た、頼む!!」
こう言って、お頭はゆるしてもらいました。
盗っ人の大将のジギルスは、約束のとおり、オリハルコンの大剣だの、聖金貨20枚に金貨300枚だの、そのほかSR以上のスキルカード7枚などの、貴い宝物を山のように荷車に積んで出しました。
「こ、これで許して、くく、くれるんでしょうかッ!ヒィッ…」
お頭が言うと、
「よしよし、ゆるして上げましょう。」と桃太郎は言って、お頭の頭のうしろを刀の背中でたたきました。
「グッ…!」
お頭は目を白くして、顔からバタンとたおれました。
「いやあ、鬼よりも強い盗っ人を退治しただなんて。やっぱり僕は日本一強いんだ。」
桃太郎はとっても上きげんです。
するとさっきの犬のおんなの子が声を掛けてきました。
「あ、あのぅ…その…助けていただいて、本当にありがとうございます!!」
「いいや、どうってことないさ。」
桃太郎はどこかうれしそうに胸をはりました。
「そ、それで…その、お腰に下げたものは、何でしょうか…?美味しそうな…でも不思議な香りが…!」
犬のおんなの子はとってもおなかが空いていました。
「日本一のきびだんごさ。」
「に、にほ…?きび……? え、えと、その、は、はしたないと思われても仕方ありませんが…一つ、私に恵んではいただけませんか…?」
ぐぅ~と、犬のおんなの子のお腹がなりました。
「よし、よし。やるから、ついて来い。」
「ひゃうっ!?」
(俺について来い!? どどどどどうしよう男の人に、ここここ告白されちゃった!?ってむしろ求婚!?どどどうしよう私まだ14歳だし!って14歳だとお嫁にいける年齢になってるじゃないの!?あわわわわわお父さんお母さんおばあちゃんおじいちゃんお兄ちゃん!わ、わたしお嫁に行っちゃいますううううう!!)
犬のおんなの子はきびだんごを一つもらって、食べました。
「お、お、おいしいいいいいいいいいい!!!!もっちもちいいいい!!」
目をキラキラさせて犬のおんなの子は叫びました。
犬のおんなの子はきびだんごを食べて力が湧いたのか、全身が鉄のようにかたく、弓のようにしなやかになりました。
「こ、これは…!?」
◆ステータス
【名前】エリシア
【種族】獣人
【職業】村人
【レベル】65
【H P】3046
【M P】970
【攻撃力】1587
【防御力】1003
【素早さ】2320
【知 力】889
【魔 術】なし
【スキル】なし
ただの村人だった犬のおんなの子は、きびだんごで百人力になりました。
「どうだ、ついて来る気になったか。」
「い、一生ついていきますぅ…/////」
「よし、よし。」
テクテクという二人の足音といっしょに、ゴロゴロという荷車の音が森へとこだまします。
桃太郎が鬼をたいじするものがたりは、まだはじまったばかりです。
つづく
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