冒険者だってモンスターから見たら侵略者じゃねーか
俺の名前は爆岩炎蔵!爆弾ゴーレムの両親に惜しみなく愛情を注がれてすくすく育ちはや2年!今では立派な爆弾泥人形だ!
ぼんやりと前世だった頃の記憶が残っているのだけどずっと洞窟ぐらしなので不要な知識、暗く狭いが楽しい我が家、父ちゃんと母ちゃんと俺!親子3人楽しく暮らしてた。
俺の父ちゃんは昔魔王城の番兵をしていたと自慢していたがこの洞窟は人間にとって未開の地、父ちゃんが戦っている姿を見たことはなく母ちゃんに聞いても笑ってほんとうよ〜と答えるだけ、親父の見栄っ張りなのではないかと思っていた。平和な暮らしが終わるまでは...
平和な時間は唐突に終わる...この洞窟は以前冒険者達の溜まり場として使われていたものを魔王軍の侵略の際に奪いとったもので、今まで人間達が入ってこなかったのは作られて何十年も経った入り口が土砂などで塞がれており入れなかった事と魔王の領地という畏怖の念があったからであろう、つまり、魔王を倒そうとする恐れ知らずの馬鹿が入り口を開通してしまえばここは魔物の安息の地から経験値、ドロップアイテム採取の洞窟へ変わる...冒険者一行が洞窟の奥、いわゆる中ボス地点=俺たち家族が住んでいる空間に向かってくるとハネコウモリが伝えた後の父ちゃんの決断は早かった。
「炎蔵と母ちゃんはすぐに裏口から避難しろ!」
「私も一緒に戦うよ!一人より二人の方がいいじゃないか」
「俺の体は現役時代のように強くない...今の時代の人間の武器も昔とは違うだろう...今日が魔王様がおっしゃっていたその時になるかもしれん!俺にもしもの事があったらあの剣を頼むぞ...」
扉を蹴破る音が聞こえる、冒険者一行がついに我が家に来たようだった!
母ちゃんは歯をくいしばると俺を抱え裏口へ全速力で走った。風に乗って父ちゃんと冒険者の声が微かに聞こえてくる お互いに名乗りを上げ勇者の呪文、光、父ちゃんの溶岩の熱...冷気...
しばらくすると母ちゃんが立ち止まり扉を開いた、決して開けてはいけないと教えられた宝物室の扉だ、その中から飾ってあった結晶、よく見ると中に剣が入っているものを取り体の中に取り込む。部屋から出ようとしたその時、狭い通路に4人の足跡が反響する、それは父ちゃんが冒険者一行に倒されたことを告げるものであった。今部屋を出たら冒険者一行と遭遇するだろう。すると母ちゃんは俺の力一杯抱いてささやいた。
「炎蔵、お前は宝物室のワープ経路を使って脱出しなさい、そして魔王軍に保護してもらうのです。」
「なんで...母ちゃんも一緒に脱出しようよ...」
「私はいけません、お前一人で逃げるのです。それに父ちゃん...そして魔王様との約束も果たさなければいけません」
「約束?」
「母ちゃんがさっき取り込んだのは勇者の剣、我々魔王軍の弱点...その剣を人間の手から遠ざけるのが我が一族の使命。しかし父ちゃんが倒された今となっては私の力では守る事が出来ないでしょう...冒険者が宝物室の扉を開けた瞬間私は自爆します。これで体内の勇者の剣を破壊し、ついでに仇を取れるかもしれません。」
「でも...」
「あなたが爆発に巻き込まれると誘爆してしまいます。外の世界には気をつけるのですよ、幼いあなたは軽い衝撃で爆発してしまうのだから。」
話しながら母ちゃんは俺をワープ装置へ乗せる、それと同時に冒険者達が宝物室に入ってくる、母ちゃんは俺が見冒険者から見えないように立ちはだかり攻撃力upの呪文を唱える、ワープ装置が起動した、それを確かめると母ちゃんは微笑み自爆呪文を唱えた
俺はワープの光と母ちゃんの爆発、我が家の崩壊の景色を見ながら生まれて初めての青空の彼方に優しく放り出された...
これは一撃でもダメージを食らってしまうと自爆してしまう爆弾泥人形の復讐の物語...




