これで完結!?
「という夢を見たんだ・・・」
そんなベタな夢オチなんじゃないかと目が覚めてみれば、
やはり視界に飛び込んできたのは、茶色い天井と小さな手だった。
うん、色々ありすぎて正直よく分からない。
記憶がなければそんな心配もなかったと思うと複雑な気分だが・・・
色々分かったからといって、この体では何か出来るわけではないので、
まぁおいおい知っていけばいいだろうと楽観的に考えることにした。
さしあたっては、今が何時か知らないがなんとなく部屋が明るいので、
夜中に両親を起こすわけではないと思うので呼んでみようと思う。
落ち着いたらなんかお腹すいてきたし・・・
えっとたしかベッドにボタンがあると言ってたような・・・
そういって両手を少し動かしてみると何か丸いものが当たった。
これかな?ポチッと。
「は~い、今行くわよ~」
遠くからマユミママの声が聞こえる。うん、これだとスナックのママみたい。
マユミお母さん?う~ん、しっくり来ないな。
「おはようマコト。よく眠れたかしら?
どうしたのかな?トイレかな?お腹すいたかな?」
そう言って俺を抱き上げ、優しい笑顔で見つめてきた。
そうか、結構寝てたんだな俺。
「おあおー、おあんー」
「はい、おはよう。ご飯なのね~。じゃああっちのソファーに座りましょうか~」
そう言ってマユミさんはふかふかのソファーに俺を抱いたまま腰掛けた。
う~ん、これもしっくり来ない。やはり少し恥ずかしいが普通にママだろうか。
そうこう考えているうちに、ママはおもむろに服をたくし上げ俺を抱き寄せた。
ちょ!ちょっとまて!!!え?ご飯ってそういうことなの???
「ふふふ、そうよね~恥ずかしいよね~でもダメよ~。
普通のご飯はまだ食べれないし、こうして栄養を取らないと!
私は平気よ~。むしろ照れてるマコトを見たらキュンキュンしちゃう。
ちゃんとお腹いっぱいになるまで飲んでね~。
うふふ、でもエッチなことはまだダメですからね!!」
え、記憶がある男に授乳することに抵抗ないんですか!!?
これが普通なの?マユミさんが天然なの??
というかイカン!!こんな美人の授乳とか、これは興奮・・・
あれ?興奮しない・・・?
「どうかしら~?落ち着いた?
私も最初びっくりしたんだけど、意外と自然に受け入れられるのよね?
どうやら体に精神が引っ張られるということらしいんだけど、
最初は恥ずかしかったけど、それが当たり前だと思えるようになるのよ。」
なるほど。言われてみれば確かにお腹がすいたから早く飲みたいって思えてくる。
「それに記憶持ちっていうけど、その記憶もだんだん薄れてくるの。
私も昔結婚していた~とか、娘がいた~とかは覚えているけど、
どんな仕事をしていた~とか、旦那さんの名前は~とかはもう覚えていないし、
幸せだった~とか、悲しかった~とかの感情はあるけど、
どこへ行った~とか、地名とかもうほとんど覚えていないの。
どんどん今の人生の記憶に塗り変えられていく感じなのかな?」
そうなのか。忘れていってしまうと記憶を持っていた意味がないんじゃ・・・?
まぁにがりの作り方とか、醤油の作り方を知っていたわけじゃないから、
どの記憶を忘れたら困るかと言われると微妙だけど・・・。
「それにマコトは私がお腹を痛めて産んだことには違いないから、
私には可愛い息子としか思えないわ。だから、沢山飲んで元気に育ってね。
早く一緒にお出かけしたいわ!」
そういって微笑む母は、やっぱりとっても美人だけど、
なんとなくこの女性が、本当の母親なんだと思えるようになってきた。
いつの間にかお腹いっぱいになり幸せな気分になりながら、
また俺は夢の世界に旅立つのであった・・・