転生が普通?
「はははっ、やっぱり記憶があるか。そんな気はしてたんだが・・・
ああっと、まだ体は赤ん坊だから思うように動かないだろうから
そのままでいいぞ」
そう言って父親は俺をひょいっと抱き上げた。
「なんにせよ、待望の男の子だ!俺はうれしいぞ!
記憶を持って産まれたなら将来有望だろうし、
マユも自慢の息子に鼻が高くなっちゃうな!」
「うふふ、私は無事に育ってくれればそれだけで十分ですよ」
そういって隣の母親も優しく笑う。母親はマユっていうのか・・・。
っていうか、それよりえっ?記憶を持ってることを喜んでるけど、
というかこれが普通なの?
「そうだ!自己紹介がまだだったな。俺の名前はナカイ ダイスケ。
正真正銘キミの父親だ!はい、今度はママの番だな」
「はい、うふふ。私はマユミ。あなたのママになります。
旧姓はアオキ。水属性の魔法使いなのです。」
ダイスケにマユミか。日本っぽい名前なんだな・・・
って水属性っ?魔法使いっ???
ちょっと待って・・・なんか色々追いつかない!!!
「さぁ今度はキミの番だ!前世の名前は覚えてるかい?
覚えてなかったら名前も考えないとな。どうだい?覚えてる?」
えっ?名前?えっと・・・
「うー。あ、あおと!」
「ん?≪ナオト≫かな?違う?≪マコト≫?そうか、≪マコト≫か!
いい名前じゃないか!どうする違う名前にするかい?
俺は≪マコト≫でもいいと思うぞ?」
「私も素敵な名前だと思います。マコト、ナカイ マコト。
うん、とってもいいわ!決まりね!」
あれ?二人で盛り上がってる?まぁ嫌じゃないから別にいいんだが・・・
俺の名前は ナカイ マコトか。
「よぉし、マコト!色々気になることとかもきっとあると思うが、
まだまだ産まれたばっかりだからそんなに心配しなくていい。
パパがしっかり守ってやるから!まずは良く寝て、よく食べて、よく遊べ!
あぁまだ食べたり遊んだりは出来ないか。うん、よく寝ればよし!
しっかりしゃべれるようになるのも記憶があっても1歳になるくらいだし、
今はゆっくり寝て、元気に育ってくれればいいんだ。」
「いおうあうおあ、うとぅーあお?」
「お?なんだ?マユ分かる?」
「多分、記憶あるのは普通なの?かしら?」
さすがママ!というか、今ので分かるとかこれが母親パワーか。
というよりママって呼ぶのか?うーん慣れるわけないんだけど、どうなんだ?
俺はとりあえず「うんうん」と笑顔で返す。
「おぉ、そうだったな!記憶があるということは女神様に会ったんだろうが、
この世界には前世の記憶を持っている人は結構いるぞ。
俺もそうだし、ママもそうだ!そして記憶を持っている人は産まれてから
3日目に意識が目覚めるようになってる。
だから、俺は今日早めに仕事を終わらせて帰ってきたんだ。」
ダイスケがうれしそうに話してくれる。
「記憶を持った子はね、記憶を持った両親から産まれてきやすいんだ。
これは女神様の配慮なのかな?その方が余計な苦労をしないで済むからな。
そして俺は前世で子供に恵まれなかったんだ。
だから、マコトが産まれてきてくれて本当にうれしいぞ!
一緒に遊んだり、出かけたり色々やりたいことがあるんだ!!」
「うふふ、私は前世は娘がいたんだけど早くに亡くしてね。
男の子が今度は欲しいな~って思ってたの!!
産まれてすぐに重い話なんて思ったらごめんなさいね?
娘が亡くなったときはすごく悲しかったけど
それまでもその後も十分幸せな人生だったし、
今はもう一度家族を作れるだけでとっても幸せなのよ?」
「だから、マコトもママにいっぱい甘えてくれていいからね?
恥ずかしがったってだめよ?一緒にお風呂入ったり、お買い物したり、
あ、ママが恋人になってもいいのよ?ふふふ。」
「ちょっと!マユには俺がいるじゃないか!
マコトとこ、恋人とか・・・それはナシだぞ!」
「うふふ、もう息子に嫉妬ですか?大丈夫ですよ、
私の旦那様はダイスケだけですから。」
「いや、別にそんなんじゃないぞ!まぁマユは美人で素敵な女性だからな、
マコトが好きになるのは仕方ない。」
「あら、うれしい。じゃあ今夜も張り切っておいしいご飯を作りますからね!」
仲がいい両親を見て、良い家庭なようで一安心したのと、
いまだ頭の整理がつかず色々と考えていると少し離れたところから
眠そうな声が聞こえてきた。
「パパー、お仕事から帰ってきたの?」