突然・・・
「あなたは死にました」
「えっ?」
何もない真っ白な空間に、見たことない女性が立っている。いや、浮かんでいる?
「ここは死後の世界。あなたが生まれ変わる前に魂を清める場所です。」
えぇと・・・結構リアルな夢というか、
それにしてははっきりしすぎというか・・・
たしかに心筋梗塞で倒れて入院してから、死んだあとのことを考えたりするけど、
これはさすがに「ベタ」すぎて笑ってしまうな・・・
「すでに記憶が薄れつつあるかと思いますが、あなたは心不全により75歳で
亡くなりました。それにより転生に向けた準備をここでしていただきます。」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「なんと!ではこれは夢ではない・・・と!?」
「はい」
「もう娘や孫たちや、ばあさんとは会えない・・・と?」
「はい」
「そうですか。あまり自分の最後を覚えていませんが、
家族には迷惑を掛けずに逝けましたか?」
「入院生活も長いものではなかったですし、眠るように亡くなりましたので、
平均的な死よりは、迷惑を掛けてないと考えてもよろしいかと思います。」
「そうですか。孫の成長ももっと見たかったし、ばあさんとは
もう少し旅行したいとは思っていましたが、これも人生でしょうね。
あぁ・・・ばあさんにありがとうを最後言いたかったな・・・」
倒れて入院したときに、ある程度覚悟があったからなのか、
意外と冷静に自分の死を受け止めている自分がいる。
だが、死んだとするならば当然のように次の疑問が浮かんでくる・・・
「もしかするとあなたは神様?いや女神様というわけですか?」
「そうですね。その認識でかまいません。」
確かに、言葉では言い表せない美しさを持った女性だ。
女神様としてはベタなところだが。
「なるほど。死後の世界ではこのように、過去と向き合う時間があって
転生していくのか。輪廻転生とか、意外と世界の認識は間違ってなかったのか。
いやこれはもしかすると、何らかの理由でこの記憶を持って転生した人間が
何人もいたということか・・・。」
「合っている部分と、間違っている部分がありますね。まず、大多数の生命は
この場所に来ることなく、魂を清めるだけでまた転生して戻っていきます。
その際に、多少記憶が残った状態で生まれ変わってしまう
イレギュラーがあることは事実です。
デジャヴといったものも、そういった一部の記憶の表れでもあります。」
「ということは、私はその大多数ではない・・・と?
これは・・・もしかすると・・・昔何度か想像した・・・」
「異世界転生キタァーーーーーーーーーーーーー!!
・・・というベタなやつですか???」
「いえ、違います」
「違うのかよっ!」
「ですが、それに近い理由でここにお呼びしたことは間違いありません」
「近い理由?」
「はい、あなたには今テストをしている
≪ベターナルワールド≫に転生していただきたいのです。」
ベターナルワールド!!?