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傘の夢  作者: つばきハル
3/10

3.転校初日

次の日の朝がきた。僕の制限時間は13日。学校の教室という部屋に、教頭という男とともに足を踏み入れた。と、同時にそこにいた女の人が僕の名前を黒板に書き始め、

「自己紹介して。」

と、言われたので、

「水守 夕雨です。よろしくお願いします。」

とだけ言った。女の人は窓際の一番後ろの席を指差して、

「あなたの席は、あそこよ。座って」

と、言って、僕が席に着くと同時にいろいろなことを説明した。先生が話を終えて出て行くと、前の席の女子が振り返って声をかけてきた。

「はじめまして。私、ヨシダ ミミっていうの。困ったことあったら言って。力になるから。」

緊張していて気がつかなかったけど、実は僕の席の前に座っていたのは未実さんだった。その衝撃に、話しかけられたその瞬間の姿勢のまま固まっていると、

「あれ?、びっくりさせちゃった??ごめんね。」

と、謝られてしまった。

「いやいや、ごめん。ミズモリ ユウです。こちらこそよろしく」

と、なんとか返した。すると、

「あー、よかった。仲良くしてね。」

と、言ってくれた。僕が思っていたよりも話しやすくて気さくな人だった。授業はなんとなく受けて、お昼休みになったので、気になったことを聞いてみた。

「ねー、吉田さん。靴箱のところの板って何?」

「板?掲示板のこと?あれは、委員会ごとに張り紙してるコーナーなんだよ。今だと給食の献立とか、図書のオススメの本とか貼ってあるよ。」

と、教えてくれた。僕の反応を見て、

「水守くんの前の学校にはなかったの?」

と、聞かれたけど、

「僕、あんまり周り見てなかったから、知らなかっただけで、あったのかもね。」

と、答えておいた。

 長かったようであっという間だった授業の時間が終わった。わからないことばかりだったけど、このスタイルが新鮮で楽しかった。さて、授業が全部終わったので、帰る支度をしていると、前から、

「水守ー、家どこなの?」

と、聞かれた。この声は、隅田だ。

「雨野だけど?」

僕が答えると、

「俺、北穂だから、途中まで一緒に行こうぜ。」

と、誘ってくれた。と、その話を聞いていた吉田さんが、

「雨野って、うちと一緒の地区じゃん。私も一緒に帰っていい?」

と、入ってきた。転校早々に一緒に帰るほどの友達ができた。わいわい話しながらの帰り道、しばらく話していると、隅田の家とは別方向に渡ることになる交差点まできた。友達になりたいという夢が叶っただけで十分だったはずなのに、まさか、2人で通学路を帰っているなんて、自分でも驚いて、ドキドキが止まらなかった。人の世界では、この気持ちをなんていうんだろう?


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