白地図
私が、祖母の形見として受け取ったのは、とても古い白地図だった。
線は日本列島の他に、世界中にあり、ただ国境線はどこにもなかった。
それ以外には、ボールペンで一言添えられているだけだ。
「好きに描け、線はどこまでも伸びる」
国境なんてない、それが最初で最後の祖母からの教え。
だから、私は世界中を旅している。
あの白地図は今やいろんな色に塗りつぶされている。
最初に塗ったのは、私が生まれた日本。
それから大陸に渡って、世界を何周もして、テレビにも出て、それでどこにでも行けるぐらいのお金持ちになって。
それでも冒険はやめれない。
私は今日も、色とりどりの白地図をもって、国境をまたいでいく。
どこまでも、どこまでも広がっている世界を旅して。