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着せ替え人形

作者:桜宮 雨

 ずっとお洒落に無頓着だった私が、彼氏が出来て以来、洋服が大好きになった。

 フリルのついた真っ白なブラウス。花柄のピンクのスカート。甘いレースで飾ったベージュのトレンチに、レースアップの黒いショートブーツ。

 ショップ店員の可愛いお姉さんと、友達みたいに騒ぎながら選んだコーデを試着して、試着室の鏡の前で1周り。

 「うん、やっぱり可愛い。」

 これを着てデートをする光景を思い浮かべて、思わず笑みが零れる。絶対彼氏も、こういうスタイルが好きなはずだ。

 …まあ、どうせホテルに行ったら全部脱ぐのだけれど。

それでも私は、今日も洋服を漁る。彼氏に一瞬でも「可愛い」って言ってもらいたいし、何より自分の欲求が満たされるから。
 さっき友達みたいに騒いだ店員も、結局は自分にお金を使わせたいだけなんてことも、もちろん知っている。

 顔は零れた笑みのまま、どこか冷めた気持ちで洋服を脱いだ。


 着せ替え人形
 (それに意味なんてないよ)

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