真の目的、こんな異世界から元の世界に帰ることを。
「敵の油断を誘っているのだろう?
確かに、短絡的な感情の持ち主ならば簡単にかかるだろうな」
「いや……別に」
無いですよ? 全く。
「ふん、貴様のそのたたずまい、
一見隙だらけのようではあるが我にはわかる」
再びおじさん、したり顔。
何がわかったの?
「臆している者は、内なる弱気を自ずと醸し出してしまうもの。
だが、貴様はそれを微塵も見せぬ。
更に、その堂々たる振る舞い。
しかし相反するがごとく、闘気を完全に消している。
そのような芸当、並の者には体現すること叶わぬ」
すっごい低い声で、すっごい言い回ししてるけど、
そんなんじゃないですから。
なんか、おじさんがすっごい馬鹿に見えてきた。
「そもそも、相応の覚悟無き者でなければ、
わざわざ我の牙城に来る必要もあるまい?」
「はあ……そうすか」
俺、一応の相槌。
「ボーメランデアも豪傑ではあるが、沸点の低い者でもあった。
あやつにならば有効かもしれないが、我は騙せぬぞ」
おじさん、したり顔&低い声でクククと笑う。
今、サラッと仲間をディスったな。
「上手いこと騙せましたね~タケマルさん」
近くでヴルデュイユの小声が聞こえてきた。
「まあ、一応。あとは上手くいくかどうか」
俺も小さい声で帰す。
「フミオノーレさんに気付かれない限りで、しっかりとご協力します。
頑張りましょう~」
唯一、俺の真の目的に協力してくれてるヴルデュイユだが、
今一つ頼りない。
だが、仕方がない。
本当の意味での仲間は、この邪神見習いだけなのだ。
何としても達成しなくては。
真の目的、こんな異世界から元の世界に帰ることを。