そういう設定とか好き
「タケマルさんを召喚した方法ですか〜?」
「うん、どうやったの?」
「それはですね〜」
と、ヴルデュイユが言いかけたところで、階段が終わった。
目の前には金属でできた、巨大でいかにも分厚そうな両開きの扉がある。
「さあ、ここです! この奥が研究所になっています!
今開けるので、少し待っていてくださいね」
何か張り切ってるなあ、フミオノーレ。
と思っている間に、フミオノーレは目をつぶって、
何やら呪文のようなものを唱えだした。
すると、急に扉の全面に文字やら魔法陣っぽいものやらが現れて、
絡まった鎖が解れていくように消えていく。
全部消えた後、扉が大きく軋む音を立てながらゆっくりと開いた。
「さあ、どうぞ中へ!」
呪文を唱え終わったフミオノーレに促されて、俺は中に入った。
ヴルデュイユから俺の召喚方法を聞きたかったけど、まあ、後でいいか。
中へ入ると、そこは確かに研究所っぽかった。
地下にある割には巨大な空間で、二階、三階部分まである。
壁一面には本がギッシリ詰まっていて、たまに歴史番組とかで見る
中世時代の図書館みたいだ。
「おお! デケー」
思わず唸る俺に、フミオノーレは嬉しそうな笑みを見せる。
「ここでも、まだほんの一部なんですよ。
周りにある扉は隣の部屋に繋がっていて、そこもここと同じくらいの
広さがあります。
世界中から集められた書物があって、古代のものから近代のもの、
南の国のものから遥か東の国のものまで、
三千万冊を超える蔵書が保管されています」
「三千……」
想像できない数だな……。
確かに小さい扉も幾つかあるし、読むための台座とか写字台とかもあるけど……
あるんだけどね?
何故か、こんだけ広いのに人が全くいないんだけど……。
「今は別の研究に取り組んでいるところなので、人はいないんです」
俺の心を読んだようにフミオノーレが教えてくれる。
「別の研究?」
「はい、魔法障壁の強化実験をしてまして、魔王軍の攻撃に
城壁が耐えられるよう対策をしているんですよ。
城壁に特殊な呪文と幾何学模様を描いた石材、木材を組み込み、
新たに組み上げた元素構成の魔術を、
国が認定した特級魔道士数人で施すという実験をしているんです」
控えめにしつつも、得意気な雰囲気が隠しきれないまま解説するフミオノーレ。
「ふーん」
俺は関心があるんだか無いんだか、曖昧な返事だけ返す。
だって、分かる様な分からん様な感じじゃん?。
いや、そういう設定とか好きなんだけどね?
「さて、この奥が対魔物研究の施設になってます。
もうちょっと歩きますが、すぐに着くので」
「はいよ」
と、生返事したまでは良かったけど、
扉を抜けて通路を抜けて、
更に扉を抜けて通路を抜けて……。
かれこれ一時間くらい歩いてない?
その間にもフミオノーレがルンルン気分で色々解説してくれてたけど、
歩くのに飽きて解説全部耳の中をスルーしていきました。
さっきと違ってずっと話しかけられてたから、ヴルデュイユにも続き訊く暇なかった……。
にしても、これだけ歩いたのに全く疲れないな。
やっぱり俺、改造されたのか?




