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えがきたくもない物語  作者: 万彩雨虹
第零章
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気にしない、気にしない

「これまでも、これからも、起こることは全て、

 タケマルさんの伝説として語り継がれるものなのです。

 英雄譚として、この世界の歴史に燦然と輝くものとして、

 描かれていくべきものなのですよ。

 そして、それこそが、多くの民に希望を与えるものだというのに……

 この邪神ふぜいが……」

「だって~一人前の邪神になるには……」

 

 グジュ!

 

 ヴルデュイユの後頭部に突き刺さった杖をグリグリするフミオラ。

「今のあなたは何なのか、言ってごらんなさい」

「ですから、邪神見習いの……」

 

 グジュッ! ブシュッ! グチャッ!


「何なのか……言って……ごらんなさい?」

「貴方様の使い魔ふぜいです……」

 折れたヴルデュイユ。

 ついでに頭と首も折れている。

 さすがにエグい。


 さて、目の前の惨劇は気にしないことにして。


 そのとき、俺の袖がクイクイ、と引っ張られた。

「あ、あの……タケマルさんのご活躍は、私がしっかりと記録しますので……

 その……頑張ってください」

 尼僧服に身を包み、遠慮がちに言ってくる女の子。

 皮と羊皮紙でできた分厚い本を胸に抱える姿は愛らしい。

 異世界に来て得た唯一の癒し。

 筆記者のカミナ。

「カミナ、安全な所にいるんだよ。いいね?」

 そういう俺に「はい」と可愛く返事して皆の後ろに移動するカミナ。

「わ……私にもご慈悲を……」

 すがる様に手を伸ばしてくるヴルデュイユ。

 その手を踏みつけ、踵でグリグリするフミオノーレ。

 気にしない、気にしない。

「そんなことより、熱いからとっとと行くぞ」

 俺は猛炎の魔城最上部、ガオンの間のデカい扉を押し開いた。


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