逆ファイナル・デスティネーション
「そ、そういえば、最後の、定めの流れに愛されし者っていうのは?」
何となく気まずいので、俺から聞いてみる。
「そうでした~最後の、定めの流れに愛されし者、運命に選ばれし者というのは、
どんな災いにも不運にも巻き込まれることなく、
その日の生を常に全うできていることです~」
しばしの沈黙、
違う意味で。
それって普通のことじゃん、
って、大半の人は思うはず。
でも、俺は違うことを考えていた。
最後のその条件、ちょっと心当たりあるんですよね……。
「何で……それが当てはまると思ったの?」
一応聞いてみる。
たぶん予想だと、普通の答えは返ってこないと思う。
「タケマルさんは~災いの危機の数々を全て乗り越えていました~
例えば、空を飛ぶ鉄の船が事故に遭って落ちてしましましたが、
船はバラバラに壊れても犠牲者は一人も出ませんでした~」
鉄の船、飛行機のことですね。
ありましたね、そんなこと。
修学旅行のときだったかな……。
奇跡の生還って騒がれましたよ。
「他にも~連続で8回雷に打たれましたが、傷一つ負いませんでした~」
あれはビックリでしたね。
あとで聞いたら、近くの木とか水たまりとか電柱とかに流れたらしくて、
それで助かったらしいです。
スゲー怖かった記憶がある。
ちなみに、ヒッキーになった原因の一つです。はい。
「あとは~家畜の大暴走があっても、
タケマルさんの所だけ避ける形になって難を逃れてました~
それに、牛さんたちにも犠牲は出ませんでしたね~」
子供の頃の話ですね。
田舎の牧場を見学に行ったときですわ。
引率の先生が洪水みたいに流れていく猛牛の向こうで、
スゲー不安な顔してたの覚えてます。
ちなみにこれも、ヒッキーになった原因の一つであります。
おや? 何でそんな前のこと知ってるの?
まあ……ネットで調べればすぐか。
今は何でもネットに載ってますからね。
「それに~調理器具のお店にタケマルさんが行ってたとき地震があって、
頭の上から刃物が雨のように降り注ぎ、
割れた展示棚の中からも何本もの刃物が飛び出してきましたが、
全部タケマルさんを避けるようにして壁とか床に刺さってました~」
ありましたね、そんなこと。
親がちょっと良い包丁が欲しくなったとかで、荷物持ちも兼ねて同行したときです。
あれは肝を潰しましたね。
ちなみに、ヒッキーになった原因の一つです……。
「それとそれと~他にも……」
「あ、その辺でいいです、わかりました……」
俺は手を前に掲げて、ヴルデュユを止めた。
はあ……過去のトラウマが傷口を開いていく……。
確かに他にも色々とあったけど、思い出したくない……。
だって、怖かったんだもん……。
その有り得ない奇跡の連続のせいで、
当時の友人たちからはGFD、逆ファイナル・デスティネーション
っていうあだ名が付けられてました。
しまいには、ただ単にファイナルって呼ばれてた。
「いや~ですからタケマルさんの命を奪うときは、苦労しましたよ~」
は? 今、何て言った?




