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えがきたくもない物語  作者: 万彩雨虹
第壱章
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町人A

「真の救世主は、そういうの求めない!」

 苦し紛れの一言。

 もう相手の話に乗るしかない。それしか思いつかない。

 取りあえず乗っとけば、その場のノリで引き下がってくれるかも。

 俺がハッキリ言うと、フミオノーレはピタッと歩みを止めた。

「……わりました」

 彼女はそれだけ言って、ローブを羽織り出した。

 おや? あっさり引き下がってくれたな。

 話に乗るのが良かったか?

 にしても、三次元女子見てもドキドキしなかったな。

 ドギマギはしたけど。

 やっぱり嫁のティターニアじゃないとね。

「そこの、タケマル様に早くお召し物を持ってきなさい」

 フミオノーレがヴルデュユに命令する。

 おや……今回は杖での制裁は無しか。

 いや、それが普通なんですけどね。

「それとさ、その様付けるの止めてくれない?」

「なぜですか? 救世主様をお呼びするのに当然のことだと……」

「いや、さっきも言ったけど、俺、別にそんな風に呼ばれるほどの人間じゃないし」

 しばしの沈黙。

 フミオノーレは黙ったまま俺を見ている。

 あれ、なんか変なこと言った?

「どうぞ~これを着てくださいね~」

 ヴルデュユが服を持ってくる。

 俺はいそいそとその服を着るが、

 その間にも、フミオノーレは俺を黙ったまま見ていた。

 あの……恥ずかしいんで、そんな見ないでください。

 まるでRPGの町人Aみたいな普通の服だ。

 着終わるまで気付かなかったけど、

 この服、普段俺が来てる服より大分小さい。

 でも、難なく着れた。

 何で?

 服をめくって体を見てみる。

 うそ……腹筋が割れてる……。

 三段腹にもならないほど腹が出ていたはずなのに……。

 それだけじゃないみたいだ。

 腕とか胸元とか色々触ってみるけど、

 どこもいつもと感触が違う。

 ブヨブヨではなく、ガッチリしている。

 一言で言えば痩せマッチョ体系。

 何で? まさか俺、改造された?

 そんな不思議そうにしている俺を、フミオノーレはまだ見ていた。

 いや、そろそろ怖いっす。


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