転生してから一ヶ月
異世界に召喚されて、一ヶ月後。
場所は、猛炎の魔城。
今回の敵は、魔王配下・溶岩竜ガオン
異世界に召喚されて、もうそんなに経ったのか……。
いつもながら、何で俺がそんな怪物相手にせにゃならんのだ。
「いよいよ魔王軍大幹部、ガオンとの対決ですね!」
俺を召喚させた女祭司のフミオノーレ。
銀製の髪留めで黒い長髪を結い、大きな魔法石が先端に付いた杖に漆黒のローブをまとう。
今にもな魔道士的風貌だが、背はちっこい。
「まさか貴様がガオンと対峙できるほどの猛者だったとは、認めなくてはなるまい」
元聖堂騎士団女団長、ハルーム。
金髪、短髪。
聖なる文言らしい文字が刻まれた板金鎧を着るデカ女。
「研鑽を積み練り上げたこの体、どこまで通じ得るのか……ふふ、疼きが止まらぬ」
スキンヘッドに浮かぶ古代文明の文様みたいな入れ墨。
ボロボロの僧服から見える傷だらけの体。
若干危ない感じの体術家、脳筋男のドロッド。
「みんな、何でそんなに俺を見るの?」
こんな暑苦しい場所で、更に各々の暑苦しい視線を受ける俺。
一応の鎧と剣を持った、この国、
果ては世界を救う救世主と思い込まれている男、タケマル。
変な名前? ほっとけ!
全国のタケマルさんに失礼な!
「頑張ってくださいよ〜タケマルさんが武勲を立てれば立てるほど、
私の名声が世界に轟くんですから」
フミオラの命で俺を召喚した張本人。
銀髪、角、赤褐色の肌。
鎖みたいなものを体に巻き付けて裸体を隠すチョイエロ。
なぜ鎖?
邪神見習いのヴルデュイユ(女型)。
ゴスッ!
と、フミオラが持っている杖でヴルデュイユの脳天をかち割る。
「何言ってんですか? 名声? 邪神のなりそこないごときが?」
ゴスッ! ゴスッ!
フミオノーレが、地面に突っ伏したヴルデュイユの後頭部に追い打ちをかける。