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独奏者達とリトープス  作者: 悠
《序章》
1/4

どうか許して、愛しい人

『――災厄がやってくる』


チリン、と鈴の音を響かせ、艶やかな衣を身につけた人影はそう独りごちた。


『妾達の代の悪しき物が、今生に降り注いでしまう…』


語り口から察するに女性だろうか。

なにかに堪えるように顔を歪めた彼女は立ち上がり、衣の裾を引きずりながらたどり着いた大きな鏡に手をつく。

豪華な装飾がなされた鏡に映るのは、静かに寝息を立てる美しい少女。


『…これも、運命(さだめ)であるというのか…』


苦々しく呟いた彼女は、少女に寄り添うように額を鏡に押し付けた。

サラリと流れた黒髪の隙間から見える表情には苦悶の色と、こらえきれない悲しみの色がにじむ。


『許しておくれ、妾の愛しい――』


――大好きだった。愛していた。

それでももうこの声は、そなたに届かぬというのだろうか。

彼女の懺悔は誰にも届くことなく、鈴の音だけが宙に消えた。

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