聖騎士団長に弟子入りした件
風呂から上がったレフィアはいい匂いがした。まぁ自分の家のシャンプーの匂いなので新鮮さはないけど。
俺が用意した服はちょっとブカブカで無い双丘の先が見えそうで逸らすのに必死だった。気を紛らすためリビングに連れて行き、じっくり話を聞くことにした。疑問が数点あったので聞くにはちょうどいい時間だった。
人間が魔界にくるには魔法Lv.6くらいじゃないと覚えることができない転移魔法が必要なのだ。こんな小さい少女1人ということはありえなかった。おそらく誰かと来て逸れたのだろう。と俺は思っていた。
話を聞くと俺の考えは的中し、父親と来たが用事で泊まっていたところを出て行き留守番が暇で外に出たら魔族の子に追いかけられ殴られボロボロになっていたと言うことだった。
「えっと、お父さんはどこに行ったの?」
「…わからない」
泣きそうな顔でそう答えた。泊まっていた場所はこの家から近く、そこのオジさんはたまに家に来ていた事から知り合いだった。俺はそのオジさんに連絡を取るという口実を作って念願の外へ出る事ができた。勿論執事付きだが。
「おぉ。ベルちゃん。どうしたんだい?」
店に入ると中々気安く声をかけてきたオジさんがいた。ザクスとは仲が大変いいらしく俺にも優しくしてくれるいい人だった。
俺は宿屋オジさんに事情を説明し、レフィアの父親が帰ってきたら連絡をくれるよう頼んだ。レフィアは当分の間、俺の家で泊まることとなった。そのことを決めた時、何故かレフィアは顔を赤らめていた。
それから一週間、俺達は遊びまくり親友と呼べるくらい仲良くなった。レフィアはとても明るい少女だった。遊び呆けてから家に帰りまた、明日は何をして遊ぶか。という話し合いをしている時に一本の連絡が入った。
「レフィア、お父さん帰ってきたってさ。」
宿屋オジさんからの連絡だった。レフィアは嬉しそうな、悲しそうな、どちらとも取れない顔をしていた。
「明日の朝迎えに来るってさ!」
「そっか。じゃあ明日でお別れなんだね…。」
また泣きそうな顔をしていた。この一週間でわかったがレフィアは結構泣き虫なのだ。そこがまた可愛いのだが。
「ははは。大丈夫だよ。もうちょっと大きくなったらまた会えるさ!」
「会えるかわかんないじゃん…」
可愛く俯いて下から俺を見つめる。キュン死ですわ。オタクだった俺にすればプロボクサー級のストレートが入った気分だった。
「会えるさ。何時になるかはわからないけどね!絶対会えるよ」
何故だか分からないがそう確信していた。何故か会える気しかしないのだ。それも遠くない未来に。だからほんの少ししか寂しくなかった。その晩は仲良く手をつないで寝た。俺はレフィアが妹のように可愛かった。いや、もうレフィアの兄気分だった。
翌朝、家の前に騎士風の若めのオッサンが立っていた。レフィアの父親なのだそうだ。レフィアの父親は俺の顔を見てニッコリ微笑んだ。
「君が、ザクスの息子か?うむ。随分可愛いじゃないか。確かに目元がザクスに似てるな。」
なんだこいつ。的な目で俺が見ているのに気づいたのか、おっと。といった感じで名乗ってきた。
「あぁ。俺はレフィアの父親だ。ヘリオス・アルノートだ。娘と仲良くしてくれてありがとう。一応聖騎士団長をしている。職業柄の都合上はザクスの敵だが親友だ。安心してくれ。」
聖騎士の名を聞いて目を輝せた俺を見て身構えたように見えたのだろうか。そう付け加えてきた。聖騎士団長とか本当にいるんだな。この歳で団長とは、中々凄い。魔法の才能がない俺は剣しかない。この聖騎士に教えてもらう事で俺の剣術が磨かれるのでは。そう思い頼む事にした。
「あの。お願い聞いてもらってもいいですか?…」
「ん?なんだ。俺にできる事なら聞こう。」
「剣を教えてくれませんか?」
ヘリオスは俺の目をジッと見つめてニヤッと笑った。
「聖騎士が魔王の息子に剣を教える…か。面白いじゃないか。いいだろう。ただし俺は厳しいぞ?レフィア。もう少し滞在だ。いいな?」
それを聞いたレフィアはとても嬉しそうな顔でコクコクと頷いていた。
俺としても嬉しい。聖騎士に剣を教えてもらうって中々英雄っぽくない?魔王の息子だけど。
それから俺は二ヶ月間ヘリオスにみっちりしごかれ剣を磨いていった。
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《ステータス》
サーベルト・ルシフェル・アラディア
種族:魔族
称号:無し
スキル:火炎操作・無詠唱・水流操作・風力操作・雷光操作・暗闇操作・土塊操作
魔法属性:火・水・風・光・闇・土
剣術レベル:5
魔法レベル:2
誤字とかしてたら教えてください( ノ;_ _)ノ