魔法の才能がなかった件
《ゼロから始める魔法の本!》と、その二を読んで火系統魔法初級中級を全て覚えた。先日初級の魔法を成功させて喜んでいたが中級魔法を使用しようとした時、ある問題が発生していた。
中級魔法【炎槍】を窓の外に向け発動した。初級魔法の様に成功すると思っていたらまさかの初級魔法よりも威力が劣った魔法となってしまった。【炎槍】だけかと思い他の中級魔法も試したがどれもショボかったのだ。本には初級魔法の5倍近くの威力が出ると書いてあったが確実に1/2すら出てないのだ。こういう悩みがある時は何時もならあの声が頭に響くのだが今日に限って何も聞こえてこない。そこまで万能じゃなかった。ということなのだろうか?もしかして俺、魔法の才能ない系?…嘘だろ?中級魔法すら使えない魔王の息子って一体…。その後何度やっても上手くいかず俺は断念して水系統の初級魔法を覚えることにした。まずは【水球】を覚えるのに30分かかった。やはり火操作があったから時間短縮できたようだ。
『【水球】を取得しました。水系統の魔法取得によりスキル【水操作】を取得しました。』
おっ?水系統魔法も早くなるってことか?もしかして一つ覚えたらその系統の魔法に対する操作スキルが手に入るんじゃ?そう思い俺は風の初級魔法、光の初級魔法、闇の初級魔法、土の初級魔法を一気に覚えた。
『スキル【風操作】【光操作】【闇操作】【土操作】を取得しました。』
思った通りになったが、初級魔法しか使えないんだからこんなスキルがあってもなぁ…と思う。まあ暇なので一応全属性初級魔法は覚えた。
一応中級魔法も全て覚えたが、やはり無理なようだった。努力でなんとかならないのかと思い初級魔法を使いまくり練習をしていると
『アップデートします。
・攻撃力上昇Lv.2
・魔力量上昇Lv.2』
レベルアップしたようだ。魔力量不足で使えない。という可能性もあったので中級魔法を使用してみる。が、やはり無理だった。魔力量の問題じゃないようだった。中級魔法を覚えたことにより全ての属性操作がアップデートしていた。まあ無理なことは考えても仕方ないので諦めよう。俺は諦めのいい男なのだ。
魔法の本は諦めて元に戻し、他に何かいい本がないか見ていると植物本を見つけた。面白そうなので植物本を見ていると
『《世界の植物①》をコピーします。』
コピーの意味がわからずスルーして変な形の植物だけ眺めて閉じた。その隣に薬の本があったので手に取ってみる。薬の調合などが載っていた。回復薬などの作り方を見ていると調合の素材にダイリの葉が必要と書いていた。ダイリの葉なんて聞いたことすらなかったがその字を見ると知識が流れ込んできた。入手場所までわかってしまった。
これがさっきのコピーってやつか?そう思ってさっき見ていた植物本をもう一度取り、ダイリの葉を探す。あった。俺の脳に流れてきた知識と全く同じ文が書かれていた。やはりコピーとはそういうことだったらしい。なんか頭が良くなった気分を味わえた。これを機に俺は毎日この部屋に通いあらゆる知識をコピーしまくった。そんな生活をしながら4年が過ぎた。
俺は5歳となり普通に走れるようになった。つまり行動範囲が増える。ということだ。だがまだ一歩も家の土地から出たことはなかった。この世界の両親のことも良くわかってきた。ザクスは魔王とか呼ばれているがただの親バカだ。一度も怒られたことはない。そりゃ俺が行儀良く振舞っているから。というのもあるが例え素行が悪くても怒られる気がしない。アメルはというと、ザクスとは正反対に教育熱心なママさんだ。俺に勉学や作法を教えてくる。勉学に関してはギフト能力のおかげでほぼ問題ないが、作法に関しては日本の習慣と違うくて中々厳しく注意された。俺からするとアメルの方が魔王じゃないのか、と思うほどだ。とにかく怒っている時の笑顔が怖い。それ以外の時は普通に優しいのだが。
俺は4歳になった時からザクスに剣術を習い始めた。ザクスも先代魔王から教わったらしい。魔王家に伝わる型を少しずつ教えてくれる。ちなみに剣術レベル、魔法レベル共にLv.1からLv.10まである。魔族の大人平均はLv.3で、ザクスは剣術魔法共にLv.10のバケモノである。魔王なら普通なのだそうだ。俺は魔法はLv.2、剣術はLv.3だ。たった一年で大人の平均にいった。もしかすると俺は魔法の才能がない代わりに剣術の才能があるのかもしれない。
魔法はといえば未だに中級魔法は使えず、魔力量だけ増えていく一方だった。いらねぇ…と思ったが剣には魔法を纏える物があるらしいので今、剣術を頑張ってる俺からすれば結構ありがたかった。
最近の日課の木剣の素振りを終え、今日のために計画していたことを実行するために着替える。今日実行する計画とは《街に行ってみよう!》というものだ。一度も土地の外から出たこたはなかったので楽しみにしていたのだ。俺はこっそりバレないように家を抜け出す。バレたら危ないのでダメだと却下されるのだ。だからこその計画だったのだ。家を抜け出しもう少しで外!と言うところで執事に見つかり捕まった。
「サーベルト様、外は一人では大変危険でございます。ザクス様にご連絡をされてから御付きのものをつけてくださいませ。」
こいつはわかっている。ザクスに言うとザクスは俺が外に行くことを反対すると言うことを。ムカつく執事だぜ。26回目の作戦も失敗した。そして俺はザクスの元へと連れて行かれたのであった。
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《ステータス》
サーベルト・ルシフェル・アラディア
種族:魔族
称号:無し
スキル:火炎操作・無詠唱・水流操作・風力操作・雷光操作・暗闇操作・土塊操作
魔法属性:火・水・風・光・闇・土
剣術レベル:3
魔法レベル:2






