魔王生活は短い件
少し展開が早くなります。ご了承くださいませm(。_。)m
戦争は終わりルシフェル家の敗北。魔王ザクスは息子に魔王の座を譲り引退。
その情報は魔界だけでなく天界、人間界。一瞬で全世界へと発信された。
世界は騒然とした。元序列最上位であったルシフェル家の敗北。敗北原因はフォルネウスによるザクスへの毒盛り。その事を知る者は少なかった。
俺は少しムカついていた。事実を知らない者が戦争を語っている事に。後もう少しと言ったところで戦いを止められた事に。
今回の戦争で俺のことを良くしてくれた者がたくさん死んだ。殺すことに感情が無くなった俺でも知り合いが死ぬことについての悲しみは普通にあるのだ。
あらゆる苛立ちを胸に収め俺は魔王としての責務をザクスに習いながら全うした。
魔王になると様々な情報が飛び込んできた。勿論聞いたこともない魔法の話などもだ。俺は一ヶ月間情報をかけ集めた。
「…そろそろかな。」
そう。一ヶ月やってわかったが、やはり俺には魔王なんて向いていなかったのだ。
しかしここで止める訳にはいかない。せめて魔王として何かしなければ。と言う思いで魔法を必死にかき集め覚えた。俺の魔法レベルは8となっていた。たった一ヶ月でだ。いやぁ、俺も驚いたね。魔王の情報恐るべし。
「少し散歩に行ってくるよ。」
俺はそう執事に言い残し家を出た。俺は散歩がてらある城に向かった。
魔王フォルネウスの城だ。
何のために俺が大人しく魔王となり情報を集めたと思う?あの肋骨の借りを返すためだよ。ありゃ痛かったからな。マジで死ぬかと思った。
俺はフォルネウス城の門前に立ち叫んだ。
「お邪魔しまぁーす!!」
そう発したのと同時に王級魔法をぶち込む。門ごと門番は倒れた。そんな様子に見向きもしないで突き進む。
「フォルネウスく〜んっ。あっそびーましょっ!」
俺はなるべく明るい感じに振る舞っていたが内心腹が立ちまくっていた。毒ってなんだよダサすぎだろ。的な感じに。
ポンポン王級魔法を打ちまくっているとやっと本命が登場した。王座のような部屋でボスキャラのように待ち構えていた。
「貴様ぁ。何のつもりだ!?敗者が勝者に楯突くとは…。一体何千人を引き連れてきたのだ!」
フォルネウスは俺の周りをキョロキョロ見渡した。そして目を見開けて口をパクパクしていた。まるで鯉のようだ。
「ま、まさか一人で来たのか?グヒャへへ…冗談だろう!?」
「冗談じゃないですよ?さあ。前回の続きをしましょうか。」
俺の台詞が癪にさわったのかピクピクっと目の下が動いた。
「そうかそうか。そんなに殺されたかったのか…。グヒャヘヘ…なら望み通り殺してやるよ!」
俺はなるべくフォルネウスの声が聞きたくなかった。だから無言で終わらすことにする。
ー魔界神級魔法氷地獄の封印…!
それは一ヶ月の間、魔王として情報を集めた中にあった魔法。
最高位魔法【神級魔法】氷地獄の封印だ。これを覚えるのに何と一時間もかかった。
流石神級だ…。勿論効果は絶大だった。俺の周り、直径一メートルを残して一室丸ごとが氷漬けになった。
フォルネウスは顔だけ残して身動きができない状態になっていた。こうなると無様なものだ。
「グヒャヘヘ…これは…だいぶ力が抑えられてはいるが神級魔法だなぁ?クソがッ…油断してたぜぇ。」
「喚くなよ。僕は少し頭にきているんです。何故お前はルシフェル家に戦争を仕掛けた?」
俺はなるべく冷静になろうと心がけて敬語を続けた。
「ゲヒャヘヘヘ!そりゃあ暇だからに決まってんだろぉ!」
フォルネウスの言葉にプチっと俺の頭の何かが切れた音がした。
「暇だからだと?そんな理由で…。ゴミが。」
俺はグッと魔力を込めた。
パリーンという音を出しながら氷が割れる。フォルネウスの体と共に。
「俺は不滅だ!今回は少しばかり油断したが次に会った時は必ず殺してやらあ!!それが何千年後になろうとなぁ!」
そんな台詞を吐きながら部屋全ての氷と共にフォルネウスは砕け散った。
フォルネウスの死。それは八魔天列にも影響が出たのだがそんな事は些細な事だった。
フォルネウスとザクスとの戦争が勃発し、フォルネウスが勝利。ザクスがその息子に魔王の座を譲る。今度はその息子がフォルネウスの軍勢を一人で壊滅させる。
こんなニュースが流れても見ろ。全世界混乱だろうな。
そして何故だか俺には恥ずかしい厨二ネームが付けられたらしい。恥ずかしいので聞いていないが。
俺の名前は伏せられていたのか一切広まっていなかった。
ー広まっていたのはザクスが徘徊した街だけだ。
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ヴァールが00部隊と共に帝国に帰還してから一ヶ月と少したった頃。
信じがたい噂が流れてきた。
ー八魔天列最下位ザクスと八魔天八魔天列上位フォルネウスが戦争を始めザクスの敗北。その後ザクスの息子に魔王の座が渡された。
ヴァールはベルが心配になりもう一度、魔界の地へ旅立とうとたびの用意していた所でもう一つの噂が流れてきた。
ー魔王フォルネウスがザクスの息子に敗れたらしい。
その噂を聞いたヴァールはニヤリと笑い一人で呟いた。
「やはり無事か。」
その事は他の00部隊の隊員にも知れ渡り数日間の酒の種となった。
「ぷっはぁ!あのガキ、フォルネウスを倒しちまうたぁな!それに何だぁ?あの名前は!」
顔を真っ赤にさせながらベル曰く口調の悪いオッサンは爆笑していた。
「はははは!!アレだろ?魔王ルシファー!」
ソシュールもまた顔を赤くして笑っている。
「何でも、名前が分からなかったから家名をいじったらしいぜ?ふぁっはっは!」
恐らくこの場にサーベルトがいたら顔を赤くして騒いでいただろう。勿論ソシュール達の酔いの赤では無く怒りの赤なのだが。
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フォルネウスの死後、その部下の生き残りが捨て身でルシフェル家に攻めてきたのだが痛くも痒くもない。
そう思い王級魔法を発動していたのだが俺はある事に気が付いた。
魔界神級魔法を使用した直後から魔量力の激減を感じていたのだが、数日経った今も魔力量が回復しきらないのだ。
それに魔力量が回復する量より、王級魔法を使い消費する量の方が多いのでむしろマイナスなのだ。
これが神級魔法の副作用か…。だいぶ威力は抑えたんだけどな。
「…ちょっとマズいか。」
このまま魔王生活を続けていれば、後二年程で俺の魔力は枯渇するだろう。
この減少の理由の一つは恐らくだが、覚えた神級魔法に対して俺の魔法レベルが追いついていないのだろう。
どうすべきか俺は考えた。あまりいい案が思いつかずに日がどんどん過ぎていった。
魔界のゴロツキがいる街々を潰し、魔力が尽きた時のために剣術を磨き。そんな事をしながら気付けば一年が経っていた。
その頃には魔王ルシファーの名は全世界へ轟いていた。
なんと言うか少し恥ずかしいんだけど。いや、だいぶ恥ずかしい。悪いことで有名になるのは嫌いなんだよなぁ。
てかアレだよな…魔王になりたかった訳じゃないのに何してるんだろ…。
あぁー…辞めだ辞め。魔王はもういいや。魔力も、あまり無いしそろそろ解決しなきゃな。
この一年間調べた中に魔力量回復と言う技を持つ種族がいることがわかっていた。
その種族は”竜種“。珍しいらしいが竜種に会えば魔力が回復するかもしれない。行くしか無いでしょ!
俺は決心し翌朝、ルシフェル家に従うもの達を集め宣言した。
「俺は魔王を辞めて旅に出る。魔王の座は父さまに返します。」
ーーこの日、俺は魔王を辞めた。
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《ステータス》
サーベルト・ルシフェル・アラディア
種族:魔族
称号:元魔王
使用可能魔法:魔界神級魔法・天界聖級魔法
スキル:火炎操作・水流操作・風力操作・雷光操作・暗闇操作・土塊操作・無詠唱・自在変化・戦意喪失・魔獣支配
魔法属性:火・水・風・光・闇・土・無
剣術レベル:6
魔法レベル:8
攻撃力上昇Lv.3
防御力上昇Lv.3
魔法量上昇Lv.4
やっと、もうすぐでこの物語メインの学園物に入れそうです…。