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魔王が勇者で俺が邪神で!?  作者: グリーンティ
第1章 『外なる神』
2/10

第二邪

程なくして、俺たちは村へと到着した。

前の街で聞いたときは全くと言って良い程情報のない村だったが、それもそのはずだ。


切り開かれた街道の周りは森で覆われている。その奥に人が住んでいるなどと誰が考えられるか。


リリスはなんらかの気配察知でその場所が分かり、俺は森へと続く馬車のわだちを見つけてその入口を発見したのだ。そして、森を抜けるとそこは木々が防壁の役割をしている、思いの外立派な村が存在していた。


俺たちが到着したのはその正面玄関だったようだ。

慌ただしい雰囲気で村長に出迎えられる。村長は40後半くらいの知的そうな男性だ。


「これはこれは騎士の旦那様。我が村へどのような御用でしょうか。」


酷く下手な態度の若干怯えている村長。

その態度でなんとなくこの村の状況を把握する。

だが、それの追求よりも、まずこちらの事情を説明するのご先決だろう。


「子供を拾った。こいつはお前達の村の子か。」


ゴブリンと自分の血で汚れきった子供を見せると、村長は青ざめ、集まっていた村人がヒッと声を上げる。

その中で、誰かがこの子の名前を呟いたのを俺は聞き逃さない。


「どうやら間違いはないようだな。」


なら話は簡単だ。取り敢えず、彼を助けた恩を売っておこう。この村の秘密も合わせてそこそこ良い待遇を求めるのも悪くない。

そんな事を考えていると。

村長が膝を着き、額を地面に擦り付けた。

え? 何してんの??


「申し訳ございません。我が村の子が騎士様に無礼を行うとは……。何なりと謝罪致します。ですが、どうか私とその子の両親の命だけでどうかご勘弁を!! 無理な事は分かっておりますが、どうか! どうか!!」


村長の態度から、どうやら誤解を受けているという事に気付いた。

そういや、俺もゴブリンを倒した時の返り血が顔にベッタリ付いているし、少年もあちこち擦りむいて血まみれだ。

ゴブリンについて説明していないので、少年が俺に襲いかかって、返り討ちに遭ったように見えるのは当然か。


「主よ、言葉が足らな過ぎだ。村長よ、おもてを上げよ。そなたらの子は妾達に粗相をしたわけではない。街道でゴブリンに追われているのを助けただけなのだ。そして、気を失ってはおるが、この童は生きておる。」


俺の言葉が遅いことを見かねて前に出るリリス。

真っ青だった村民と、顔を上げた村長はその発信源を見て今度は、ぽっと頬を赤く染める。男女問わず。


……なんだろうね。この差は。

このお方、本当は魔王様なんだよ。


「そうでしたか、ゴブリンから……感謝いたします。」


「……む、何か事情がありそうだな。話を聞かせてもらいたい。時に、この村には宿泊できる場所はあるか。旅の疲れも溜まっておる故、休みたいのだ。」


「それでしたら我が家にお泊り下さい。村で一番大きい家でございます。部屋も幾つも余っておりますから。」


「そうしよう。馬車も家の近くに勝手に置かせてもらうぞ。道案内をせよ。おっと、忘れるところだった。この童の両親はおるか。」


「は、はい。」「おれたちだ……です。」


「しばらく預かる。治療が終わっていないことと、少しばかり事情を聞かねばならん。許せ。」


「……分かりました。」


手際がいいな。魔王様。


とにかく俺たちは宿を得ることが出来た。

魔王様も良い暇つぶしを見つけてご満悦の様子だし、しばらくこの村に滞在する事になるだろう。


当然、俺もその暇潰しに付き合う事になるだろうし、まあ、いつもの事と割り切ればいい。

ここに来るまでに、少年の傷やらで幾つか情報を得ている。仮説があっていたなら間違いなく問題は近日中に起きる事だろう。

こういった村は何度か見た事があるが、抱えている一番でかい問題は殆ど同じだ。


まあ、解決できるのは魔王様次第なんだけどな。俺には力ねえし。


頼むぜ魔王様!



◆◆◆



「なんと! 貴女は勇者様であらせられましたか。」


「うむ。妾は問題ごとに首をつっこむ性分をしておる故、遠慮なく村の問題を話すが良い。特に、ゴブリンには手を焼いておるようだしの。」


「お見通しですか。流石勇者様。……お話しいたします。まずこの村の成り立ちからお話しなければならないのですが、どうかこの村の事は外の人間には内密に願いたいのです。」


「妾は約束を違えん。勇者リリスの名において、この村の存在を外の人間には決して伝えんと誓おう。」


魔族には伝えるんですね。とか思ってしまう俺は穿ちすぎなんだろうな。そんな不義理な真似を彼女がするはずないし。

……なあ、この人本当に魔王様なんだよな。俺の方がかなり悪魔的な考え方してる気がするんだけど。

俺この件で強請ゆすろうと思っていたしな。


村長は、村の成り立ちを話し始めた。それは俺がおおよそ予想していたもので間違いはなかった。



この村は、街道を作った開拓民の村だ。

道を作るのには多くの労働者が必要となる。その働き手は基本的に、自分の住処を得る事を目的に働く事が多い。道を作り切り開いた木々を用いて家を作って村や町を作る。そこを新たな住処にするのだ。


だが、彼らはそれができなくなった。

開拓民が使用したいと考えていた木材は魔族との戦争の為に全て取られてしまったのだ。

街は街道の入口であり、ある程度作業が進んだ状態で街に戻るのは困難だった。しかし、道の為に切った木材は接収されるので、全員が泊まれる大きさの建物一つで寝泊まりするほかなかった。

ストレスが膨らみ、耐えられないと言い出した者がいた事で、今の村長が提案したのだ。


国に黙って、森の中に広場を作ろう。そこを村にするのだ、と。


それからの仕事は困難を極めるだろう。

しかし、全員が目的を見出したことでやる気に満ち溢れていた。


まずは離反者が数人現れた。当然これは街道の開拓を指導した領主への方便である。

実情は、数人が村のアテとなる場所を見つけ、開拓する人間だ。彼らは最近開拓民となった者で、領主の関係者にも顔を覚えられていなさそうな若者を選んだ。


村長は、できるだけ密集した木々が囲むような場所を選ぶのだと指示した。

街道から見られては元も子もない。さらに、野生動物やゴブリンなどの亜人から身を守る防壁にもなるとの考えだ。隙間は柵を設ければ良いとの言葉も忘れない。


減った分の開拓の労働者は領主によって補充される。

新しい者にはしばらく村の事を伝えず、その為人ひととなりを判断して開示した。


離反者という村人は増えていき、領主には労働者の待遇改善を求める声を上げる。


騙すような行いは決して褒められた者ではないが、流石の領主も離反者増加を食い止めるため、その声に応え出す。食料を充実させ始めたのだ。


それは村長が最も求めていたものだった。

流石に離反者用の食事を安定させるには時間がかかっていたのだ。猟師でない者が獲物を捕らえることを覚えるのには時間がかかる。

種もない状態で農作物を育てるのは難しい。


そんな状態で、ただ増えていく人数に食事を分配するのは村長だった。仲間から食料が少ないと、小さく愚痴を言われ、間違った判断をしたのではないかと後悔に苛まれるのは村長だった。


食料の増加。

それは苦労が報われた瞬間だった。



数年が経ち、街道の開通と共に、隠れた村は完成した。

そして、開拓民は特別報酬を受け取ってそれぞれの目的地へと散り散りとなった。


と、見せかけて村へと戻ったのだ。

街道を挟むようにある二つの街は、開拓民が長年帰ってこない事もあり、忽然と消えた彼らのことを誰も気にかける事はなかった。


これは偶然だが、開拓を指示していた領主は、魔族との戦争へ向かい、討ち死に。

代替わりとなった事で、開拓民の存在は記録だけのものとなった。


そこに彼らだけの平穏が訪れたのだ。


だが。

その平穏はすぐに打ち壊されることになる。



「ゴブリンによって……か。」


「……はい。村に入ってきたのは人語を話す事のできるゴブリンでした。共を数十匹引き連れて現れたのです。この村には衛兵がいません。我々が国に隠している村だから当然の事です。勝ち目のない事を理解した我々は、奴らと交渉しました。定期的に食料を渡すから見逃してくれと。」


「ふむ。それでそ奴らは納得したわけか。それなりに賢いゴブリンリーダーとわかる。人間の村に手を出せば狩り尽くされるのは間違いなく、無勢である彼方になるからの。だが、そのリーダーが村の現状に気付けば終いなのはわかるな。国の庇護が期待できない村だと知られれば、即座にこの村は攻め滅ぼされる。」


「ええ。だからこそ、我々は時々ながらこの村に人を呼び込んでいます。ほかの町との繋がりを知れば、襲ってこないだろうと。」


「村長よ。そなたは賢い。それが長期に渡って続くものではないという事が分かっておろう。その場しのぎにしかなっておらぬ。」


「分かっています。子が外への憧れを持てば、いずれこの村は知られることになります。そして、街との繋がりがないと知られれば、ゴブリンに村を襲撃される事でしょう。」


「分からないか、村長。もういずれではない。」


その通りだ。

子供がゴブリンに追われていた。

それがそう単純な話ではない事は、少年の状態で分かる。

あの子供は、ゴブリンに襲われたのではない。

彼はゴブリンを襲い、そして返り討ちにあったのだ。


あの返り血の量では数匹を倒したはずだ。そして、多勢に無勢と判断し逃走したのだろう。


なんとも胆力のある奴だと褒めてやりたいが、それを言うには一つ確認しないといけないだろう。


ーー村の子供が数人帰っていない。


俺はもう確信しているが、おそらくあの子供と共にゴブリンを討伐に向かったのだろう。そして、すでに死んでいる。


家族には悲劇的な事に違いないが、俺が恐れているのは死体がそのまま残っている事だ。


ゴブリンはコボルドと違い鼻が効かない。というのは、よく言われる事だが、勘違いしてはいけない。

コボルドは犬の嗅覚で、一度嗅いだものを正確に追う事ができる。だが、ゴブリンは一度嗅いだだけでは追えない。では、匂いが発するものを長い事嗅いでいればどうなるか。

結果はコボルドと同じ場所にたどり着く。

時間が早いか遅いかの違いでしかない。


村の子の服の匂いから、奴らはここに到達する。


交渉し、約束した事を破り、襲撃したのは人間だ。

ゴブリンリーダーは、仲間を殺された恨みを晴らすため、決死の攻撃を仕掛けて来る。

村人側からすれば、永遠に反撃することのできない蹂躙が始まるのだ。


しかしその仮説も少年が目を覚ますまで確定する事はできない。今すぐにでも動きたいところではあるんたが。


ん? どこに行くんだって? そりゃ、決まってる。さっさと次の街に行って国の衛兵を呼ぶんだ。

ゴブリンを退けても罰を受ける事になる村長には御愁傷様としか言いようがないが、この町には大きなメリットがある。

街道の中間に村があるだけで、旅の疲れが癒せる宿になるんだ。領主も喜んで手配するだろう。


リリスは村の事を秘匿する気満々だが、俺は誓っていないので問題ない。


村が存続し、これからも生活を続けていけるなんて素晴らしいじゃないか。何人か犠牲になるだろうけど、俺の知った事ではない。

村長は村民がゴブリンに殺されるのと、村民が生存し、重い課税を取られるのとを比べているようだが、俺なら後者を選ぶ。死ななければ勝機はあるからな。


「うぅ……」


さて、どうやら命運分かつ情報を握った少年が目を覚ましたようだ。


「おお、童よ。目が覚めたか。体のおかしい所はあるか? ん?」


前の街でもそうだったが、リリスはどうも子供に甘い。12歳らしいし、ガタイもそこそこ良いから大人扱いしても良さそうなものだが、魔族の年齢から見るとこれでもやっぱ子供の域なのかね。リリスが何歳か知らんけど。


なお、一般に13歳で一人前とされている。


「女神様……ここは。」


「そなたの村だ。そして、妾は女神ではない。勇者リリスという。」


「そうだ!!邪神は…!? う、うわあああああ!!」


おいコラ餓鬼。誰が邪神だ。

そんで、リリスの胸に飛びつくんじゃねえ! それは俺のだ!


「落ち着け。この男は妾の連れだ。邪神なるものではない。これでも人間……だの?」


「人間だ。正真正銘な。」


リリス。なんで俺が人間だと断定してくれない! 終いにゃ泣くぞ!


「こら、ルドフ。彼らはお前を助けてくれた恩人だ。礼を言いなさい。」


「そ、村長、ごめんなさい、俺……。勇者様、と……その、助けてくれてありがとうございます。」


「ルシファー・アザトゥルスだ。ルドフ」


「え、……はい。ありがとうございます。」


勝手に名前を呼んだのが気に入らなかったのか、真っ青な顔色で微妙そうな顔をするルドフ少年。

取り敢えず、情報を確認しなければならない。


「ルドフ、聞くがお前は仲間と共にゴブリンを討伐に行ったな。」


「……はい。」


「仲間は全滅、生き延びたのはお前だけ。そうだな。」


「…………」


沈黙は是だ。厳しい問いにリリスが俺を睨み付けてくるが無視して話を進める。


「村長、聞いたな。ゴブリンリーダーが攻めてくるぞ。防衛に当たれ。」


「そんな!?」


「ゴブリンは子供の遺体の匂いを辿ってここに来る。逃げれないなら防衛しかない。」


こいつらがゴブリンに食料を渡し始めてそれなりに経っているという事は、奴らが繁殖している可能性が高い。

どれほどの数いるかわからないが、最悪を警戒すべきだ。


「戦える者が少ない。皆、武器など持った事も戦った事もないのだ。」


「ならば潔く死ぬが良い。それが嫌なら戦え。お前が衛兵を雇わなかった報いだ。」


村長は、こいつは何もわかっちゃいない。

国の衛兵を呼びたくないのなら、私兵を雇えばよかったのだ。それをする金がないなら、村人の誰かをその役に据えるべきだった。


「主よ。妾達にかかれば、ゴブリンの10や100など全く問題はなかろう。」


「そうだな。だがダメだ。」


俺たちがそれをする義理がない。

寧ろ俺たちが貸しを作っている立場なのだ。


まあ、それでもなんとかなる手立てはあるがな。

村長がその言葉を、リリスに投げかければ間違いなく全て解決する。だから、それを俺はじっと待つ。



村長は、体を震わせる。

こいつは俺から言わせれば、上に立つには相応しくない人間だ。人に人を殺せと言えない人間だ。

そして、人を矢面に立たせるくらいなら、全員を横に並ばせ、当たらない事を祈るだけの人間だ。


だがそれでは問題を解決できるわけがない。


頼め。リリスに!

魔王パワーでなんでも解決してやるよ!


「勇者様……どうか、この村を……助けてください。」


「承知した。だが、此度の件は妾が出るには力技に過ぎる。複雑な事情を根本的に解決できるとは思えん。だから、我が連れ、ルシファー・アザトゥルスに全て任せるがいい。こやつは知略に富む、あらゆる難局の天敵よ!」


ファ!?

なぜ俺が責任者!!?

ゴブリン討伐よりハードル上がってないですか??


リリスに視線を向けると、呆れたような表情がこちらを向いていた。


「……本当に主は人が良い。まさか、主が村長に助けを求めるよう誘導するとは思わなんだ。ゴブリン討伐なら、言われんでも妾が勝手に出たが、主の言う通り村長の失敗は根本的問題。解決方法は、妾には及びもつかんが、主はもう考えを練っておるのだろう?」


いえ、全く。

なに? お膳立てはしたぞ、とでも言いたげなドヤ顔。

やっべえ、俺始めて美女を殴りたいと思ったかもしれん。やらねえけど! 負けるから!


「……まずはゴブリンの始末が先決だ。」


「ふむ。迎撃ではなく、先んじて始末するということか。」


なんでそうなる。あ、いや、良いのか。わざわざいつ襲ってくるか分からない状態で待つ必要はない。

ルドフがゴブリンの居場所を知っているのなら、こちらから攻めるのも手だ。


「ルドフ。ゴブリンの巣は何処だ。」


「……えっと。」


「足は動くだろう。案内しろ。」


「!? ……そういえば、おれ、怪我は……」


初級の治療魔法で回復済みだ。血を失っているだろうから、本来なら安静が必要だがもともと体力の消耗と、擦り傷程度だ。問題ないだろう。


ゴブリン程度、俺でもなんとかなる。

ゴブリンリーダーだけでなく、魔王軍の幹部が出張ってくるなら話は別だが、こんなところにいる筈がない。

さて、夜になる前にさくっと終わらせてくるか。


別に全てのゴブリンを殲滅しちゃっても構わんのだろう?


晩飯作って待ってろよ、村長。すぐ帰ってくるぜ。



ーーー



ゴブリンの討伐。

中堅の冒険者ならそれなりにこなす事が出来る楽な仕事だ。

俺は傭兵だが、あいつらは何処にでも現れるので何度か討伐した事がある。

緑の肌に小さな角、少し伸びた犬歯が特徴的な人型の亜人。子供程度の身長しか無いが、それでも腕力はそれなりにあるようで、鍛えていない大人の男程度に力を持っている。基本的に馬鹿なので、攻撃は単調。しかし、後先を考えない愚直さで武器を振り回すので初心者には侮れない。


奴らは、一体では弱いが、集団になると途端に面倒になる。繁殖力が高いので、数が多すぎる事が多々あるのだ。そんな時は逃げるしか無い。

質量のある面での攻撃は一番厄介なのである。


「まだ動いておらんかったようだの。」


ゴブリンの巣。

小さな山の横にできた洞窟が奴らの住処だった。

戦闘痕と思える血の跡が、そこら中に付着している。血溜まりは幾つかあるが、村の子の遺体とゴブリンの死体はない。

ゴブリンが回収したか、或いは食ったのだろう。


「洞窟にリーダーはいるか?」


「む? ……いる。と言いたいところだったが、これは……。内部がジャミングされておる。気配が不確定……流石ルシファー、主は冷静に分析するの。危うく敵の数を知らず罠に飛び込むところであった。」


感心したように言うが、俺はただ質問しただけだ。深い意味なんてなかったんだけど……。まあ、いい。


気配を隠すという事は、ゴブリンリーダーだけではなく、メイジがいるということか。厄介だな。

それに隠しているものが気になる。近くにあるのは隠された村だけ、そこまでして警戒する相手、奴らが仮想する敵は……


「思ったより大物だな。」


奴らが警戒するのはおそらく英雄級。リリスの足元には及ぶ程度の実力者だ。

そして、仲間が襲われたにも関わらず直ぐさま反撃に打って出ない姿勢。間違いなく、ゴブリンリーダーの上がいる。

そうなると、隠されているものがなんとなく分かっちまった。


うわぁ。帰りてぇ……

でも、この仮説話したらリリスが勇者としての仕事だって言い出すだろうなぁ。


どちらにせよ、警戒はしないといけないから言うけどさ。


「リリス、魔王軍の実力者がここにいる。そして、恐らく囚われているのは街道を繋ぐ街、どちらかの有力者だ。仮説だがな。」


リリスはその言葉に目を見開き


不敵な笑みを浮かべた。

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