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第77話 その時衝撃が走った

「うーわーやーらーれーたー」


「トリアナがやられたようだな……」


俺は玉座に座り、ため息を吐きながらそんな事をつぶやく。

扉の向こう側から、トリアナの最後の声が聞こえてきた。


「フフフ……奴は四天魔王の中でも最弱……」


玉座の横に縛られて座っている姫を見ながら、俺は笑いがこみ上げてきた。


「勇者ごときに負けるとは、魔王の面汚しよ……」


俺の言葉を聞き、姫が俺の事をキッと睨んできた。

そして、姫が何かを言いかけていた時。大きな音を立てて扉が開き、勇者が中に入ってきた。


「よく来たな。まお――勇者よ……待っていたぞ……」


「ひめを返してもらうぞ! まおう!」


ルナ(勇者)が俺に剣を突きつけながらそう宣言する。


「助けに来てくれたんだね、ルナ」


その言葉を聞いた黒斗()が、嬉しそうに顔を綻ばせる――


「まっていろ黒斗、すぐに助けてやるからな!」


「甘い甘いぞぉ! 四天魔王の一人を倒したくらいで、姫を助け出せると思うとは……ケーキよりも甘いわ!」


「ならば残りもぜんぶ倒すダケだ。あとの二人はどこだ?」


む……そういえば……

この場所には、もう俺一人しか居ないな……

残りの魔王は何処に行ったのだ……


「あ! そうだった。他の魔王から手紙を預かっていたのだ。しばし待て」


えーと……何々……


魔王クロード様のセクハラにはうんざりしました。さようなら ―魔王ソフィア―


魔王職の給料が少なすぎます。改善が見られるまで、ストライキさせていただきます ―魔王アストレア―


まおーごっこするのにも飽きたから、てきとーにゆうしゃと戦ってあそびにいってくるねー ―魔王トリアナ―



「なん……だと……」


おのれぇ……どいつもこいつもふざけおってぇ……

魔王を何だと思ってやがる! てか、トリアナさっきやられてたじゃん。


「他のまおうはどうした?」


「フフフ……他の魔王はどうやら人間の街を襲いに行ったようだ」


「なんだと! ならさっさとオマエを倒して、姫を連れて街にかえる!」


「やってみるがよい。だが、戦う前に一つ言っておくことがある」


「なんだ?」


「お前は私を倒すのに『聖剣』が必要だと思っているようだが……別にただの鉄の剣でも俺は倒せる」


「な、なんだって」


「そしてお前の黒斗()は俺の好みではなかったので、今すぐにでも解放しようと思っていた所だ。あとは俺を倒すだけだな、クックック……」


「フッ……じょうとうだ……ワタシも一つ言っておくことがある。ワタシはオマエの事が好きだと思っていたが、別にそんなことはなかった」


「ぐふぅ……まさか、武器を使うこともなく俺を倒すとは……」


ルナ(勇者)の口撃で俺のヒットポイントが、一瞬で0になった――


「何が何だかわからないが、これで世界は救われるのだな」


倒れた俺を他所に、ルナ(勇者)黒斗()の傍に駆け寄っていた。


「助けてくれてありがとう。すごいね、ルナ」


「フッ……当然だ」


おのれぇ……イチャつきよってぇ……


「今に見ていろ……例え俺が死んでも第二、第三の魔王が現れ……」


「しつこいね君……さっさと倒れようよ」


黒斗()がそんな事を言いながら、俺に手をかざして――


「エターナルフォース・クリエイション!」


「ぐっはぁぁぁ……」


まさかの黒斗()の攻撃魔法で、俺はとどめを刺された――


「さあ、ルナ。街を救いに行こう」


「ん……わかった」


「僕たちの戦いはこれからだ!!」




ルナの勇気が世界を救うと信じて……!


ご愛読ありがとうございました!

――次回作にご期待ください――




=============未完=============






April Fools' Day






==============================================



「ウィンドブロウ・クリエイション!」


「うぼぉぉ……」


翌朝――


寝ていた俺は、腹部に強烈な痛みを感じて目を覚ます。


「クロ……起きた?」


「おはようございます……クロさま」


腹を抑えながら声がした方向に視線を向けると、ルナとリアがベッドの横に立っていた。


「いたたた……ルナが、魔法で起したのか?」


「ん……クロがなかなか起きなかったから」


何気にヒドイな……


「クロさま。うなされていましたけど……こわい夢でもみたのですか」


怖い夢? うーん……変な夢は見ていたような気がするが……

思い出せないけど、なぜか……主人公とヒロインが逆じゃね? ってツッコミを入れたい気分だ。


俺は妙なことを考えていたが。二人の姿をよく見て、普段とは違う姿なのに気づいた。

おかしな格好をしていたわけではないが、なぜか二人はメイド服を着ていた――


「二人とも、どうしたんだその格好?」


「ん……仕立ててもらって、昨日完成した」


「えと……おてつだいをするなら……この格好がいいって、メイド長さんが……」


「なるほど……」


人間が怖いと言っていたリアに、この屋敷で慣らしてみてはどう――というエリスさんの言葉で。

リアとルナがお手伝いさんの真似事をしていたが。確かに、普段着でやるよりは良いと思う。


「にあってる?」


「あぁ、二人とも可愛いぞ」


「ほぁぁ……」


ルナの質問に素直に答えたら。そんな俺の言葉を聞いて、リアが真っ赤になって照れている。

リアとは違い、何も口に出さなかったが、ルナもまんざらでもなさそうに喜んでいた――


三人で雑談をしながら、朝食を食べに食堂に向かう。

食堂に着いたら、ソフィアとアリスとカイさんが俺にそれぞれ挨拶をしてきた。


「おはようございます。クロード様」


「クロード。おはよう」


「やぁ。クロード君」


「おはよう」


三人とも相変わらず早いな。

といっても、時間は朝の七時前だが。


他にも早い人達はいる。アルさんは朝早くから仕事をしているし。

エレンさんは相変わらず早起きをして、教会へお祈りに行っている。


ちなみに遅くまで惰眠を貪っているのは、トリアナとエリスさんとアッシュさんだ。

後半の二人は別にいいんだが。トリアナは一人で寝ると、なぜか昼頃になるまで起きてこない。

リアや俺たちと一緒の部屋に寝ているときは、別にそうではなかったが。

誰かが起こさないと、最後まで惰眠をむさぼる女神だった。


飯を食べ終わったら、後で起こしに行くか……


「クロさま」


「うん?」


朝食を食べながらそんな事を考えていると、リアが俺に話しかけてくる。


「今日も……とっくんをおねがいします」


「あれか、いいぞ」


「ありがとうございます」


旅をしている時、魔物に襲われることがあったが。

リアは戦わないでいつも見ているだけだった。

そんなリアが強くなると決心した時、自分も武器を持って戦いたいと言ってきた。

俺はその時に反対をしたが、リアの決意は揺るがなく。

ルナもリアの考えに賛同している。


朝食を食べ終えて、俺たちは屋敷の庭へと移動することにした。

廊下を歩いてる途中で。珍しく一人で起きてきたのか、トリアナが俺たちに話しかけてきた――


「みんなおはよー」


「おはよう。めずらしいな、一人で起きられたのか」


「う……別に……いつもひとりでおきられるもん!」


「いつも昼まで寝てるじゃないか」


「うぅ……」


俺の言葉にトリアナは反論していたが、途中からぐうの音も出ない様子だ。

そして反論するのは諦めたのか、トリアナは話しを変えてきた。

その話しは、昨日俺がバラ園で盗み聞きをした内容である。


「昨日、大神王様と話しができてね。黒斗ちゃんのことをお願いしたよ」


「そうか。ありがとう」


「黒斗……?」


俺がバラ園に行く前に、その話をしていたのか。

トリアナは、アストレア様にちゃんとお願いをしてくれていたみたいだ。

ルナにはこの話をしていなかったので、この場で説明をした。


その後トリアナが、アストレア様が言っていたことを伝えてくれたが。

魂を安定させることは可能かもしれないが。

新しい体を作るのは、不可能だと言われたそうだ――


二つの魂が存在しても、俺と黒斗は同一人物なので。

俺が死なない限り転生は不可能との事。


それを聞いて気持ちが沈んだが。

そんな俺を見て、ルナがそれだけは駄目だと言ってくれた。

ルナの気持ちがわかり、俺は少し嬉しくなっていた――



=============バーンシュタイン本家・庭=============



「よし。バッチコーイ!」


俺はリアから距離を取り、盾を構えてから叫ぶ。

リアは小さな鉄球を手に持ち、構えている。


なぜこんな事をしているのかというと――

リアが扱える武器を、エレンさんに選んで来てもらったわけなのだが。

近接武器は魔物に近づくので危ないわけだし。

かと言って、弓などは慣れていないと味方に当たる可能性がある。


鉄球も同じなんじゃないのか? と、俺は思ったが。

エレンさんから使い方を聞いて、納得することが出来た。

この鉄球は、自分の魔力で操作して。

自分の手と鉄球の間に、魔力でできた紐みたいなものが繋がっている。

分かりやすく例えると、ヨーヨーみたいなものだ。


敵に投げた後も魔力で操って、自分の手もとに戻すことが出来る。

リアは攻撃魔法が使えないようだが、魔力はあるし。

力もそこそこあるので、お似合いの武器らしい。

ただ……リアは力まかせに投げて、暴投することが多いので。

こうして俺で練習をしているわけだった。


まぁ……

野球と違ってバッターが居ないから……

この叫びはちと、違うが……気分の問題だな。


相変わらず俺の盾に飛んでこない鉄球を見ながら、そんな事を考えていた――


「そんなに難しいものかしらね……」


「力があるから、逆に難しいのかもしれません」


「リアちゃんがんばー」


アリスとソフィアが庭にある椅子に座って、俺たちを見ながらそんな話をしている。

トリアナは、ずっとリアに声援を送っていた。


「リア。投げ方を変えてみたらどうだ?」


「ルナさま……なげかたですか?」


大暴投を繰り返しているリアに、ルナが駆け寄り相談をしていた。


投げ方か……

確かにリアの投げ方を観ていると、なにかバランスが悪い気がするんだよな。

鉄球を投げた後に……フラフラしているし。鉄球が重いわけではないみたいだが。



「かしてみろ」


「はい……」


考え事をしていたら。

ルナが手本を見せると言って、リアから鉄球を受け取っていた。


「クロ。いくよ」


「よし、こい!」


ルナがそう言って、鉄球を上手投げに投げようとしている。

いわゆる、オーバースローと呼ばれる投げ方だ。

リアは下から投げるほうが投げやすいと言って、アンダースローで投げていた。


真っ直ぐこっちに向かって来る鉄球に、俺は盾を構えて衝撃に備えた。

だが……ルナが投げた鉄球は、俺の盾に当たる寸前に。

なぜか地面に向かってカクンと軌道を変え、盾に当たらずバウンドをした――



――その時俺に衝撃が走った――



ルナが投げた鉄球はフォークボールとなり、バウンドして盾をかわし……

俺の大事な息子に直撃した――


「ぐほぉぉ……お……おぉ……おぉぉ……」


言葉にならない声が出て、あまりの痛みに俺は地面に崩れ落ちる――


「クロード!」


「クロード様!?」


「うわぁ……クロちゃん……」


三人の女性が、名前を呼びながら俺に駆け寄ってくる。

ソフィアが俺の名前を呼びながら心配をして。

トリアナは、俺の腰辺りを一生懸命さすってくれていた。




そしてアリスは……

子供が作れなくなったらどうするの! とか言いながらルナに叫び。

ルナはそんなアリスに怒られながら、シュンとなっている。

俺は体中の力が抜けながら、そんな二人を遠目で見ていた――

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