表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/259

第76話 思春期真っ只中

全ての話を聞かされて、リアが落ち着きを取り戻した後。

アリスの家族全員に、リアが竜人であることを伝えたると――

アルさんとアッシュさんとカイさんが、揃ってリアに頭を下げて謝っていたが。

リアはどうしたらいいのか分からずに、困り果てていた。


リアが大変困っていたので。俺は雰囲気を明るくしようと、そんなに大げさにしなくても……と。にこりと笑いかけながら、場を和ませようとしていたが。

今思えば……少し不謹慎だったかもしれない。

その後――エリスさんとアリスの姉妹に、俺が説教をされたのは言うまでもない。


それから五日ほどが過ぎて――

アルさんの言葉に遠慮無く甘えさせて貰っていた俺たちは、それぞれ屋敷で自由に過ごしていた。

異世界の勇者の迷惑行動で、俺たちは足止めをされて。

街の外に出ることも難しかったからだ。


「それではクロードさん。おやすみなさい」


「はい。おやすみなさい」


時刻は夜十一時過ぎ。エレンさんが挨拶をして、俺の部屋から出て行く。

屋敷から外出をしにくかった俺は、街の様子を見てもらってきたエレンさんの話を聞き終えた。

今日も街の出入り口の検問が厳しく。街の外に出るのは、容易ではないとの事らしい。


ちなみに今の俺は――黒色の髪から、ルナと同じ銀色の髪にしている。

なぜなら、黒い髪は珍しい上に、俺に似せた似顔絵付きの手配書まで出回っていたからだ。

さすがに顔の整形までは、怖くて出来なかったのでやらなかったが……


ねがいのまほうで髪のを色変えたわけなんだが。

どうも俺の想像力は偏ってるっぽい。

ルナを膝の上に乗せて、魔法を創造したら。銀色の髪に変わった。

たぶんだが、ルナの髪が目の前にあったので、その影響を受けたのだと思う。


よく考えたら……

片手剣を創る時は、アリスに買ってもらった剣を見ながら創ったし。

大剣の創造の時は、ギルさんの武器を参考にしてたんだよな。

盾なんかは、武具屋で見た盾を思い出しながら創造していた。


俺って……イマジネーションが乏しいのかな――

考え事をしていたら、眠気が冷めてきたな


「気分転換に、少し風に当たってくるか……」


ルナはリアの事を心配して、一緒に寝るようになったので。

最近は俺一人で寝ていた。


この屋敷に泊まらせてもらった最初の頃は。

ソフィアかアリスあたりが夜に来ないかなと……期待していたもんだが。

その期待は虚しく、寝る前の挨拶をするだけで誰も来なかった。


これだけの女性陣が居たら、一人くらいは……なんて思っていたが。

どうやら俺に積極的にアプローチをしてくるのは、ルナだけっぽい。


いかんな……

下心満載すぎる……俺も男だから仕方ないが……

肉体年齢的にも、思春期真っ只中だしな。

煩悩退散――


そんな事を思いながら部屋から出て、できるだけ他の人を起こさないようにと思い。

気配遮断と足音を消す魔法を創りだしながら、屋敷の庭に向かうことにした。



==============================================



「んー……っと。風が心地いいな」


屋敷の外に出て、夜空を見ながら大きく息を吸う。

少し肌寒かったが。変な事を考えたりして、熱を持っていた頭と身体には、気持ちのいい感じだった。

夜空には星が瞬いていて、気分転換にはもってこいだ――


うん? 

何か今……声が……


星を眺めていたら。風に乗ってヒソヒソと話し声が聴こえてきた気がした。


まさか……幽霊……?


「よし――部屋に戻るか」


相変わらずの怖がりだった俺は、すぐに踵を返すことにする。

しかしまた聴こえてきた声は、どうやら自分の知り合いの声の様だった――


この声……トリアナか?

声の方向からすると――ローズガーデンの方か。


屋敷の広い庭に、エリスさんが趣味で作ったバラ園がある。

たまに、その場所で女性たちが楽しくティータイムをしていたが。

男の俺には、近寄りがたい場所でもあった。


俺は再び気配遮断系の魔法を使いながら、その場所に近づいて行く。


何故気配を断つのかって? なんとなくだ……別に幽霊が怖いわけじゃない。

相手はトリアナだしな…………誰に言い訳をしているんだ俺は――


「はい……その通りです」


ん? トリアナの他にも誰か居るのか?


どうも――独り言というより、誰かと会話をしているような声だ。


「なら……ですね……」


「はい」


聖女との交信か? 聞き取りづらいな。


そんな事を思っていると。ねがいのまほうが発動したのか、相手の声も聞こえるようになってきた。


相変わらず便利な魔法だな……


「やはり前世の封印は、難しかったのですね」


「申し訳ありません」


なんか……話し相手がソフィアっぽい気がするが……

いや、トリアナが敬語を使っているから違うか……


聞き覚えがあるような声で、相手の話し方がソフィアみたいな感じだったが。

トリアナの口調から別人だと判断できる。

それに……話し相手をよく見ると、何やら薄い幻像みたいな物が浮かび上がっていた――


前世の封印って、俺の話だよな……これは。


「最初は、前世の記憶に引きづられているような状態でしたが。今は安定しているようです。稀に性格が豹変しますが、問題はありません」


「豹変……ですか……黒乃の事は、何か言っていましたか?」


その言葉を聞き、俺はトリアナが話している相手の声の主を思い出した。


アストレア様か……


トリアナが俺から聞いた話を。

一言も漏らすこと無く、アストレア様に全て報告していた。

二人の会話を聞いていたら。

やはり俺が見た夢と、アストレア様が知っている黒乃の最後に、食い違いがあった。


「あの指輪は渡してくれましたか?」


「はい。然りと説明をして渡しましたが、ルナちゃ――魔王にも渡してよかったのでしょうか?」


「それは大丈夫です。魔力を安定にさせるのが目的ですし、貴女の話を聞く限り。その魔王は、何も問題ありませんね」


その話しをした後……トリアナが、ルナは俺の事だけに夢中で。

世界征服や神界などには全く興味がなく、神族の敵ではないと熱弁に語っている。

それを聞いたアストレア様が。なぜか、少し羨ましいです――と喋っていた。


「あの御方はどうしていますか?」


「あの……御方は……」


うん? あの御方とは誰の事だ? 急にトリアナが口ごもったぞ。


「この世界で……好き放題……暴れておられます……」


「そう……ですか……」


「申し訳ありません。ボクには絶対に、止めることが出来ません」


「でしょうね……」


「まさか人間に転生なさられているとは……ボクは夢にも思いませんでした……」


「私もですよ……あの御方の力も凄まじいものでしたが。人間に転生したのは、制約を消すためなのでしょうね」


凄まじい力を持った、好き放題暴れている奴? 

いったい誰の話をしているんだろうか……

人間に転生した……神――か? 俺みたいな奴が他にも居るのかな。

しかし……制約を消すっていうのは、意味がわからないな……


俺が危険そうな奴について、絶対に会いたくはないなと思っていたら。

どうやら二人の話し合いは佳境に入っていたみたいだった――


「では、引き続きお願い致しますね」


「はい。ボクにも果たしたい約束がありますから。問題はありません」


「彼との約束……でしたね」


「そうです」


「もう、終わってしまった人生だったのに。その約束を……誠実に守っているのですね」


「彼は約束通り、また……生まれ変わりましたから」


トリアナが横顔が、そう言って嬉しそうに微笑んでいた。

前に言っていた、守らなくても良い約束――いつか聞きたいと思っていたが。

それは聞かないほうがいいのかもしれないと……ふと、そんな考えが横切った。




俺は気づかれないようにバラ園を後にして、自分に与えられた部屋へと戻った。

ベッドの上で横になりながら、盗み聞きをしてしまって悪い事をしたなと……

少しだけ罪悪感を感じながら、眠りについた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ