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第43話 前世の記憶


「ソフィアは、眠ったのか?」


《みたいだね》


「そうか……」


創造した椅子の上に座って、見張りをしながら三人で会話をしていると。

いつの間にか、ソフィアの声だけが聞こえなくなっていた。


俺が意識を鎮めなくても、眠れるようになったんだな。

夜中に、野郎二人だけで会話とか寂しすぎる……



「寒いな……火をつけるか……」


《蔵人、ちょっといい?》


「なんだ?」


《うん、また蒸し返す話になるんだけど……》


焚き火の用の火をつけていると、黒斗が神妙な声で話しかけてきた。

黒斗の様子がおかしかったので、俺は頭の中の会話に切り替えた。



《なんの話だ》


《君と神さま……いや、女神さまのこと》


《俺とソフィア?》


《そう、ずっと君たちのことを見ていたんだけど。やっぱり……違和感があるんだ》


違和感? そんなに変だったか俺たち。

確かにしょっちゅうイチャイチャしていたが。

はたから見たら、そんなにおかしな事だろうか。



《君たちは一回しか、外で会ったことが無いんだよね》


《そうだな、転生の時に会っただけだ》


《それって、一目惚れ?》


《あぁ、そうだと思う》


《それは不思議だね》


《一目惚れは、おかしな事か?》


《おかしくはないけど……君の女神さまに対する態度が……異常すぎるんだよ》


異常だと……

愛してる女に、愛を囁くのは普通だと思うが。



《これだけの……女性たちから好意を寄せられているのに。一回しか会ってない女神さまだけ、執着心が強すぎる様に思うんだ》


《それは……》


その通りかもしれない……

よく考えてみると、ソフィアを優先している気がする。

ルナやアリス、それにエレンさんとリアも大切にしているが。

なぜだろう……一番手放したくないのはソフィアだ。



《君の称号にも、それが現れてる気がするよ》


《その身に封印せし者が?》


《うん。まるで……誰にも渡したくないって主張しているように見える》


渡したくない……

たしかに、その感情はあるが。



《愛していたら、普通の感情じゃないか?》


《一目惚れで?》


《む……》


《転生した瞬間に……その身に封じ込めちゃうほど?》


《ぬ……》


《他の女性には言わないけど。女神さまだけには、愛してるって言うよね》


《う……》


そう言われると……



いくら何でも……おかしいのか?

無意識の内に、願いの魔法でその身に封じ込めたとしても。

あの時の俺に、それほどの願いがあっただろうか……


それに、俺の魔法はルナが引き出したわけだし。

ソフィアに愛を囁く事も……あまり抵抗がない……



《少し考えたんだけど、君の前世で何かあったのかな》


《前世か……思い出せないんだよな》


黒斗の存在を知った時から、黒斗の夢は思い出せる様にはなったが。

前世の記憶、特に俺自信のことだけが全く思い出せない。



《自分の名前しか、いまだに思い出せない》


《自分以外の知識とかは、あるんだよね》


《あぁ……》


《まるで……前世の自分の事を、思い出したくないみたいだね》


思い出したくないか……

だがそれが、ソフィアと何の関係があるのだろうか?



《うーん……思い出そうとしても……ん……?》


《どうしたの?》


《いや……今なにか引っかかった》


《引っかかる?》


《ちょっとまってくれ》


俺が……自分の魔法を自覚した時だ。

たしか……ルナが……



だいじょうぶ…クロはちからをつかえるよ

おもいだして…



思い出して……?

ルナは俺の前世を知っている……いや、俺の前世イコール黒斗か?



《ダメだな、考えてもわからん》


《蔵人……?》


《あぁ、ルナが俺の前世を知っているような気がしたが……》


《ルナが?》


《ルナが前に、そんな事を言っていたんだが……俺の前世がお前だと思っていたから……言ったのかもしれない》


《それは……どうなんだろう》


《ルナが何も言わないし、確証がないんだよな》



多分、黒斗の事を思い出すと悲しくなるから。

話したくないんだと思うが……

無理やり聞き出したくもないしな――



やはり、自分で思い出すしか無いか。



《俺の前世にソフィアが……いや……女神か?》


《何か思い出せそう?》


《普通の人間だったと思うし……俺に女神と接点なんて……》


「ぐ……が……」


《蔵人……?》


「が……あ……ぁ……」


《蔵人! どうしたの!?》


「う……が……ぁあ……」


ぐぅ……なんだ……頭が割れるように……痛い……

声が……まともに出ないし……目が開けていられない……


「がぁ……ぁぁ……あ……」




何か……聴こえる――




ボク――キミを――愛してる――ティ――


私も――愛し――います――クロ――様――




「ぐぅぅぅ……」


「クロ!」


「がぁ……ぁ……」


「クロ! クロ!」


「うぁ……」





《蔵人……大丈夫?》


あ……

なんだ……俺は意識を失っていたのか?


気がついたら俺は、ルナに頭を抱きかかえられていた。


「ルナ……?」


「ん……だいじょうぶ……あんしんして……」


ルナがそんな事を言いながら、俺の背中を優しく撫でてくれた。


《蔵人……》


《あぁ。すまん、何があったんだ?》


《君がいきなり頭を抱えて、うめき出したと思ったら。そのまま……地面に倒れたんだよ……》


突然頭痛がして、目も開けていられなかったが……

頭の痛みは、無理やり思い出そうとしたからなのか。

危ないな……焚き火に倒れこんでなくてよかった。


「ルナ、すまない……ちょっと頭痛がしてな……」


「ん……」


俺はルナから離れると、服についた土を払い落とした。


《無理させちゃったみたいだね……ごめん》


《まぁ、気にするな……》


《俺もこんな事になるとは、思っていなかったしな》


《うん……》


《俺はどれ位倒れてたんだ?》


《そんなには……五分くらいかな》


《そうか……》


『クロード様?』


あぁ……ソフィアまで起きてしまったか。

ルナとソフィアに悪いことをしたな。



「すまん、騒がしかったか」


俺は二人に謝りながら、椅子の上に座った。

ルナはなぜか俺の膝の上に座ってきた。


『いえ。それより、なにか起きたのでしょうか?』


「あ~。ちょっとな……というか、ルナは何故俺の上に座るんだ?」


「ん……特等席」


特等……

まぁいいか。



「昔のことを思い出そうとして、頭痛がしたんだ」


『昔のこと、ですか?』


「昔というか……前世だな」


『それは……』


「ソフィアは、俺の前世を知っているのか?」


『申し訳ありません、それはご存知ないです。転生神として、大神王様から転生の仕事を与えられましたが……転生体に関する前情報は、知ることが許されていませんでしたので』


「そうか」


『ただ、一つだけ言えることは……』


「うん?」


『聖域で転生を行う人間は、特殊な死を迎えた方のみとなります』


『特殊な死に方?』


神様の手違いで……とか言うやつだろうか?



『例えば、神族や魔族の戦争に巻き込まれて亡くなった……等がそうなります』


《神魔戦争だね》


神魔戦争……

俺はそんなものに巻き込まれて死んだのか?

女神との接点はそれなのだろうか……



「ソフィア」


『はい』


「ソフィアにも、前世ってあるのか?」


『それは私にも有りますが、知ることは許されておりません』


神様にも前世はあるのか。

許されていないのなら、これ以上聞き出すのはよくないな。


「じゃぁ……ソフィアの名前って……本名なのか?」


『名前ですか?』


「あぁ」


『そう……ですね……』


これも聞いちゃダメだったか……

神様だし、人間に名乗ることは許されていないかもしれない。



『クロード様には……教えてもいいです』


「いいのか? 人間に教えてはいけないとかじゃないのか?」


『そんな事はないのですが、人間に教えると悪用される事もありますから』


なるほど、神の名を勝手に使うとかそんなのか。

邪教とかそんなのに、信仰されたりしたら嫌だよな。




『私の神名は、ソフィーティア・アルレインと申します』


「……」


「ティア……」


《ルナの名前に、少し似てるね》


黒斗の言うとおり確かに似ているが、ルナは何も言わない。

しかし俺は、そんな事より別の事が気になっていた。


さっき聴こえた声は……俺と女神の声?

クロという名前が聴こえた気がするが、相手の名前が聞き取れなかった。

だけど……ソフィアと似たような名前だった気がする。



「クロ……」


「うん……?」


今までの会話を黙って聞いていたルナが、俺を呼んだ。


「どうした?」


「クロは……異世界がきらい?」


「は……?」


《え……?》


何故、唐突にそんなことを聞くんだ。

いやまて……前にも似たようなことがあったな。

あの時はルナ自身の事だったが……


《何か妙な質問だね……》


《妙な……?》


《だって君……この世界の事が嫌いだって、態度を取ったことがある?》


《ないな……》


俺はそんな素振りを見せた覚えはない。

嫌な事もあったが、それ以上に大切な思い出がある。

好きな人達もできたし、ルナの質問の意図は分からないが……



「別に俺は異世界の事も、す……がっ……」


《え……?》


『クロード様?』


くそっ……またかよ……


「ぐ……ぅ……」


「クロ、ごめん! いわなくてもいい、ごめんなさい」


俺はまた、ルナに抱きしめられていた。



《蔵人……》


『クロード様、どうしたのですか?』


「悪い、まだ頭が痛いだけだ……」


『ご無理はなさらないでください』


「そうだな……そろそろ交代の時間だし、休ませてもらうか」




その後。少しして、アリスが起きてきてから交代になったが。

ルナが俺のことが心配で、アリスは一人で見張りをすることになった。

アリスには悪いことをした、起きたら謝らないと――

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