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第18話 アリスの過去


「……ぅ……うぅ……」


寝ていた俺は少しずつ目が覚める――


何だ……今の夢は……

誰かの記憶を見ていた気がする……

そう……誰かだ、あれは俺じゃない……


姿形は俺そのものだったが。俺に似ている、別人のはずだ……


転生をしていた様だが……そもそもあの場所に、ソフィアは居なかったし……ルナも出てこなかった。


「起きた?」


「ん……?」


そんな事を考えていると。不意に頭上から声をかけられた。


声をかけてきたのはアリスだ……

意識を覚醒した俺は状況を確認する。


うん……膝枕をされていた……

しかも俺の顔は、アリスのお腹の方を向いていた。


え……?え……なんだこれ?


俺は、慌てて起きようとするが――


「大丈夫? うなされていたわよ」


「あ……えっと……」


アリスに頭を優しく撫でられて、俺はなすがままにされていた。


やばい……アリスの太ももが気持ちいい……

俺の頭を撫でるアリスは。湯上がりでしっとりした髪を、ポニーテールにしていた。

そしていい匂いがする……


風呂に入る前とは違い、黒と白の巫女服に着替えていた。



「ぐぬぬ……」


「うぬぬ……」


「え……?」


俺が、アリスの太ももの柔らかさを堪能していると。声が聞こえてきた。


その声の方向を見ると……

俺が寝ていたソファとは反対側にある、もう一つのソファに、ルナとギルバートさんが座っていた。


二人共うなりながら、こっちを見ている――


「ひっ……ギ、ギルバートさん……」


俺が驚きながら声を出すと。


「よう……ぼぅずぅ……げんきか……?」


物凄く、元気が無いような声で……そう言われた。


「えっと……」


「あぁ……まぁ……ゆっくり休め……」


そんな元気の無い声と……複雑な顔をされても困る……


「ア、アリス……?」


何となく察しはついていたが、俺は理由をアリスに訪ねようとした。



「まったく……兄さんったらクロードを無理やり起こそうとするのよ。こんなに疲れているのに……そんな事出来るわけ無いわよねぇ」


そんなことを言いながら、アリスは俺を膝枕にしたまま、優しい顔をして俺の頭を撫でる。


「うぐぅ……」


「くぅぅ……」


ルナが悔しそうな目で睨んできて。ギルバートさんは顔を伏せてうなっていた。


うん。俺にはもうこれ以上耐えられない……

アリスの太ももは名残惜しいが、俺はアリスから離れた――


「す、すまんアリスこんな事……」


「いいわよ、寝づらそうにしていたから……膝を貸してあげただけよ……よく眠れた?」


「あ、あぁ……ありがとう、よく寝れた」


「そ……ご飯を作ってあげるから、アナタもお風呂に入って来なさい」


アリスはそう言いながらキッチンに向かって行った。

残された俺は、ルナとギルバートさんの方を見る。

二人共無言でジット俺を見ていた……


すごく……いたたまれないです……

今すぐお風呂に逃げたいが、そんな事出来るわけがなかった――


「坊主……」


「はっ、はい」


「まぁ……座れ……」


「はい……」


ギルバートさんに声を掛けられて、俺はソファに座る。


「でだ……一体何があったんだ?」


「えっと……」


「俺が帰って来たら……アリスがまるで恋する乙女の目をしていてな。坊主に膝枕をしたまま、坊主を見ていたんだが……」


うわぁ……


「坊主を起こそうとしたが……アリスに止められてな……」


『アリスさんに、物凄く叱られていましたよ……それはもう……同情できるくらいに……』


ソフィアがそう補足する……

俺はもう、今すぐにでも逃げ出したい。


「そ……その……ですね……」


とりあえず何でこんな事になったのか、原因は分からないが……

俺は、神殿での出来事をギルバートさんに話す事にした――


「ふむ……その神殿の事も気になるが……なるほど……アリスの態度はそのせいか…」


ギルバートさんは、アリスの態度が変わった原因を理解したようだった。


「どういう事なんでしょう……?」


「そうだなぁ……坊主は今、何歳だ?」


「え? 17ですけど……」


何故年齢……?

突然歳を聞かれて、俺は正直に答えた。


「ギリギリ下か……」


「は……?」


そんな事を言いながら。ギルバートさんはポツポツと、アリスの過去を話してくれた。


「アリスが10歳位の時の事だかなりやんちゃな性格でな……女友達より男友達のほうが多かったんだ」


「女の子達と遊ぶより男のガキ共と一緒に、泥だらけになって遊んでたりしてな」


「あの日の夜も……その男のガキ共と一緒だった」


「街の外れにある廃墟に、そいつらと肝試しに行ってな。アリスは反対したそうだが……そのガキ共の中に、特別怖がりな奴が居たらしい」


「まぁ、アレだ……他の奴らに無理やり連れてかれたんだ。アリスはソイツのために……一緒について行く事にしたらしい」


「俺はその時は街から出てたから、後から聞いた話なんだがな。その廃墟の奥には、昼は何もなかったが夜は低級霊の魔物が居たらしい……」


「後はまぁ……簡単な話だ……ガキ共はそれを見つけて、我先にと逃げた」


「残ったのは恐怖で逃げ遅れた奴と……ソイツを守ろうとしたアリスだけだ」


「アリスは小さな時から、ジイさんに剣術を習っていたが……まだ子供だったからな……まともに退治できるわけじゃない……」


「逃げ出したガキ共の騒ぎを聞きつけて、大人が向かった時には……遅かったんだろうな……」


「そこで見たのは、傷だらけで魔物に立ち向かうアリスと……アリスが守っていた、瀕死で倒れている奴だけだったらしい……」


そこでギルバートさんはふぅ……っとため息を吐いて、話を一旦止めた。


「その子はどうなったのですか?」


「死んだよ……」


「そう……ですか……」


これはキツイな……

アリスにそんな過去があったなんて。


神殿で恐怖に怯える俺に、ずっと優しかったのは、そんな事があったせいだったのか。


「ソイツが死ぬ間際にアリスに言ったらしい、自分みたいに怖がりな子が居たら守ってくれと」


「…………」


「ソイツはな……アリスの三つ年下で、アリスの初恋の相手だった……アリスは今は18歳で……坊主の一つ上だ」


初恋か……辛すぎるな……

アリスは16歳くらいかと思ってた……

年下に見える俺と……その子を重ねたのか。


「そんな訳でだ……坊主」


「はい」


「アリスが坊主の事を好きなのかどうかはわからんが……まぁ、気持ちを汲んでやってくれ」


「はい、わかりました」


俺はアリスの気持ちを大切にすると心に決めた。


「よし、じゃぁ風呂に入って来い。それとも一緒に入るか?」


「いえ、遠慮します」


俺は速攻で拒否した。


「はっはっは、まぁゆっくりしていけ」


「はい、ありがとうございます」




そう言って俺は風呂に向かった――

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