第15話 クロード暴走
「えっと……大丈夫……?」
神殿の隅で恐怖に脅えてガタガタ震えてる俺に、ルナに連れて来られたアリスが声をかけてきた。
「あ……あぁ……だだだいじょうぶだ」
自分の中にソフィアが居たとはいえ。怖いものは仕方がなかった俺はアリスの言葉に、どもりながら返事をしてしまう。
「無理しなくてもいいわよ、私が代わりに見てきてあげるから」
何かアリスがすごく優しかった。
「う……正直怖くて行きたくないが、そういう訳にはいかない」
「そう……無理しないでね」
アリスが優しく抱きしめてくれた……
いい匂いがする――
しかし、なんだこれ……アリスの態度がおかしい。
「むぅ……」
『むむ……』
ルナとソフィアが何故か唸っていた。
石像の下の入り口から、俺達は階段を降りていく。
「う……うぅ……」
物凄く情けないが、俺はビクビクしていた。
「大丈夫、私が居るから安心なさい」
そう言いながらアリスが俺の手を握って引いていく。
とても頼りになるが、明らかにアリスの態度が今までと違う。
何だこの状況……アリスが別人だ。
「くっ……」
『う……』
ルナが悔しそうな顔でこっちを見て、ソフィアもなにか言いたげだった。
神殿の地下一階に到着する――
壁に埋め込まれている緑色の宝石みたいなのが発光していて、薄暗いが見えないことはない。
灯りの代わりみたいだ。
「ふむ……」
『ここ迄くれば、私にも分かりますね』
「うーん……闇の波動が凄いわね」
「こわっ……」
アリスが恐ろしい事言うので思わず声に出た。
ソフィアも何か感じるようだ。
「私に任せなさい」
アリスが俺に優しく微笑む。
ホントに誰だこの子!?
『明らかに今までと態度が違いますね……』
俺がそう思っていると、ソフィアがつぶやいてきたので、心の中でソフィアと会話をする。
『だよな……別人すぎる……』
『ルナはアリスさんに何を言ったのでしょうか……』
『わからん……』
心の中でそんな会話をしていると。
『クロが幽霊を怖がって子供のように泣いているから、手伝ってくれと言ったダケだ』
心の中にルナの声が聞こえてきた。
『そうなのですか……』
『泣くって……たしかに超怯えていたけど……というかこっちでも会話できたのか? ルナ』
『ん……出来る……今は外に居るから、ふつうにしゃべっているだけ……』
そういう事か。
心の中で三人で会話をしながら、しばらく通路を進んでいると――
「む……」
『あれは……』
「何か……居るわね」
「え……なに!?」
ルナとソフィアとアリスが各々何かを見つけた。
しばらく目を凝らしてみていると、通路の奥からカチャカチャと音がしてきて…
「ほね……」
『アンデッドですか』
「スケルトンね」
「ひぃ……」
スケルトンが集団で襲ってきた――
俺は凄い情けない声を出す。
「私が倒してくるから、ここにいなさい」
アリスがそう言ってスケルトンに向かっていった。
俺は何故怖がりだったのか思い出せないが、足が動かないのでアリスの戦いを眺めているだけだった。
「数が多いわね……」
「ストーンバスター・クリエイション!」
アリスが敵を倒しながらつぶやき、ルナも次々と岩を生み出しスケルトンを粉々にしていた。
『クロード様……怖がり過ぎですよ……』
「ぐぅぅ……わかってるよ」
「ロックバースト・クリエイト!」
俺も情けないと思いながらスケルトンを倒した。
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通路を進みながら数えきれない程のスケルトンを倒した頃。
薄暗くて大きな広間にたどり着いた――
「くさい……」
「確かに臭いわね……」
『何か臭うのですか?』
「なんだろ……腐敗臭?」
ルナとアリスが異臭に顔をしかめていて、ソフィアは俺の中に居るからこの臭いには気づかなかったみたいだ。
広間は鼻が曲がりそうな程の、腐敗臭が漂っていた。
「暗くてよくわからないな……」
「魔法で明かりを出せる?」
「あぁ、ちょっと待ってくれ」
「グロー……」
「ぁぁぁ……」
「うん……?」
アリスに言われて、俺が魔法を唱えようとしたら、うめき声みたいなのが聞こえた。
「ん……?」
『何でしょう……』
「何か、聞こえたわね……」
「聞こえたな……」
そう言いながら、確かめようとして。
「グロー・クリエイト!」
「ライト・クリエイション!」
俺とルナが魔法を唱えて、部屋が明るくなると其処には――
「ぅぅぅぅ……」「ぁぁぁぁ……」「ぉぉぉぉ……」
ゾンビの群れが居た……
「鼻が曲がる……」
『死人ですか……』
「ゾンビね」
「ぎゃぁぁぁぁ……」
俺はそのゾンビの群れを見て絶叫し――
そして……
「フレイムランス・クリエイト!」
「フレイムバーン・クリエイト!」
「フレイムバースト・クリエイト!」
「フレイムドライヴ・クリエイト!」
次々と思い浮かぶ、炎の魔法を唱えた……
「おぉ……」
『ク、クロード様!?』
「ちょっと、ちょっと落ち着いて!」
三人が何かを言っている気がするが、俺は我を忘れて叫び続けていた。
「うぉぉぉ……」
「フレイムバスター・クリエイト!」
「フレイムウォール・クリエイト!」
「フレイムブラスト・クリエイト!」
「フレイムイレイザー・クリエイト!」
気づいたら、俺一人でゾンビの群れを殲滅していた――




