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第11話 サーチアイ


西の森に到着して、魔物を探していた俺達は、予想外の出来事に遭遇していた。


「おかしいわね……まだそんなに奥まで入っていないのに、なぜこんなに出て来たのかしら……」


そう……

今俺達の目の前には、緑色の気持ち悪い体色をしたゴブリンが、その数ざっと三十匹。


『いっぱい居ますね……』


「くさい……」


ソフィアの言う通り、ゴブリンの数が多すぎる。緑色をしているが、目に優しくはない。

ルナは、ゴブリンの臭いが嫌なのか。自分の鼻を手で摘みながら、顔をしかめている――



「とりあえず、二十匹くらいは倒すから、後はよろしくね」


アリスが、そう言い放って先陣を切る。俺も覚悟をして、腰に差してあったブロードソードを引き抜いた。


「サポートはする、がんばれ」


『私はどうして、外に出られないのでしょうか……』


初めての魔物との戦闘だったが。ルナがサポートをしてくれるというので、それに期待してゴブリンに向かって行く。

敵に向かっていく最中に。俺の中で、ソフィアが外に出られないとつぶやいていたが。その理由は俺にもわからなかった――



剣で敵を次々斬っていくが、ゴブリンは中々倒れない。

斬りつけた先から、緑色の血が飛び散り。もの凄く気持ち悪い。



「飛燕・裂空閃!」


二刀流スタイルのアリスが、叫びながら斬撃を飛ばす。

刀で触れるのが嫌なのか、彼女は遠距離攻撃をしかけていた。


「カッコイイな……」


「む……」


俺の言葉を聞いたルナが、アリスを一瞥したあと。ゴブリンの方を睨む。


「ファイアランス・クリエイション!」


そしてゴブリンに向かって、炎で出来た槍を投げつける。


「おぉ、ルナもカッコイイ……」


「フッ……当然だ」


俺が褒めると。彼女は腰に手を当てて、小さな胸を張っていた――



ほとんどのゴブリンをアリスとルナが倒しているが、だいぶその数が減ってきた。

敵の数が減って余裕ができたので、俺もルナと同じ事をしてみようと思い。頭の中で、熱そうな炎の槍をイメージする。

そうすると、頭の中に言葉が浮かんできたので、言葉に出してそれを唱えた――



「フレイムランス・クリエイト!」


魔法を唱え終えると、俺の右手には炎の槍が握られていた。


「出来た! よし、投げ……あっちぃ!?」


早速敵に向かって、その槍を投げようとしたら。手を火傷しそうになり、それを落としてしまう。

しかも地面に落ちた槍は、なぜか消えずに燃え続けている。


「うわっ!? 消えろ! 消えろ!」


言葉に出して槍に命令すると、その姿が消えたので一先ず安堵した。


「クロ、違う」


「え……?」


それを見ていたルナが、手に持ったら熱そうだなんて思うと。その通りになるから、考えたら駄目だと言ってくる。

確かに彼女の言うとおり。俺は、そんな事を考えながら魔法を唱えたので納得した。


「なるほど……そういう事かぐあっ!?」


背後に居たルナの方を見て、彼女と会話をしていたら。背中にゴスっと何かが当たる。

振り返ると、ゴブリンが手に持っていた棍棒を、俺の背中に投げつけてきていた。


「くそっ、お前が投げるのかよ!」



そんな感じで、俺達はゴブリンを殲滅していった――




==============================================




「終わったか」


『お疲れ様です、クロード様』


「やったか?」


ルナが言っちゃいけないような言葉をつぶやいていたが、別にゴブリンの群れは全滅している。


「ふぅ……片付いたようね」


「あ……あぁ……」


アリスが息を吐きながら、俺達の方へと寄って来る。

そんな彼女の胸元を凝視して、俺は生返事をしてしまう。

汗をかいた彼女が、巫女服の胸の部分をパタパタとしていたからだ。


お……おぉ……


『クロード様……』


「むぅ……ふんっ!」


「いたいっ!?」


ずっとアリスの胸元を見ていると、ルナに足の爪先を踏まれた。


「怪我をしたの? 大丈夫?」


「あぁ……だいじょうぶ、だいじょうぶ」


心配をしてくるアリスの質問に、俺は焦って、声が裏返りながら返事をする。


『クロード様……失礼ですよ……』


『ぐ……いいじゃないか! 思春期なんだ俺は!』


ソフィアが、俺の中で呆れたような声を出していたが。言い訳をする気もなかった俺は、開き直っていた――



=============




「そういえば、死体はどうするんだ? 耳とか牙とか、剥がなくていいのか?」


「なんでそんな気持ちの悪い事、しなくちゃいけないのよ……」


「あぁ、その……討伐の証明とか、必要なのかなと」


自分でも変な質問をしてると思うが、敵を倒した事を証明する為に必要なのかと思ったからだ。


「魔物を倒したら、魔核を回収するの」


「魔核……?」


「そう……」


アリスがゴブリンに近づいていき、その死体の心臓付近を刀でグリグリといじる。

死体から、赤い小さな結晶のようなものが出て来て。それを鞄から取り出した水で洗って、俺に見せてきた。

彼女が言うには、どんな魔物もこの魔力で出来た魔核を身体に持っており。魔物の種類によっては、形や大きさもそれぞれ違うらしい。

魔核は様々な利用用途があるので、小さいものであってもギルドに見せれば買い取ってくれるそうだ。

この世界にきて、初めて見た飛空船も、これが使われているのかもしれない――



「なるほど、それをギルドで見せればいいのか」


「うん、ちゃんと買い取ってくれるわよ。これはあげる」


「わかった、ありがとう」


「それじゃ、帰りましょう」


魔核を受け取り俺達は森を出る。


「それにしても兄さんから聞いた通り、クロードって魔法が使えるくせに。ホントに何も知らないのね」


「あぁ……うん……」


異世界人なんだからしょうがない。そんな事より、今初めて名前で呼ばれた気がする……


「これも、知らないんじゃない?」


アリスはそう言って、ポーチみたいな物を見せてきた


「なにこれ?」


「魔法のアイテムバッグ。自分の魔力量で、入れられる容量が変わるカバンよ」


おぉ……異世界によくあるという噂の、夢のチートアイテムか!


「その中に食べ物を入れていたら、腐らないんだよな?」


「なに言ってるの? 腐るに決まってるじゃない」


「そ、そうか……」


魔法の力でそんな事が出来るのかと思っていたが、どうやらそこまで便利なものではないみたいだ。


さすがにゲームみたにはいかないのか……

魔力で容量が増えるのは便利だが、あんまり夢がないなぁ……


「クロ」


「ん……?」


ガッカリしている俺の傍にルナが寄ってきて、自分の魔法で作ればいいと言ってくる。


「それは、できるのか?」


「クロが願えば出来る……想像力が大事」


「そうか……」


『私はもう……止める事は出来ないのでしょうね』


ソフィア、すまない。


俺の中で諦めたような声を出すソフィアに、心の中で謝る。


しかし、想像をして俺の願いが叶うということは……

相手にも、魔法が使えるんじゃないのか?


俺の中に、ある考えが思い浮かぶ。

それは、ゲームなのでよくある。相手のステータスを覗く魔法だった。


相手の強さがわかれば、便利だよな……お?


立ち止まりながらルナの方を見て。そんな事を思っていると、言葉が思い浮かんでくる。


「サーチアイ・クリエイト」


前方を歩いていたルナとアリスを見ながら、早速その魔法を唱えてみた。


「ぶっ……」


「ん……?」


「どうかした……?」


ルナとアリスが声を掛けてくるが、正直それどころじゃ無い。

俺は、二人の姿をガン見してしまう。


白と黒か……意外だな……


俺の目には、ステータスではなく。二人の下着姿が見えている。

そう……彼女達の服が、スケスケになっていたのだ。

ルナが白い下着で、アリスが黒い下着だった――



『クロード様!? 何をしているのですか!』


「はっ! いや……なんでもない、なんでもないぞ」


ソフィアに注意をされて我に返った俺は、慌ててそう言葉にする。


「そう」


「んー……?」


アリスは納得したけど、ルナは首を傾げていた。


ふぅ、ヤバイ焦った……


ちなみに、二人の姿はもう普通に見える。


『クロード様……』


『いやちがう、違うんだ……二人のステータスを、見たかっただけなんだ』


呆れているソフィアに、俺は必死で言い訳をした。


『邪な考えで、魔法を創ったのではないのですか……』


『違うっ無意識だ! たぶん……』


『はぁ……』




ソフィアの好感度が減ったような感じを受け止めながら。

俺達は帰路についた――

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