第1話 新たな人生は牢獄から
ご都合主義、チート能力、ハーレム要素等が含まれております。
初めて小説を書いたので、拙い文章や辻褄が合わない可能性もあります。
現在時間をかけてできるだけ改稿中です。
「ん……うぅ……」
ぼやけた視界の中で、俺は目を覚ます。
最初に目に飛び込んできたのは土の天井、どうやら仰向けになって寝ていたらしい。
「どこだここ……洞窟?」
こんな変な所で寝た覚えはない。というか、寝る前の記憶がまったくなかった。
「どういう事だ?」
上半身を起こして、きょろきょろと視線を動かす。
部屋の中は土塊で出来ていたが、入口の場所には鉄の格子が付けられていた。
「えっ、牢屋?」
『お目覚めになられましたか』
体に付いた土を払いながら起き上がると、頭の中に声が響く。
清廉を感じさせるような、凛とした女性の声だ。
「だ、誰だ!?」
『そうですよね、覚えていたりしませんよね』
「あ……」
もう一度その声を聞き、女性の正体が誰なのかを思い出す。
「もしかして……女神さま?」
『覚えていらっしゃるのですか』
「はい。ぼんやりとですけど、思い出しました」
そうだ。この女性は、俺を転生してくれた女神さまだ。
という事は、転生はうまく成功したのだろう。失敗するのかと思っていたので、俺はほっと胸をなでおろす。
「あれ? でも、なぜまだ声が聞こえるのですか?」
ほっとしたのも束の間、いまだに女神さまと会話ができることに疑問を持つ。
転生が成功して異世界に来たのなら、もう女神さまと会話はできないはずだ。
『それなのですが……』
「……?」
俺の言葉に、女神さまはとても言い難そうに言葉に詰まる。
『なんだ? ワタシのせいだと言いたいのか?』
なんと声をかけるべきか悩んでいると、頭の中にまた別の声が響く。
どこか威厳がありそうな喋り方をする、可憐な少女の声だ。
『まず間違いなく、貴女のせいでしょう?』
『たしかに細工はしたが、オマエまで連れてきた覚えはない』
俺の頭の中で、女神さまと少女の声が言い争いを始める。
『それに、どのようにしてあの場所まで来たのですか』
『聖界ならともかく……オマエが居た神界の端など、ワタシの力を使えば造作もない。ほとんど力を使い切ったけど……』
少女は威勢がいいような口調で喋っていたが、最後の方が聞き取りづらい小声になっていた。
『転生体と共に連れ去られた挙句、魔王と同じ場所に閉じ込められるなんて……私には耐えられません』
あ、思い出した。
二人のやり取りを傍観していて、女神さまと話をしている少女が何者だったのかを思い出す。
魔王とか言っていたよな。
『それはこちらのセリフだ神王! ここはワタシの場所だ、さっさと出て行け!』
「いや、これは俺の体だよね?」
『クロは黙ってて』
『そうです、クロード様は黙っていてください』
「はい……」
魔王さまと女神さまのお二人に強く反論され、俺は何も言えなくなってしまう。
どうしてこうなった……
転生する前は女神さまの話を聞いて、とてもワクワクしていた。
新しく生まれ変わって記憶がなくなったとしても、もう一度人生を歩めるからだ。
けれど現実は甘くなかった。
なんで、女神さまと魔王さまがご一緒しているのでしょうか?
女神さまのお力で、新しい人生を歩むことになった俺。
しかし女神さまが転生を完了する直前に、なぜか魔王さまが乗り込んできた。
そして気がついたらこの状態だった。
そう……転生した俺の体の中に、女神さまと魔王さまがセットで付いてきたのだ。
本当に……どうしてこうなった……