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狐の花嫁  作者: 篠田葉子
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豊臣秀次

前回の北野大茶会が1587年。鶴松さん誕生が1589年だということで、急きょ入れたので今回はめっちゃ短いです。

削除しましたが、以前上げた話の中で少し触れましたが、うちの秀次さんはこんな感じという話です。

秀吉の実子は長浜城主時代に夭逝した子が一人いるだけで、現在は誰もいない。

養子はたくさんいるが、血縁者として後継ぎに一番近い位置にいるのでは、と噂されているのが甥の秀次だ。


彼は四国征伐の際に病気の秀吉に代わり総大将を務めたこともあるし、北野大茶会の前年、秀吉より豊臣の本姓を下賜されている。

血族だし、このまま実子ができなければ彼を養子に取り、後継ぎにするのではないか。

きっと彼もそれを狙っているのだろう。

たくさんの妻妾を囲うような精力的な男ならば、それくらいの野心は当然持っているだろう。という認識が広まっていた。

しかし――




ある程度の地位にある男が必ずしもトップを狙うかというとそうでもない。

あの人をトップにするんだ!とか、彼を支えたい!とかいう人だっている。

そうでなければ組織なんて成立しないものだ。



秀吉の弟の秀長は前に出ようとはせず、あくまでも自分は秀吉の補佐役である。という態度を貫いた。

弟の秀長がそうであるように、秀次も自分から進んで前に出ようとは思わなかった。

自分は秀吉とは違う。という意識ももちろんあったが、彼は根っからの庶民派だったのだ。


「天下人なんて分不相応な地位に自分が就くなんて考えただけでもお腹が痛くなる!」という性格で、たくさんの妻妾を囲っているのは、秀吉と同じく人たらしの才を持っていながら彼とは違い「彼のもとに輿入れをしたい?つまり私と寵を争おうと言うのですね?よろしい、受けて立ちましょう!」という奥方がいなかったため、結果としてたくさんになっただけである。


庶民派ではあるものの、真面目な彼は秀吉の血族としてふさわしい男であるように励み、早く秀吉に実子が誕生しないか祈っていた。


そして1589年、秀吉と茶々の間に実子――鶴丸が誕生する。



秀次は茶々懐妊の知らせを聞いた瞬間からそれはもう喜んだ。


おねが秀吉に子どもを産んであげられなかったことを悔やんでいたことも、愛する秀吉の子を産んであげられないと悲しんでいる彼の妻たちも、自分のせいで子ができないのかもしれないのに自分を責める奥方たちを見て辛い思いをしている秀吉も、ずっと見て知っていたからだ。


懐妊の知らせを聞いた秀次は伝手を使って優秀な僧侶に母子ともに健康で産まれてくるように祈祷させ、産まれてからは元気で育つように祈祷させた。

寺だけでなく、神社にも祈り、お布施や寄進も弾んだ。




さて、呪術が全盛期なこの時代、彼の行為が素直に受け止められたかというと――まぁお察し。


「普段だったら呪殺しようとしてるんじゃないかって邪推されることくらいわかって自重される方なんですけどね・・・」

「まぁ秀吉様たちはあの方がどういう方がご存知ですから問題ないですし」


仕方がないお人。という目で秀吉の実子誕生に浮かれる夫を見つめる妻たち。



豊臣秀次。

彼もまたラノベの主人公のようでありながら、実際にはエロゲーの主人公のようなことをしている男であった。


うちの秀長さんも秀次さんも表舞台で偉そうにしているのがあんまり得意じゃない人です。

むしろ彼らの一族的には秀吉さんが例外。

そんな彼らの共通点は人たらしだということなのでした。

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