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狐の花嫁  作者: 篠田葉子
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北野大茶会

大関ヶ原展の後期展示を見に行ったせいで男性の下着ネタを書きそうになりましたが、何とか方向転換しました(笑)

榊原さんの下着の展示があったからなんですけどね(笑)

これは一般的な下着なのか、違うのか。展示されるとわかってたらもっと違うの履いたのに!とか思うのかな?とか言いながら見てました(笑)

この話を考えた時からあったお花見の女の戦いが書けて、私的に一つの山場を越えた気がします。

まぁ先は長いんですけどね!

とか書いてたんですが、大変な間違いに気付きました。

この時期に会った秀吉さん主催のイベントは北野大茶会であって、醍醐の花見じゃありません。

そのため書き直しました。

大変申し訳ありませんでした。

出世するとお偉いさんとのお付き合いが(強制的に)発生するため、色々お勉強しないといけないらしい。

何でもそうしないと「これだから成り上がりは」というようなことを言われるそうなのだ。

それが嫌なら自分で流行を作って「今の流行はこれなんですけど。遅れてますねぇ」みたいにしてみせろ。とのこと。


偉くなると色々大変なようだ。


大出世をした秀吉様もその例にもれず、芸術方面だの連歌だのと仕事の合間にお勉強をなさっているらしい。

というか、それも仕事の一環である。


先日長谷川さんと狩野さんという絵師さんと知り合ったので紹介してみたら、ご存じだったのもお勉強の成果らしい。

「有名人だったんですね。お二人とも」とのほほんと言ったらむしろ呆れられてしまった。





そんなご存じなはずのお二方に仕事を依頼したいから仲介をしてほしいとのことで秀吉様に呼び出された。

人妻とはいえ女性を呼び出すのは世間体が悪いから、ということだろうけれど、何の用だろう。



「嫁さんたちの機嫌を取りたいんじゃが、どうすればよいじゃろうか?」

「奥方様たちの、ですか?」


神妙な面持ちで、想定の範囲内なのか外なのか悩むことを問いかけられた。


「そうじゃ。

何せわしが忙しいもんじゃから、あまり相手ができんでのう・・・

その上北条氏と戦を近々起こす予定がある。つまり――」

「また城を離れる。というわけですね」

「うむ。そなたも三成が忙しいから自分なら、というのでいいんじゃ。

何か方法はないか?」


三成さまは忙しい。

けれど三成さまと同じく忙しい人たちも多い。

秀吉様もその一人で、そんな人たちを夫に持ってさびしい思いをしている人もまた多いのだ。


「といっても私の場合は他の方とはちょっと違いますから。

三成さまは戦働きではなく後方支援や奉行のお仕事を主にしており、私は頑張ればそれを手伝えるので」

「まぁそれもそうじゃの」


はぁ・・・と深いため息を吐かれてしまった。

結構深刻なんだろうか。


「そんなに機嫌を損ねてらっしゃるんですか?」

「いや、今が大事な時期だというのも、わしがそういう立場だというのも理解してくれとる。

しているからこそ、怒るに怒れんし、拗ねるにも拗ねられんという状況なんじゃ。

だからこそ何かしてやりたくてのう」

「なるほど」


これがモテる男というやつか。


「そうですねぇ。着物でも仕立てて差し上げるとかどうでしょう?」

「着物はたくさん持っとるぞ」

「着物は仕立てて差し上げるだけでなく、着ていく場所や機会もご用意するものだそうですよ」

「む、なるほど。

しかし何かあったかの?」

「お花見とかどうでしょう?

秀吉様の花は奥方様たちってことで、それと他にも招待して、外交だとか権力の誇示のための文化的な催しだとか言っておけば奥の予算だけじゃなくて、他のところからも費用が出せるんじゃないですか?」

「客を呼ぶのか?」

「いくら奥方様のためとはいえ・・・女のために権力者が大掛かりな催しを開いたってなると民衆や誰とは言いませんが、大名の人とかが何か言ってきたりとかしそうですし」

「そうじゃな。

一応奥の予算はそれなりに用意しておるが、あんまり使うとそれも色々言われそうじゃし・・・秀長とも相談してみるわい」


ただでさえ奥さんがいっぱいで、世の男性の恨みを買ってらっしゃるんだから、せめてそれにかかる金銭面ぐらいは抑え目にしておきましょう。


「もし開催するとなったら全面的に協力しますから。

お茶菓子とか着物とか遊び道具とか!」

「お茶菓子か・・・

利休のヤツも最近ゆっくり茶を点てることもままならんと機嫌悪かったからのう。

花を愛でながら茶会という形にして、気が済むまで茶を点てさせようかの」


交渉役としても忙しく働いてらっしゃったそうですが、そうですか。

利休さんは茶人の鑑だなぁ(棒読み)




「ついでだから規模を大きくして派手にやってしまおうか」

「『お前らのために頑張ったんじゃぞ?』って奥方様たちにはこそっと言っちゃえばいいんじゃないですかね?

喜ぶと思いますよ~」

「そ、そうかの」


ポッと頬を染める秀吉様。

50歳を過ぎてるというのに可愛らしいなぁ!

しかしこんな姿を目撃したと奥方様たちにバレたら命が危ないな。

おね様は本妻の余裕で大丈夫だろうけど。





りんがこの時代でやっても大丈夫な大掛かりなイベントっていったらお花見とか?という軽い気持ちで提案したそれが、後の世でいうところの北野大茶会であった。

もちろん史実とは多少変わってはいるが。


提案者であるということで、主催者は秀吉だが、りんも裏方として活躍することに。


「おね様ならこのような着物が、茶々様ならばこのような着物が似合うんじゃないでしょうか」と着物をデザインしたり、コーディネートしたりといった具合に。


数多くいる奥方様たちの着物が被らないように計らうのは男である秀吉よりもりんの方が長けていたので、女性陣の対応を主に仰せつかった。


色々と対外的には開催理由を言ってはいるが、実際のところ女性陣の機嫌取りなのである。

しかしそんなことを素直に言うわけにはもちろんいかない。

そのため秀吉は理由付けを側近の者たちに相談した。


その結果茶会は身分の垣根なく、茶道具を持参するかその代わりになるものを持って来れば参加できる。という当時としては画期的な催しとなった。


有名な茶人も数多く招待し、秀吉自慢の名物を陳列したりという華やかなイベントだが、政治的要素を絡めて開催することになったため、単なる催しではなくなった。

関白である秀吉の権力を内外に誇示し、文化の粋を尽くして流行を発信。

京の都の、代々室町将軍が篤く信仰していた北野神社で行うことで、民衆にこれからは秀吉が北野天満宮を保護するのだというアピールをし、京の人々が秀吉を受け入れるかどうかの試金石としたのだ。


着物など女性に関することはりんが請け負ったが、文化の粋を尽くすという点で中心になったのは秀吉の側近である千利休であった。


「もし受け入れられたのならば拠点をそちらに移してもいいでしょう。

でももし受け入れられないのであれば、大改造をしなければいけませんねぇ」


そう言ってうっそりと笑った人――利休――に、ゾッとするものを覚える者もいたが、その話を後で聞いた三成とりんは「どっちの場合も仕事が増えそうだな」という感想を抱いた。

多分どちらの場合でも二人には大量の仕事がやってくる。



利休は茶人であったが、芸術方面に関してもうるさい男であった。

そのため、自分の好きに茶会をプロデュースできるというのはかなり楽しい仕事だった。

しかもその茶会で自分の好きなだけ点てていいというお墨付きももらっているのだからかなり張り切っていた。

そのため、先ほどの不穏なセリフはその張り切りが受け入れられないのであれば・・・という思考回路からの発言だと、彼と付き合いの長い秀吉・秀長らはわかった。

そのため、彼に怯える家臣たちに向ける視線が生暖かくなってしまった。




大規模なイベント。で真っ先に夏や冬のあのイベントを想像してしまってゴメンナサイ。と誰に対してかわからない謝罪を脳内で行ったりんは頭を切り替え、中小企業の社長や営業担当、現場の人たちなんかが集まる大規模な会社主催のパーティーみたいなものか!というように理解し、采配を行った。


大規模な、しかも色々な人を招くんだから、失敗のないように。あっても何とかなるように。と張り切った。

三成さまの評価を下げるようなマネはできないわ!という想いもあって頑張ったのだが、りんはそれがまさか次に行うことになる醍醐の花見につながるフラグになるとは想像だにしていなかった。


参考資料を見ながらやっていたんですが、実に間抜けな間違いをしてしました。

計算が合わないわけだ・・・

下げた花見のシーンは改めて花見の話を書いたときに上げなおします。

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