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狐の花嫁  作者: 篠田葉子
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歌代倫の生涯

前作とはだいぶ雰囲気が変わります。が、これ以降はこんな感じで進んでいきます。

歌代うたしろ りん24歳。

職業OL。

そして彼女は重度のオタクだった。


気付けばオタクだった彼女は、OL業の傍らネットで小説を書いている。

一人暮らしのため、ブレーキが壊れた状態で、そういった関連のものに給料のほとんどをつぎ込んでいる。


一応隠れオタクであるため、料理や手芸などといったこともできるが、いかんせん理想が漫画のキャラだったりするため、現在は恋人はいない。



「もうね、もうね!今週のジャ○プのあれは絶対狙ってるでしょ!

この前始まったばっかのアニメも要チェックだし!!

あ~、またお給料が飛んでいくわ~!!」


パソコンに向かい、燃えたぎる(萌えたぎる?)情熱のままに文章を作成していた倫はにっこにこと満面の笑みを浮かべていた。


「まぁ漫画もアニメもいいけど、今はやっぱり歴史ものが熱いのよね!」


上機嫌でキーボードを叩く彼女に熱くそう語ったのは、隣でイラストを書いていた法川のりかわ 彩音あやねだ。


倫と彩音は今度のイベントで合同で本を出すつもりで、今日はその製作活動をお喋りしながらしよう!ということで一人暮らしの倫の家に彩音が泊まりがけで来ているのである。


二人とも腐の付く方の女子であるため、話す内容はほとんどそっち方面である。


「歴史?私は今石田三成が熱いかな!」

「え~!?あの時代なら絶対前田慶次郎でしょ!!」

「何言ってんの!あの人は絶対ツンデレよ!!今までの歴代お気に入りキャラがツンデレばっかりだった私が断言するわ!!」

「すんな!」


実に下らない言い争いだが、二人とも手を動かしながら笑いながら楽しそうにしている。


「ツンデレ萌え~!!猿より狸より狐でしょ!」

「なにそれ?」

「え~?猿は豊臣秀吉で狸は徳川家康。狐は石田三成だよ!」

「それなら私は独眼竜の伊達正宗か越後の竜の上杉謙信とか素敵だと思う!」

「どっちも龍だね・・・」

「・・・大分タイプ違うのにね」


歴史物を書いているわけでもないのに、なぜか話題は戦国武将に。

そして二人が出した結論は「「まぁ、名前くらいしか実はよく知らないんだけどね!」」というものだった。


有名なエピソードは知ってはいるが、それが実際あったことなのか、作り話なのかも知らないし、実際どのようなことをしたかを知っている人物はそう多くない。


「選択科目で日本史取らなかったしな~」

「私は取ったよ。外人の名前が覚えらんなかったから」

「あ~、でも日本人でも覚えらんなくない?

徳川さんとか多すぎ」

「そうなんだよね~。

有名どころは同じ名字で似たような名前の人が多すぎて、テストの度に大変だった」


倫は日本史を選択していたが、成績はあまり良くなかった。

そのため、石田三成に関心を持つようになったのもごく最近のことである。

興味をもったので色々調べようかな~?とハマったらとことんなオタク気質な彼女だったが、原稿があるため、実行できていない。

そのことを彼女は後に物凄く悔やむことになる。




「あ、お菓子なくなった」

「ご飯ど~する?」

「ん~・・・お菓子と一緒になんか買ってくるわ。

原稿進めといて~。そっちの方が切羽詰まってるでしょ?

「わかった。ありがと~」



倫は財布だけ持って近くのスーパーへと買い出しに出かけた。

そしてその帰り――トラックに轢かれて死亡した。



まぶしい光にえ?と思ったとほぼ同時に激しい衝撃に襲われ、あぁ轢かれたんだと理解する。

まだワン○―スの最終回もガラ○の仮面の最終回も、あれもこれも読んでないのに。原稿終わってないのに。っていうか部屋の中の物!!ヤバい、あんなの誰かに見られたら・・・!!!



――末代まで祟ってやるぅ~~!!!


倫はそんな呪いの言葉を声にならない声で叫び、ふっと意識を失う。

そして再び意識が戻る。


あぁ、閻魔さまの裁判だか地獄だか天国だかなのね、きっと。

そう思い閉じていた目をそっと開けると・・・


「おぎゃあ!おぎゃあ!!」

(は~?!なに、何がどうなってるの!??)


歌代 倫。享年24歳。

どうやら生まれたての赤ん坊に生まれ変わったようです。


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