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狐の花嫁  作者: 篠田葉子
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ワインと本能寺の変と清洲会議

戦国B○SARAの夢を見て、あの世界じゃなくてよかったな~と思う嫁の夢を見た(※初夢ではない)私は実はBA○ARAをよく知らなかったりします。

今回はワイン造りと嫁の前世の隠れた関係性と相変わらずちょっとボケた嫁のお話です。

大阪と言えば、思い浮かぶのは粉もん文化に中小企業のたくさんある物づくりの盛んな都市といったところだろうか。


けれどそんな大阪にはちょっと意外な特産品がある。


平成21年度の大阪のブドウの収穫量ランキングは実は全国7位。

そしてワイン造りに関しても適地で、1000年の歴史を誇る。

大正から昭和にかけては全国一位のブドウの生産地だったのだ。

最近では大阪市内にワイナリーも出来た。


現在では石田三成の嫁として生きているが、それ以前は大阪で生まれ育った。

そのため、祖母が家で葡萄酒を作っているのを見て育った。

大体の作り方はわかるとはいえ自分でやったことはなかったので、酒造のプロに依頼をして製作に着手した。


予算は自腹を切った。

といっても領地内のブドウを使ったので経費はそこまでかからなかったけど。


最初は旦那さまが出張に出てる間の寂しさを誤魔化すために始めたのだが、それこそ年単位で出張に行っちゃってるため、時間はたっぷりあった。

おかげで何とか南蛮商人達相手に売れるほどまでこぎつけることに成功。




そしてその知らせを受けたのは、製作過程で何故か出来てしまったワインビネガーをどうしようかという話をしていた時だった。



「大変です、奥方様!!大殿が・・・お館様が・・・!!」

「はい?」


大殿さま、つまり織田信長が滞在先の本能寺で焼き討ちにあったとの知らせが入ったのだ。

知らせてくれたのは商売で色々と親しくさせてもらってる近江商人。

本気で忘れかけていたので、教えてくれて助かった。


ワインはこの時代ではまだ日本人は飲まないだろうけど、ワインビネガーなら上手くすれば国内で流通させることも可能なんじゃないかと彼らと話していたのだが・・・

ひとまずその話は後回しにして――何をすればいいんだろう?



「あら~・・・」


情報に強いのは商人達だけじゃない。

意外と民衆も自分たちの生活に直結するから自分たちの殿さまの状況なんかはよく知ってたりする。

そのためあっという間に本能寺の変のことは伝わり――パニックが起きた。


「情報が錯綜してるなぁ・・・」


電話もテレビもないから仕方ないとは思うが、情報も非常に混乱している。

信長様を討ったのが誰かもハッキリしていないくらいに。


「息子が討ったとか、足利なんとかがやったとか、他にも色々と」


この時代からすでに色々説があったのか、それとも誰かが情報を故意に混乱させているのか。

確かこの時、黒田さんが秀吉さんと一緒にいたはずだから、情報操作してても不自然ではないか。


考えたところでどうしようもないので、とりあえず民衆を落ち着かせよう。


よっこいしょ、と言いながら動き出すと何故か石田家中に非常に慌てられた。

うちから連れてきた部下達は「あ~、やっぱりね」みたいな顔をしているのになんでそんなに慌てるんだろう?



重いおなかを抱えながら、狼を引き連れてパニックを鎮めに行く。


「ワォ~ン!!」

「ガォ!!」


狼に吼えてもらって、民衆がビクッと怯えたところで「落ち着きなさい!」と叫ぶとなかなかに効果的だったようだ。


気付けば石田家中でもわんこ扱いされ始めた狼たちだが、民はさすがに狼だ!と驚いてくれた。

驚いて騒ぎが静まった隙を逃さず、いきなり現状が悪くなったりするわけじゃないから落ち着くよう言い含める。


明智さんは三日天下だって習ったから三日後には秀吉様達がきっと明智さんを討って・・・その後、どうするんだっけ?

確かえ~っと・・・あ、そうだ!会議だ!会議するんだ!!

三谷さんの映画でそんなことをやってたはず!


で、あれ?野村さんとか上地くんとか榮倉さんとかが映画をしてたのってじゃあいつごろになるんだろう?


っていうか、あれって史実なんだっけ?


う~ん、一度覚えてる日本史を書きだして年表でも作ってみた方がいいかなぁ?



最早遠くなった記憶を必死で掘り返しながらも治安維持や情報収集についてを家臣たちや義父・義兄と話し合う。

その際、ついうっかり前世の記憶から明智光秀が謀反を起こした張本人であることと、その天下が長く続かないことを知っているようなことをほのめかしてしまったが、彼らはうちの奥方様にはやはり何か神仏のご加護があるのだ!と思い、追求しなかった。

が、嫁はぼろを出しそうになったけど何とか誤魔化せた!と思っていた。




その後も特に歴史に変化はなく、史実通り三成は兵站・諜報で活躍した。

史実と違ったのは、嫁が羊毛フェルトならぬ狼毛フェルトでストラップ、もとい根付を作って手渡したことにより、山中で獣に襲われる恐れが減っていたことくらいだろうか。


ちなみにこの根付、わりと評判がいい。

整備されていない山の道を行かねばならないことが多いこの時代、獣を怖がらなくていいのは非常にありがたいからだ。


嫁自身は羊がいないから、狼の毛を代用にしているだけで、コレでどてらとか作ったらぬくいだろうなぁ。くらいにしか思っていなかったりもするのだが、いつものことである。

根付を渡したのも、コレならいつでも持ち歩けるし!ストラップの起源は根付だっていうし!くらいの気持ちである。


未だ狼と犬の区別がいまいち付いていないから仕方ない。ということにしておこう。




清洲会議がその後行われたが、当然参加できるわけもなく。


「妊婦に具足を触らせてはいけないってしきたりがあるけど、今の私が会議に参加してる人たちのをぺたぺた触りまくったら、一触即発の空気でも強制的に戦は不可能ってことになったりとか・・・」

「止めてくださいね!」

「冗談なのに・・・」


実家から連れてきた部下達は私に対して遠慮しないというか容赦しないというか・・・

しょんぼりした気持ちになりながら、おね様達と一緒に大人しく濃姫様達のお相手を務める。


三成さまは秀吉様達の命令で根回しとかで忙しいようだが、私のこれも秀吉様達の命令の一環だそうだ。

秀吉様が擁立しているお子様を奥方衆にも認めてもらうために秀吉様陣営の受けを良くしようという作戦だとおね様達が仰っていた。


濃姫様は噂に聞いていた通り美人さんで、同じく他の皆さまも美人さんで、美人さんの中に普通顔の私がいるとなんだか申し訳なくなるのは何ででしょうか。


とりあえず焼き菓子と、ネタになるかもとタンポポコーヒーも用意してお茶会を始めたら・・・なんだか可愛がられましたよ。


そんな風に過ごしていたら、何とか会議は滞りなく?済んだ模様。

時々片手でつまめる軽食とかを提供したりはしたけど、特にそちらとは関わることがなかったので、気付いたら終わってたようなカンジだった。


コレでしばらくは三成さまもゆっくりできるのかしらん?


今回名前だけで出番のなかった三成さんですが、ゆっくりすることは多分無理でしょうねぇ。

だって賤ヶ岳の合戦、この次の年ですし。

上手くいけば次回は島左近さんが登場します!

なるべくお待たせしないでお届けできるよう頑張ります!

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