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ソウルズ!朱雀覚醒篇  作者: オレンジタイフーン


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8/30

#8


影人は懸命に走る…

 

 

誰かの為に必死になった事など無い人間であったのに祈るように走り続ける。

 

 

じいちゃんの無事を願いつつ走っていると…

 

 

目的地である屋敷の方角から凄まじい轟音と地響きがする。

 

 

 

「今…屋敷の方向から大きな物音がした。

 

やっぱり…何かあったんだ!?

 

 

……………………………!

 

 

……見えた…屋敷だ!!」 



 

そこで影人は心臓を射貫かれたような衝撃的過ぎる光景を目の当たりにするのだった。

 

 

ようやく見えた屋敷の前で…最初に視界に飛び込んで来たのは血塗れのじいちゃんの頭を左手でガッチリと鷲掴みにして持ち上げている筋肉隆々な大男の姿だった。

 

 

そいつは気でもふれたみたいに狂気に満ち溢れた笑みでニタニタと愉しそうに瀕死のじいちゃんをめったやたらと右の拳のみで殴り続けているのだった。

 

 

きっと先程までは思い出が一杯詰まった立派な屋敷だったものが…今や見る影も無い程にボロボロに破壊され傷ついた廃屋も同然の屋敷。

 

 

そして…それらを不安げに為す術も無く茫然自失で様子を見守るしかない梅ちゃんと松っつんがいたのであった。


 

「…あいつです

 

いきなり屋敷へ、お坊っちゃまを探していると言うと傍若無人に暴れだした大男ですよ」

 

 

竹りんが影人に今までの経緯を簡潔に説明する。

 

 

「へぇ~…なるほど

 

そうか、アイツが…!?」 

 

ギリリ…と力強く歯を食いしばる影人であった。

 

 

「竹りんは隙を見つけて安全な場所へ皆を逃がしてやってくれないか」

 

 

影人が竹りんに簡単にそう告げると…ハイと一言、素直な返事をするだけであった。

 

 

竹りんが状況を察すると自分には助太刀すらも出来ないのかと自らを腑甲斐なく呪うのであった。

 

 

影人は…すうぅぅっと口をすぼめて深く大きく呼吸をして息を整えると…怒りと共に吐き出された激情がビリビリと痛いくらいに大気を震わせたのであった。

 


 

「そこまでだ!!

 

その薄汚ねぇ…手を離しやがれェェッ!!

 

筋肉達磨のデカブツ野郎がァァッ!!」 

 

 

耳鳴りがするくらい威勢の良い声の主を探して…影蔵を殴る拳をピタリと止めると身体をグルンッと捻り、羅刹が振り返ると……

 

 

 

そこには怒りに打ち震えた影人の姿があった。

 

 

「テメェが…じいちゃんを皆を屋敷をこんな風にしたのかッ!!」

 

 

影人は…今にも噴き出しそうな烈火の如き怒りと爆発しそうな激情を理性で必死に押さえ込みながら低く唸るように羅刹へと問い掛けるのであった。

 



 

「ヌァハハハハッ!!

 

貴様が…例のクロガネカゲトってヤツなのかァァッ!?

 

ヌハ…ヌァハハハハッ!!!!

 

こ、こ、こんな…こ~んなチビでガキなのがァッ…

 

まさか四神のソウルズ…朱雀の能力者だったとはなッ…

 

カグヤ様も四神で最も強敵だと仰っていたから…

 

どんな能力者かと思えば、こんなガキかよ!!

 

ケッ…こいつは笑わせてくれるわッ!!」

 

 

羅刹は…影人を一瞥し、狂ったように大口を開けて高笑いするのであった。

 


 

「そうかい…だったら、今すぐに笑えなくしてやるよ!

 

デカブツ野郎ッ!!」

 

 

影人は右腕を垂直にまっすぐ伸ばして掌の中心へオーラを込める。

 

 

 

その怒りを込めたオーラを羅刹へと向けて放つ!!

 



 

 

 

……………!?

 

 

 

 

…………………プスンッ!?

 

 

 

…な、な、なんと、影人のかざした右腕の掌からは事もあろうか、小さなライター程度の炎がプス~ンッとガス欠した自動車か、はたまたスカシっ屁みたいな情けな~い音を立てて微かにポッと灯るだけだったのである。

 


 

 

「……………………へ!?」 

 

 

「……………ッ!?!?!?!?」 

 

 

「えぇぇぇッッ!!

 

…な、な、な、なんで出ないんだ…」

 

 


…………………………………………………………



 

「…………………………………ハッ、そ、そうか能力は朱雀は…封印されてるんだった…」

 

 

封印されていなければ…大蛇のように渦を巻いて巨大な炎が轟々と放たれるのだが…生憎、その朱雀がもたらす能力を封印されている事に気付いてパニックに陥り、滅茶苦茶に焦る影人であった。

 

 

 

「ぷふっ…ブァハ…アハハ!

 

ファハハハハハッ!

 

何だぁ~ッ…それはギャグか、ギャグなのか…

 

ファハハハハハ~ッ!」

 

 

涙を浮かべて、腹がよじれんばかりに豪快に笑う羅刹である。

 

 

「なぁ、さっき…オレ様にどうたらこうたらと何だか好き勝手に言ってくれてたよなッ!!」

 

 

羅刹が血塗れの影蔵を屋敷の庭の方向をめがけ、遠くへ空き缶かゴミみたいにポ~イッと乱暴に放り投げるとゆっくり地面を踏みしめて、影人の方へと一歩また一歩と近づいてくるのであった。

 


 

 

 

 

  

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