表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/93

相対の時 その①



 翌日。


 授業を受けていた俺は、校内放送で理事長に呼び出された。


 逸る気持ちを抑えながら学園の正面玄関へ向かうと、理事長がオープンカーの運転席で待っていた。


「理事長……車、直ったんですね」

「壊れてしまったときのことを想定して、同じ車を3台持っているんです。これは2台目」


 マジか。


 意外と金持ってるんだな、大鳥家って。


「では行きましょうか、又野さん」

「いや、ちょっと待ってください。同行したい人がいるんです」

「コンピューター研究部のみなさんですか?」

「いえ、匂宮をもっと昔から知っている人です」


 背後から重たい足音が近づいてくる。


「お待たせして申し訳ありません。よろしくお願いいたします」


 そう言って現れたのは、麻里さんだった。


 いつものメイド服姿―――に加え、背中には異様な殺気を放つ長方形のバッグ、脇にはやたら存在感のある大きめのショルダーバッグを抱えていた。


「……………」

「又野さん、この方も一緒に?」

「え、ええ。匂宮を助けたい気持ちは同じですから」

「そうですか……あの、すみませんけど対物ライフルとショットガンは置いていってくださいね。さすがに怪しまれますから」


 理事長の言葉に意外そうな表情を浮かべる麻里さん。


「え。これからお嬢様を攫った相手を襲撃すると言うのにですか?」

「……あなたたちは大鳥家の代理としてあいさつに行くんですよね?」

「あ、あれ? 又野さん、そんな話でしたっけ!?」


 麻里さんが助けを求めるように俺を見る。


「一応、そう伝えたつもりだったんですけど……」

「し、失礼しました。そういうことであればこちらは持っていけませんね」


 麻里さんが抱えていたバッグをアスファルトの地面におろすと、ゴトッ、という殺人的な音が上がった。


 それだけではなく、麻里さんはメイド服の裾を持ち上げると、白い太腿に仕込まれていたホルスターから拳銃を抜き取り、地面に捨てた。同時に裾の裏側から手榴弾が数個転がり落ちてくる。


「……麻里さん、あなた何者なんですか?」

「私はただのメイドにすぎません」

「にしては殺意が高すぎるというか……」

「この程度、メイドの嗜みですよ」


 そうなのか。


 俺の中のメイドの概念が180度変わった。


「準備が出来たようなら行きましょーか。約束の時間が迫っていますし」

「はい。お願いします、理事長」


 俺たちはそれぞれオープンカーに乗り込んだ。


 理事長がエンジンを掛け、アクセルを踏む。


 オープンカーが重たい排気音を響かせながら発進する。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*:・゜✧*:・゜✧☆評価、ブックマークでの応援、よろしくお願いします!! *:・゜✧*:・゜✧
↓↓↓ちなみに新連載です↓↓↓

『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ