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ラブコメみたいな日々 その②


「――で、この答えになるの。どうかしら?」

「ありがとう。めちゃくちゃ分かりやすかった」

「うふふ、どういたしまして。早く頭を撫でてほしいから、これくらいの問題ならいくらでも任せて」

「ああ、そういうことか」


 だからモチベーションが高いわけね。


 とはいえ、それは言ってみればウィンウィンの関係というやつで、匂宮のおかげで俺の課題はいつになく順調に進んだ。


 そうして一時間くらいが経過した頃。


「……ふわぁ」


 ふと隣に目をやると、匂宮は退屈そうにあくびをしていた。


 流石に待ちくたびれたらしい。


「なぁ、暇なら他のことしててもいいぞ」

「別にいいわ、特にすることもないし。又野くんの傍にいるのが一番」

「ちなみに、昼間とかは何してるの?」

「又野くんは今なにしているかしら、とか、又野くんは今なにを食べてるのかしら、とか、そういうことを考えてるわ」

「……それさ、一緒に学校に来て直接見た方が早くない?」

「又野くんは、好きで小説を読んでいる人間に向かって『漫画の方がよくない?』って言うの?」

「それはまた違う理屈じゃないか……?」


 というか。


「そもそも、匂宮は好きで家にいるわけじゃないし」

「……それは、まぁ」


 控えめな相槌と共に、匂宮は少しだけ頷く。


 さっき帰ってきたときにチラッと目に入ったのだが、玄関に、いつもは麻里さんが靴箱に収納しているはずの匂宮の靴が出ていた。


「外に出てみようとしたんだろ?」

「……うん。でも怖くて」

「…………」


 怖い。


 それはきっと、人の目であったり、人の声であったりと、日常にごくありふれたものの事を指しているのだろう。


 普通の人間なら全く気にならないようなことが、今の匂宮にとっては恐れの対象になってしまう。


 あんな経験をした後だ。無理もない。

 やはり気分転換が必要だな。


 なに、外に出なくたって、気分を変える方法はいくらでもある。


 俺は無事に終了した課題を閉じ、提案する。


「なぁ匂宮、ゲームやらない?」



   ※


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『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
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